永野作『オルタナティブ』を読んで
今回はお笑い芸人・永野作『オルタナティブ』を読んだ感想を書いていきます。
この本は「ゴッホより普通にラッセンが好き」で有名となったお笑い芸人 永野さんのエッセイ本で、永野さんが一体何を考えているのか、永野さんの思想が書かれています。
私が永野さんに興味を持ったきっかけは、田中みなみさんのラジオに、永野さんがゲスト出演された回をたまたま聞き、そこでの会話がトゲはあるんだけど優しさや柔らかさを感じ、永野さんの思想が気になって購入しました。
結果、芸人さんのエッセイでは若林さんのエッセイと並ぶぐらい、衝撃を受けました。
「オルタナティブ」を読んだ率直な感想としては、捻くれてるねー永野さんと思いました。でも、私だって、永野さんに負けず劣らずに性格は悪いです。『オルタナティブ』で書かれている永野さんの感情の6割ぐらいは、自分の中で勝手に、なんか私にもわかるなー、感じたことがあるなーと思う感情でした。
この本を読む前は、私の中で、自分が普通でなく、卑屈だ、自分は何て性格が悪いんだと、自分で自分を責めてしまっていました。
でもこの本を読んで、表紙のニヒルな笑顔の永野さんから
「心配するな、俺の方が性格が悪い、もっと頭が腐ってしまうほど悩むんだ」と言われているような気がしました。
世の中には「逆張り」という言葉あって、私もよく自分の考えをいうと周りの人から「はいはい。逆張りね。」と言われることがあります。
でも、永野さんは、ずっと「逆張り」をしています。というか「カウンターカルチャー」と言った方がいいと思います。
これからは、私も自分のコアな部分には「カウンターカルチャー」があると考えて生きていこうと感じました。
さて「オルタナティブ」で、特に私が好きなのは永野さんが、父親になっている男について書いてある章です。永野さんは、職場の同僚で父親になっている人のことを「セックスパパ」と呼んでいます。
流石に笑いました。売れない時代に劣等感を蓄積させた、劣等感人間のピラミッドの最高峰に永野さんがいるのだと思いました。
同時に永野さんから「お前、もっと悩め!」と言われているような気になりました。絶望しました。ニーチェの永劫回帰のようんです。苦しいだろ、でもまだまだ苦しみは続くぞと。
でも、どこか「セックスパパ」の章に救われました。
永野さんが蓄積させてきた劣等感が、私の劣等感を救ってくれました。こんな救い方ってあるんですね。コンプレックスと絶望が、人を救う。
永野さんの「オルタナティブ」を読んで、私もニルヴァーナを聞くようになりました。絶望しかないです。
でも私が苦しんでいる現在を肯定したい、苦しみを(健全に)増大させていきたいと思えるようになりました。
永野作「オルタナティブ」は読者を絶望に落とす、一風変わった自己啓発本だと思います。
社会に怒りを抱えた人はぜひ永野作「オルタナティブ」を読んでみて下さい。
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