山下紘加作『ドール』を読んで

山下紘加さんは『私の身体を生きる』を読んで、気になったので読んでみました。

小説のあらすじとしては、とても気持ちが悪い内容でした。
何が気持ち悪いって、どこか、どうしても自分が抱いたことがある感情とリンクするからです。

主人公の男子高校生は、明らかにアブノーマルです。
どもどうして、私は彼の気持ちが(ほとんど)分かってしまうのでしょう?

学生時代、ああこの人間関係は、まるで戦国時代のようだと思っていた記憶があります。戦国時代のように裏切り、裏切られだと。
自分の感情の通りに動けば、周囲から笑われ、いじめの対象にされる。

『ドール』に描かれている、学校内の生徒の会話を聞いて、そんなことを思い出しました。

学校に弱いものの、居場所なんてほとんどなかった。

さて、現実はもう中学生ではないので、ああ大変そうだななんて思っていたのですが、この本を読んで、気持ち悪かったのは、

私が『ドール』の主人公と変わらない感情のレベルしか持っていなかったことです。
(私も主人公も、もっと素直に?いやもっと淡白に、世の中にはいろいろな人間がいると、諦めて、自分の人生を楽しく生きることがどうしてできないのでしょうか。)

主流はいつまで経っても主流、端っこのやつはいつまで経っても端っこという残酷な構図。

ウエストランドの漫才を思い出しました。苦しい思いをする人は、どんどん悪人スパイラルに飲み込まれていく。辛いぞー。

世の中は、そんな泣き言を聞いてくれる人はそうそういません。
おじさんはパーカーを着ているだけで批判され、泣き言は許されません。
おばさんは不思議な生き物を見る目で見られます。
(これは私から見る、真なる偏見です。)

みんな『ドール』を読んで、どんな感想を持ったのだろう。バカにするだけの感想だったら、悲しい感情になります。




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