カズオ・イシグロ作『クララとお日さま』を読んで
早く、カズオ・イシグロ成分をくださいという感情が出てきたので、
amazonで買って読みました。
カズオ・イシグロさんの小説は、なんだかあったかくなるお話で安心して読めます。
クララというアンドロイドの小説での最後の描かれ方は、少し悲しい感じです。絶望とは少し違いますが。それがいいです。
私はアンドロイドが出てくくる系のSFで、なんとなく、何か大きな反逆や不幸な事故が起こるかもしれないと思って、ハラハラドキドキで読んでいました。
でもその予想はいい意味で裏切られ、じんわりとあったかく話は終わっていきました。
この小説には、アンドロイドと人間の共存というテーマ以外に、人間はどう選別されるかという話がテーマとしてあります。学歴やキャリアというものです。
私はこの年になって、人生の歩き方にはある程度のキャリアというものがあることに気がつきました。
小さい頃から無理に勉強をし、無理に良い学校に行くことで、不思議なことにお金がもらえるという、不思議な階段があることが分かりました。
でも、そんなキャリアは健康的なのか疑問です。小さい頃は遊んでも良いのでは?その上で、したいことがあるなら、その分努力すれば良いのでは?と思います。
生まれながらにして、最高の頭脳を持つクララは人間の選別をどう見ていたのか気になります。ジジョーの母親は最高のキャリアを持った子供であることを娘に望んだのでしょうか。
この小説でも、現実でも、残念ながら、キャリアを勝ち抜いた人の方が、より健康でいられる世界です。
お金が欲しければ、ある程度危険で、肉体的にキツい仕事をしないといけません。良いキャリアを積めば、良い仕事に就けるという説が有効です。
そのためには、何かを犠牲にしなければいけません。それが、命であっても。
とまあ、なんとなく考えたことを書きましたが、「クララとお日さま」は良い小説です。お日様に当たりたくなります。