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原曲超えできなかった無謀なカヴァー曲たち(But I Like It)
世の中にはジミヘンの「All Along The Watchtower」やClashの「I Fought The Law」などオリジナル曲をさらに発展させ「原曲超え」と言われるものは数多い。
まあジャズに関してはオリジナルをいかに自身のものにできるか、みたいなジャンルなのでまた別の話しになるが。
逆にカヴァーしたけどパっとせず特に語られることもないパターンも多いのではなかろうか。
ただしパッとしないけど、それ故のチープな感じ、B級感は妙に癖になる…という、そんな曲たちをここではピックアップ。
なので、
取り上げた曲を貶したい意図があるわけではなく、むしろそのチープさ加減が愛おしい名曲たち
なので、誤解なきようお願いします。
セレクション
Moonpie / Ebony Jam(Original: Tower Of Power)
ナッシュビルの白黒男女混合バンド。
タワーの名曲に挑むもアマチュア感満載のチープな演奏は、改めてタワーの生み出す鉄壁なグルーヴの偉大を思い知らされる。
本アルバム収録のスティーヴィー「Sunshine of My Love」やアース「Can't Hide Love」もかなりB級な仕上がりで愛おしい。
Combo Xingú / Moby Dick(Original:
Led Zeppelin)
チリのバンドらしい。
稀代の名ドラマー、ジョン・ボーナムに挑むと言う恐れを知らぬ行為。
ハンドドラムも飛び出し、ライヴでのボンゾのソロ・コーナーにして他メンバーの休憩時間としても
有名なこの曲に対してテンポを上げて果敢に挑戦するも圧倒的なパワー不足感は否めず。録音状態含めてこのスカスカな感じをかっこいいと思えるかどうかがキーポイント。私は大好物。
Cold Blood / Valdez In The Country(Original:Danny Hathaway)
ダニー本人がプロデュースして本人より先にリリースしているので厳密にはカヴァーとは言えないかもしれない。
もともとはロック・バンドなのでどうしたって本家の洗練されたスムースさには敵うはずもなし。それでも本家にはないぎこちなさやモッタリ感はそれはそれで魅力的。
Variations / Sayin It Doin It(Original:James Brown)
そもそもJBをカヴァーしようとする時点で負け戦確定なわけだが、ファンク好きなら一度は挑戦してみたいもの。
初っ端の音やヴォーカルからして予想通りの力負け感がすごいが、フルートなんかも使いながら小粒なつくりが結構クセになる。女性ヴォーカルの人はこのあと議員とかにもなったらしい。
Doris / Whispering Pines(Original: The Band)
スウェーデンのヴォーカリストらしい。
ザ・バンドの名バラードを何とも微妙なフォーク・ロックに仕上げている。歌もコーラスも大して上手いくない。とりあえず本家リチャードの物悲しいヴォーカルが聴きたくなる事うけあいの完成度に思わず笑みが溢れる。
おまけ
Erlend Øye / There Is A light That Never Goes Out」(Original: The Smiths)
最後は懐かしの「DJ-Kicks」シリーズから。
スミスの名曲を打ち込みのビートでリミックス…だと思ったらなぜかオイエが特別上手いわけでもないのに自分で歌い出すというナゾ仕様。ちょっとなに言ってるのかわかんない。あのスミスの曲がこんなビートでクラブでかかってると思うと笑える。
まとめ
こういう曲を聴くと結局の所、音楽とは「アイデアとハート」が大事という事に気づかされる。
テクニックより予算より、いかに音楽に楽しく真摯に取り組めるか。
なんか変なまとめになってしまった…