労働市場における市場価値について
市場価値とは何か?
ジョブ型雇用が流行っているからなのか、不景気だからなのか「市場価値を高めろ」と最近よく耳にする。だけど、そもそも市場価値とは何なのだろうか?言葉のとおりマーケットの評価であることは間違いないが、SiriもAlexaも教えてくれない不思議な価値である。
市場価値らしきものとして、例えば経済産業省が「社会人基礎力」として3つの力を挙げている。「チームで働く力」「前に踏み出す力」「考え抜く力」どれも極めて曖昧で可視化するのが極めて難しい。。。では、どうやって測ればいいのだろうか?
転職の思考法
そのヒントになりそうな本に「転職の思考法」という本がある。
その中で市場価値の尺度として次の3点が挙げられている。
技術資産・・・専門性と経験
人的資産・・・仲良くなれ可愛がられる力
業界の生産性・・・業界(組織)の一人あたりの粗利
さらに年齢によってキャリアにとって重要とされる要素が異なると述べられている。
20代・・・専門性
30代・・・経験
40代・・・人脈
自分の感覚に置き換えて考えると、30代半ばの私が仮に同じ世代の誰かを採用するなら経験、とりわけ修羅場経験をした人間を採用したいと思う。20代であれば、社会人としての基礎力やら職務の専門性を重視して採用するだろう。となると40代の人脈というのはどうだろうか?正直その年代になっていないので肌感覚としてはよく分からないが、人脈が広い人は視野が広く選択肢を沢山持っている気がする。選択肢が多いということは自分の可能性を広げているわけで、市場の評価と関わりがあるように思える。
定性的な市場価値をどう表現するか
ここまで述べてきて、分かったことは、市場価値がいかにも定性的であり、暗黙知に近いということだ。専門性を資格や頭の良さを学歴で評価することが出来たとしても、それが全てではなく、大半は数値化できない価値である。
そんな定性的な価値を形式知化する方法として、北野唯我さんは「ラベル」と表現し、岡島悦子さんは「キャリアのタグ」と表現する。要は定性的なものだからこそ、言語化し「ラベル化」、「タグ化」するのである。
定性的なものを言語化することにより自分の価値を見える化し、それを他人と共有する。そして、強みを磨いていく。それが市場価値とは何か?に近づきそれをを高めることに繋がるのだと思う。
組織の視点で考える
これを組織の視点で考えると、従業員が外(市場)を向くことを恐れず(むしろ歓迎し)外を見せ、それでも所属したいと思える組織風土をいかに作るか。辞められるのが怖いから外を見せないのではなく、組織を強くするために外を見せる。こういう意識の転換が勝つ為には必要なのだと思う。そういう意味では、個人が外を向きだした今だからこそ、組織の度量が問われているのである。そして、それこそが組織も個人も生き残る生存戦略なのではないだろうか。