なぜ道徳マップを開発したのか?

今回は、道徳マップの開発の経緯を書きました。
日本道徳教育学会でも研究発表し、職員研修を行い、noteでも使い方を公開している道徳マップですが、その思いを知っていただけると嬉しいです。


始まりは、週刊安全基地学級

週刊安全基地学級とは、当時はコロナ禍が2年経った2022年4月に千葉孝司先生と共に立ち上げた全国の先生方を対象としたオンライン勉強会です。参加した先生方の困り事を聞いていたのですが

「フォートナイト・トラブルの対処法ってありませんか?」

と、相談を受けました。これが道徳マップ開発のきっかけです。
フォートナイトとは、任天堂Switchでもプレイできる、オンライン対戦のシューティングゲームです。音声でのやり取りができることや、課金アイテムによる嫉妬、家庭内ルールを守らず長時間ゲームする等のトラブルが多発していました。

個別対応も必要ですが、それだけだと説教になってしまうし、同様なケースが多発すれば指導に多くの時間を割かなければいけません。

なので、一斉指導で子ども達全員に伝えて種まきをして、個別対応の頻度やかかる時間を減らすアプローチを提案しました。

具体的には、教材文を用いた道徳授業と同じような方法を提案しました。

もちろん、オンラインゲームの教材文はありませんから、自分で教材文を書き、指導案も略案ですが作成しました。プロの講師として、研修や講座を作るように、授業を作り込みました。

教材文「失敗した時に言われたく無い言葉」

実際に何人かの先生が授業を行ってくれて、私自身も外部講師としてオンラインで授業を行い、子ども達の反応やアンケートでも高い評価を得ました。ました。

ですが、若い先生方からは、

「やってみたいけど、難しくてできない。」

と言われて、驚きました。
指導案もあるし、内容も作り込んでいるから誰にでもできるはずなのに、なんでそう思うのだろうか?と思うと共に、では若い先生が授業をできるようになるためには、何が必要なんだろうか?と考えたのです。

U理論と道徳マップ

若い先生だけでなく、授業準備について話を聞くと、授業の流れをイメージできていないようでした。ベテランの先生に聞くと、指導案や教材文を読んだ時には、授業の流れをイメージできているようでした。

ですが、イメージとは自分の思考で行うものですから、言葉で伝えるのは困難です。

授業の流れを、どう視覚化するか?
視覚化して、どう授業の流れにつなげるか?

それに、どれだけシンプルであるか?も重要です。プロ講師としての研修や講座を作る手法のままでは、時間がかかり過ぎてしまいます。毎日5時間以上の授業を行なっている先生方が現実的にできるような内容にする必要があります。

そこで活用したのが、U理論です。U理論の詳細はここでは省きますが、道徳との相性もよく、時間を直線ではなくU字にすることで授業の流れをイメージしやすくできるようになりました。

授業の流れを筆算する

ベテランの先生は、授業の流れを暗算できます。指導案や教材文、指導書を見れば、授業の流れをイメージできます。

ですが、若い先生は暗算できません。教材を見るだけでは、授業の流れをイメージできません。ですが、道徳マップで授業の流れを筆算すれば、イメージすることができます。

さらに、道徳マップを書き続けることで、暗算するチカラも高まります。道徳も、それ以外の授業や活動でも道徳マップを用いることで、暗算できるようになった先生方がいます。

これは、開発者だから言っていることではなく、道徳マップを実際に書いた先生方の感想です。授業の流れをイメージするのも技術ですから、繰り返し筆算することで、誰もが身に付けられるものなんです。

全ては、いじめをなくすために

私が理事長を務めるNPO法人Grow Upは、いじめをなくす事を目的として、今までにも色々な活動をしてきました。先生方に向けて、子ども達に向けて、保護者に向けて、研修や授業や講座と、様々な学びの場を作ってきました。

【活動紹介】いじめをなくすために、民間で何が出来るのか?NPO法人Grow Up

より良い授業は子ども達との信頼関係の構築にとても大切ですし、そのために準備を効率良く行う事は先生の負担軽減のためにも大切です。
それに、道徳マップを用いる事で、授業作りを視覚化して若い先生に伝えられます。

今回は、開発者としての想いを書きましたが、道徳マップを使ってみよう、と思うきっかけになれば嬉しいです。

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