球界再編があった2004年の再来も_2021年はプロ野球界激震の予感

今年もプロ野球キャンプが間もなく始まります。

しかし、今年のキャンプは無観客での開催。多くの球団がキャンプを張る宮崎や沖縄では、例年期待されていた経済効果も見込めず、県独自の緊急事態宣言も検討されています。3月に予定通りシーズンが開幕しても、昨年同様入場制限が行われるのはほぼ確実で、野球ファンのフラストレーションも高まるだけでなく、球団経営を危ぶむ声も出ています。

特に危ないのが、オリックスとロッテだと個人的にはにらんでいます。

まず、オリックスですが、昨年まで2年連続最下位。これは、チーム合併があった2002年~2004年以来です。
それまでは、チームが低迷していても球団は黒字を続けていたので、度重なる球団身売りの噂もずっと否定してきました。
しかし、昨年は一転して大赤字。親会社のオリックス・グループ自体が大赤字のため、雲行きが怪しくなっています。

2004年に球界再編の仕掛け人となったオリックス。今年も何かやるのではと考える人は決して少なくありません。

親会社の株主総会でも、投資家から球団保有の意義を疑われ、球団が会社に果たす役割も小さくなっています。球団を支えたスーパースター・イチローも神戸のチームでなくなったことを理由に球団と訣別。いつか戻ってくれることを信じていた宮内オーナーも裏切られた格好となりました。引退後もイチローで儲けるという球団の思惑は完全に外され、根本から球団経営を見直さなければならなくなっています。

今年もBクラスに終わった場合、球団を手放すべきという意見は内外で加速するでしょう。オーナーも会社が大赤字ではもう意固地を貫けません。会社にとって歴史的大転換を迫られるかもしれません。

イチローとの別れと共に、オリックス球団は歴史にピリオドを打たなければならなくなるかもしれません。オリックスはもう25年近くにわたり優勝から遠ざかり、合併後もAクラスも2回だけ。昔でいえばお荷物球団で、共存共栄を掲げる今のプロ野球では球団解体となってもなんら不思議はありません。

もう一つ危ないのが、ロッテです。

ロッテは、昨年シーズン中に選手たちが会食が原因で大量にコロナに感染。それでも一、二軍の選手を入れ替えて試合を強行しました。

これで球団のイメージはがた落ち。それでも優勝すればいいと頑なでしたが優勝も叶わず、ドラフトでは地元出身の早大・早川投手をドラフトで外すとファンがネットで大暴れ。年明けには清田選手の不倫スキャンダルも週刊誌に暴露され、球団は無期限謹慎処分。今シーズン終了後に退団が濃厚となりました。
それでも、優勝すればいいとチームはなおも頑な。キャンプでは三冠王の経験もある松中信彦氏を臨時コーチに招き、いたって強気の姿勢を崩しません。

しかし、この強硬な姿勢は、特に野球を知らない人から見れば反感を覚えるでしょう。一般企業なら、確実に経営が傾く話だからです。

今の日本企業は、CSR(社会的責任)やコンプライアンス(法令遵守)を特に求められます。昔のような殿様商売ではもうお客さんはついてこないのです。要は勝てばいいというやり方は、企業のイメージ悪化につながります。

ロッテ球団も、昨年は2位ですが勝率1位の年は1974年を最後にありません。
親会社も韓国で裁判になるなど、身売りの噂がオリックス同様絶えません。

今年も優勝を逃すと、球団はいよいよ崖っぷちに追いやられます。優勝することで世間の批判を制圧しようというやり方なら尚更です。昨年のコロナ騒動から始まる一連の不祥事は、球団が社会的責任を負わなければならなくなる危険性をはらんでいます。
球団幹部もこれといった釈明もなく、昔ながらの殿様商売で世間を黙らせようという手法もコーポレートガバナンス(企業統治)を掲げる今の時代にはそぐわないものがあります。プロスポーツは、ただ勝てばいいという時代ではなくなっているのです。

以上、コロナ禍で経営が危なくなると予想される二球団についてまとめました。実は、オリックスとロッテにはもう一つ共通点があります。

それは、2004年の球界再編の時も当事者だったことです。

もっとも、その時はオリックスは経営が破綻した近鉄を受け入れ、ロッテも経営不振のダイエーを受け入れなければならなくなるかもという話で、オリックスとロッテはホワイトナイト的な存在でした。

しかし、今年はそのオリックスとロッテが球団経営が破綻する危機に立たされているのだから世の中は分かりません。

2,004年時は、オリックスもロッテも球団成績は芳しくなく、球団は会社の広告塔という意味合いの強い球団でした。

しかし、今はどちらの球団も成績を残せなかったら球団は手放さないといけなくなるかもしれない立場にあります。どちらも、会社のイメージと球団のイメージがあまりに異なるからです。オリックスもロッテも、世間では社会的に上を行く巨大企業です。
しかし、プロ野球球団の方はオリックスは親会社とは裏腹にプロ野球界のお荷物とも言えるほどの成績不振。ロッテも度重なる不祥事で会社のイメージとは全く異なる問題児ぶりです。どちらも球団経営に本腰を入れないと、球団を保有する資格なしと世間が判断するまでになっています。

コロナで経済活動が停滞する中、プロ野球球団も例外ではなくなっています。近鉄が消滅したのもそうですが、球団は会社の広告塔という考えがもう通用しなくなってきているのだと思います。球団経営は多額の費用がかかるため、本気で経営黒字だけでなく球団を強いしかつ社会的にも高く評価されるものにしないともう球団が存続できないまでになっています。球団経営が単なる金持ちの道楽でなく、スポーツビジネスとして成功を収めないといけないものに変わっていることを、この二球団の危機が教えてくれます。

私のこの記事が単なる杞憂で終わってくれることを、オリックスとロッテには期待しています。オリックスは今年こそ最悪でもAクラス入りしないと、世間からプロ野球球団を保有する資格なしと認定されると思って本気で球団改革に取り組んでほしいです。ロッテは、一連の不祥事について球団が一度は釈明し、社会的責任を果たすことと社会的信用を取り戻す努力をしてほしいものです。

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