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規制影響分析調査2000年カナダ

自分用のメモですが、2000年にカナダ政府に行ったヒアリングのまとめが出てきたのでこちらに。

カナダの規制影響分析(Regulatory impact analysis 以下RIAとする、またそのアウトプットを規制影響分析報告 Regulatory Impact Analysis Statement呼び、以下RIASとする。)について

1. はじめに
2. 近年の状況
3. 制度
① 根拠
② 規制の定義
③ RIAの作成及びチェック機関
④ RIASの対象
⑤ 規制制定のプロセス
⑥ 認証の手続き

4. 実際の規制影響分析例
5. RIAの目的
6. RIA導入による変化
7. RIASのチェック
8. RIAの作成
9. 分析水準と分析ツール
10. トレーニングプログラム
11. 結語
補助資料1 RIASの具体例
補助資料2 "制定法(statutory instrument)"の定義

要約
 カナダでは議院内閣制を採用していることや、RIAを本格的に導入して10年程度と歴史が浅いため、日本でRIAを導入するに際して参考になる点が多いと考えられる。
 RIAを行う目的は、規制制定のプロセスのマネージメントと、規制制定の透明性確保という2点に大別される。前者に関しては、RIAのうち規制の合理性や費用便益の総合的な分析は規制当局内で行うことが望ましい。後者に関しては、特にRIA作成のための予算やノウハウが限られている導入初期においては、大学やシンクタンクへの外注で補うのが現実的な対策となる。
カナダの環境省では、外注によって収集した費用データをもとにコンプライアンスも考慮しつつ、内部の担当者が費用便益分析にまとめるというプロセスを踏む。また、規制についての費用等のデータ収集をRIA毎の外注で、フロンガスの除去による便益といった金銭換算を原単位毎の外注で行い、RIAのコストを押さえる努力を行っている。こうして規制制定のマネージメントと透明性の確保両方を比較的低予算で達成するような優れたRIAが実施されている。
 また、RIAのチェックに対しては、カナダでは枢密院事務局(Privy Council Office 以下PCOとする)が規制当局とチェック機関が親密に連携することで、強権的(command and control)なチェックの方法を採用するよりもむしろ、最低限度の義務を課した上で、むしろRIAのモチベーションを高めようと努力している。RIA導入当初においては、こういった方法も参考になると考えられる。

1. はじめに
 カナダでのヒアリングや調査に際して、特に以下の(1)~(6)の点について重点を置いて調査した。以下の項目の詳細は4から10節で述べるが、ここで簡潔にまとめる。
(1) RIAの目的
RIAを行うことによる規制制定過程の客観的なマネージメント、RIASの作成、官報(以下、Canada Gazette I,II)への掲載による規制制定過程の透明化
(2) RIA導入による変化
各省のRIAの導入による変化は以下の通り。
 環境省(Environment Canada)
ヒアリング(consultation) :従来より記録を厳格に行うようになった。
代替手段の検討:従来より多く行うようになった。
費用と便益の考察:従来は費用のみ。
 運輸省(Transport Canada)
コンサルテーション(consultation) :従来殆ど行わなかったのが行うようになった。
 財務省(Finance Canada)
変化なし。
(3) RIAのチェック
 RIAS自体が全ての規制に必須。しかし、内容についてクレームをつけることは非常に少なく、むしろRIAのモチベーションを高めようと努力している。
(4) RIAの作成
情報収集、費用便益の推計、分析ツールについては各省での差が大きい。以下では、環境省の規制を例にとって、RIAの手順を示す。
(5)分析水準と分析ツール
省庁間で標準化などは行われていない。環境省内では分析ツールや原単位の標準化の努力が行われている。
(6)トレーニングプログラム
 現在はなし。

 カナダでは、RIAを本格的に行い始めて10年程と米国に比べて歴史が新しい。加えてチェック機関のPCOも内閣の事務局の地位にあり、権限もそれほど大きくないため、command and control systemを採用せず、友好的にRIAのメリットを広め、RIAを行うmotivationを高めることに努めている。結果として、RIAの質も省庁間でのばらつきが大きいのみならず、RIAの施行体制自体も発展途上という印象を受ける。しかし、今後導入する我が国には、RIA導入当初の姿として、参考になる点も多いと考えられる。特に、カナダの環境省は予算枠の下、高いRIAの水準を実現しており、その分析方法、分析体制は日本でも十分模範となると考えられる。

 
表1:米国とカナダのRIAの比較
  米国 カナダ
RIAの用語 RIA、経済分析            (interchangeableに使用) RIA (output: RIAS)
根拠 大統領令12866 1986 年の議会令 委任立法法, 連邦規制制定ガイドライン
RIA作成の範囲 重要な規制(economically significant)ただし、DOTは全て実施。商務省もroutineの規制以外はRIAを行う。 すべての規制(全ての規制についてRIASが必須)
法律が除かれている理由 経済分析の対象自体が大統領府のみただし、議会系の独立委員会の規制もOMBほど体系的ではないがGAOがreview 法律の場合、定量的な分析こそ行わないが、Transparencyは議会での制定過程で十分保証されている。逆に各規制当局の規制制定はTransparencyも少ない場合があり、それがRIAを導入する一因
RIAのチェック機関 OMB(Office of Information and Regulatory Affairs Division) 大統領府のExecutive Office Privy Council Office(Regulatory Affairs and Orders in Council Secretariat)
内閣の事務局。規制を最終的に認可するのは内閣の特別委員会(SCC Special Committee of Council )
RIAの作成 省内各局のエコノミストが作成し、省内のSecretary Officeの法律家が最終チェックし、OMBに送る。 局毎に作成するが、米国よりもエコノミストが少ない(ECのみ)。技術者が作成するケース(TC等)も多い。
ガイドライン 各省庁や省庁内の局で独自のガイドラインを作成 PCOのガイドラインを利用
RIA の記述内容 (経済分析の内容)
Rationale
Alternative
Cost and Benefit (assessment) Description
Alternatives
Benefit and Cost
Consultation
Compliance
contact
RIAと規制との関係 OMBがRIAを認可しないと規制自体が大統領に批准されない。 RIAS自体は規制には必要不可欠。また、PCOが規制案をSCCに報告する。しかし、SCCに各省の大臣が参加しており、OMBに比べて、権力が弱い。
公表 Federal Register(ただし、経済分析はSummeryのみ) Canada Gazette(ただし、RIAの分析はSummeryのみ)


1. 近年の状況
 世界的にRIAの施行と規制・行政改革の流れが対応しており、行政改革を遂行してきた主体がRIAも行なうという形態が採用される可能性がある。カナダでは行政改革がPCO→SCCというラインで進められ、一定の成果が挙げられている。RIAのチェック機関も昨年から財務委員会(Treasury Board Secretariat 以下財務委員会とする)からPCOに移行しており、上記の行政改革での成果と移管とは無関係ではないと考えられる。
 また、PCOが内閣の事務局で、重要な規制を最終的に決済する内閣の特別委員会(Special Committee of Council 以下SCCとする)の事務局になるため、主要な規制の最終的な採決はPCO→SCCというラインで行なわれる。
 財務委員会が政府全体の政策や事後的な政策の見直しを担当するのに対し、事前の規制制定に関しては、RIASのチェックを含めてPCOが担当することで、規制制定のプロセスに関して責任の明確化を図ったという意味合いもあると考えられる。

2. 制度
ここでは、RIAの定義から作成手続き、当局の義務、RIASの内容等について具体的に記す。

① RIAの根拠
RIASはSCCが認可する全ての規制(Governer in Council Regulation)に義務付けられている。
 規制制定に関係する法律やガイドラインとしては、委任立法法(the Statutory Instruments Actおよび委任立法規制(Statutory Instruments Regulations)、連邦規制制定過程ガイド(Federal Regulatory Process Guide)、カナダ政府規制政策(GOVERNMENT OF CANADA REGULATORY POLICY) 等があげられる。しかし、これらに規制影響分析を行なう根拠や直接RIAに関する記述は無いため、ヒアリングしたところ、1986年に内閣令(Cabinet Directive)が発せられ、RIAを規定しているカナダ政府規制政策(現在は1999版)が是認されている 。また、全ての規制にRIASを義務付けられている点に関しては、各省ともPCO、ひいてはカナダ政府の政策の一環として、RIAを施行する義務が生じると考えているようである 。

②規制の定義
規制の定義に関しては委任立法法に定められており、委任立法とは任意の規則、制令、規制、布告、指導、慣例、様々な税率等を意味するとなっている。より厳密な定義は補足1に記す。特にRIAの対象としては、国会制定法(legislation)を補足するものが相当し、それに関しては制定法に規定されている等の例外を除き全てRIASが付随することが義務付けられている。逆に、立法についてはRIAの対象から除外されている。

③RIAの作成及びチェック機関
カナダでは規制インパクト分析をRIA(Regulatory Impact Analysis)、その結果の記述をRIAS(Regulatory Impact Analysis Statement)と呼ぶ。RIAの施行及び、及びRIASの作成義務は規制当局にあり、チェック義務をPCOのRegulatory Affairs and Orders in Council Secretariatが負っている。PCO(枢密院事務局)は重要な規制の最終的な決定を行う内閣特別委員会:SCC(Special Committee of Council)の事務局に相当する。PCOはSCCに規制が提出される際にRIASをチェックし、RIASを他の資料とともに規制に附随させる形でSCCに提出する。

④RIASの対象
 上述②の定義にあてはまる全ての規制は批准の手続きの相違や議会の要請等によって区別されている。以下では、SCCで是認されることで始めて効力を発する規制(Governer in council Regulation 以下この範疇に限定して説明)に絞って解説するが、基本的に官報に掲載されるすべての規制にはRIASを付与することが義務付けられている。
 しかし、上述のように、国会制定法自体はRIAの対象外である。これについてもヒアリングを行なったが、官庁のほうがtransparencyが低く、国会にはtransparencyが十分あったため、RIAが立法過程には必要ないといった返答や、法律の場合具体性に乏しく、費用便益分析の枠組みに合致しにくいといった返答がえられたが、説得力が十分あるとは考えにくい。
 抽象的であれば計量化するのは難しいにしても、その分経済の理論モデルには当てはまりやすいという面も指摘され、RIAをより抽象的な法律の段階で行なうことにも十分意味がある。加えて、米国OMBのMorall氏のコメントにあるように、RIA導入の目的の一つは政官財のいわゆる「鉄の三角形」を打ち破り、政治力ではなく客観的な分析に基づいた政策決定を促進することにある。政治において客観的な分析を導入するという観点からは、立法に関しても経済分析やRIAを導入することが望ましい。
ただし、税法の変更やそれに伴う税率の改訂などに関しては、担当する財務省によると、RIA導入以前から規制草稿段階で経済学者を交えた議論やヒアリング、公聴会を十分行なってきている。そこから判断すると、国民の関心事項に関しては、十分な透明性の下、客観的な議論がRIA導入以前から行われてきていることが伺え、立法過程での情報公開制や客観性についても何らなかの処置がされていることが連想される。実際、財務省においては、RIAは単なる付け足し程度にしか考えられていない。
その意味でRIAは、分析が困難な社会的規制に対して客観性を保証することや、従来独力で規制制定を行い、やや透明性の低かった規制当局に対して透明性の確保をねらって導入されたということが伺える。

⑤規制のプロセス
以下では、規制にまつわる一般的な手続きを記述する。なお⑥では是認までのより詳細な手続きについて示す。⑥は以下のURLにある連邦規制制定ガイド(Federal Regulatory Process Guide)を参考に上述のGoverner in council Regulationのケースを例にとってまとめた。Federal Regulatory Process Guide 自体はPCOにRIAのチェックが移管されて間もないこともあり、昨年までチェック機関であった財務委員会が作成したものを利用している。

http://www.pco-bcp.gc.ca/raoics-srdc/procguides/regprocguid_e.htm

規制の草稿、維持、制定手続きは(1)問題の発見~(4)事後的モニターまでの4段階からなる。

1)問題の特定
行政関与の必要性の確認、利害関係者へのヒアリングとそのフィードバック等を行なう。その後、規制制定の意図(Notice of intent)があることを早期にCanada GazetteIへの掲載、加えて、Federal Regulatory Plan(Regulatory Affairs (RAD), 財務委員会発行)へも掲載するようにする。

2)問題の特定と代替手段の考察
問題が特定され行政関与が必要と考えられた場合、様々な方法を先ず検討することが要求される。

3)規制の認可プロセス
 大臣が規制を検討するために、規制当局は様々な書類を作成しなければならない。
重要書類:当該規制及びRIAS
大臣への補助資料: communications plan、supplementary note
その他:a letter of transmittal, a ministerial recommendation, an Order in Council/order, a notice of prepublication (for the Canada Gazette, Part I only). memoranda to Cabinet, a Treasury Board submission.

うち、RIASは提案される規制全てに必須で、大臣への説明資料としてだけでなく、一般への説明資料でもあるのに対して、Communications plan、Supplementary noteは、ともに大臣の説明資料のみの役割を担う。

4)モニター
規制が制定された後、財務委員会が規制当局のパフォーマンスと規制政策の効果をモニターする。

⑥認証の手続き
以下では、⑤のプロセスの中でもRIAに関連する認証の手続きについてGovernor-in-Council (GIC) regulations についてSCCの認可までの手続きをまとめる。

Stage 1 –草稿(Drafting of documents)

Stage 2 – PCO等への提出(Submission to central agencies)
法務省規制部局(Regulations Section-Justice),PCOへ草稿を提出。

Stage 3 – 草稿のチェック(Central agency examination of the draft documents)
法務省規制部局:法的整合性の確認。確認後各規制当局の法務局(departmental legal services unit DLSU) とPCOの規制担当部局(Regulatory Affairs Division)に承認の連絡を行う。.

PCO規制担当部局:RIASの草稿をチェック。SCCへ提案するかどうか決定。

Stage 4 – 官報 Iへの掲載のSCCの認可(Submission to PCO (OIC) for SCC approval to prepublish)
草稿をPCOへ送付。月曜の4時までに送付すれば、1週間後のSCCの会議の議題となる。

Stage 5 – SCCの掲載決定

Stage 6 – 官報 Iへの掲載
掲載後少なくとも30日間のパブリックコメントの期間を設けなければならない。 Part I は毎土曜に発行される。パブリックコメントの後、変更があれば法務省規制部局の再度の承認が必要。また、RIASも変更する必要があり、それをPCOの規制担当部局に再提出する。なお、変更の後、18 ヶ月以上最終案(final rule)が公表されなければ、再度官報 Iへの掲載が必要。

Stage 7 - SCC の最終認可のためのPCOへの申請
PCOへ必要な書類を送付。月曜の4時までに送付すれば、1週間後のSCCの議題となる。

Stage 8 - SCC の最終認可決定

Stage 9 – 官報 IIへの記載と施行
Part IIは隔水曜日に出版される。委任立法法 では承認の23日以内の官報IIへの掲載を義務付けている。

3. RIASの内容
前述のように、RIASは法律には義務化されていないが、それを補足するすべての規制に必須となっている。各規制当局がRIASを作成した後、PCOがチェックする。
RIAS に含まれる項目は以下のとおりで、全てのRIASには以下の項目が必須となっている。ただし、費用と便益の項目に分析結果全てが掲載されるわけではなく、分析が膨大になっている場合はその要約のみの場合が多い。逆に簡単な規制のRIASは簡単な記述にとどまっている。

 規制の内容(description)
 選択肢(alternatives)
 費用と便益(benefits and costs)
 ヒアリング(consultation)
 規制遵守(compliance and enforcement)
 問い合わせ(contact)

RIASの作成プロセスや分析ツールについては以下の節で詳しく述べるが、RIAの分析水準に関しては、規制当局毎に開きが大きく、環境省や運輸省、厚生省の水準が比較的高い。米国では費用と便益の分析が学問的な水準と同程度に達しており、代替案の選択やその費用便益分析も厳格化するという段階までノウハウが進んでいるのに対して、カナダでは、費用と便益の査定を厳格化するということに主眼が置かれており、代替案の候補を厳選したり、それに対する費用便益分析を厳密化するといったところにまでは至っていない。
RIASの具体例に関しては補論にも掲載するが、以下ではカナダの環境省でのヒアリングを下に、RIAS作成のプロセスを以下のフロンガス使用規制に関するRIASを例にとって説明する。

[RIAS of OZONE-DEPLETINGSUBSTANCES REGULATIONS, 1998についての解説]
http://www.ec.gc.ca/ozone/odsr/english/rias/

この規制は、従来のオゾン層破壊物質の利用等を制限する規制(Ozone-depleting Substances Regulations)と特定生産物におけるオゾン層破壊物質の使用に関する規制(Ozone-depleting Substances Products Regulations)をコンプライアンスやエンフォースメントを統合し、オゾン層破壊物質の利用等を制限する規制(Ozone-depleting Substances Regulations)に一本化するものである。RIAではその際の便益、費用、結果としての純便益が算出されている。
 このRIASについては、1人の環境省のアナリストが1年間専属となり、業務量全体の30%程度を費やして完成させた。また、1社のコンサルティング会社に対して分析の一部を 5万カナダドル、つまり360万円程度(1カナダドル=72円とする。 11月27日の値より)で委託している。 結果として、このRIASのトータルコストは $75 000≒540万円程度となる。フロンガスの削減による便益の算出や産業界の費用データ収集といった大がかりな計算が必要となるにもかかわらずこの程度のコストで済んでいるのは、従来からの研究成果を参考にしている点が大きい。
 特に計算が困難なフロンガスの削減によるオゾン層保護の単位当たり(ODP1単位当たり)便益の推計は以下のようにして行われている。
 90年代初期からカナダ環境省ではODP(Ozone Depleting Potential オゾン層削減物質)の削減による便益の推計と金銭評価に関する研究に対して、財政援助を行ってきた。
 こういった研究はオゾン層の破壊によって生じる人体や環境への被害、もしくはオゾン層の保護によってそういった被害がどの程度軽減されるかを推計し、それを金銭換算するものである。
 アプライドリサーチ(Applied Research Consultant(ARC))というシンクタンクはODP1トン当たりの削減便益を金銭換算した。金銭換算された便益には以下のようなものが含まれる。

• 人体への影響 – 皮膚ガンに関するもの;
• 物質に関する影響 – 人工ポリマーへの影響
• 漁業への影響
• 農業への影響

ARC は米国環境庁が開発し、人体への影響を推計した紫外線照射モデル(ultra-violet radiation exposure model)を人体のみならず、他への影響の推計にも適用した。しかし、ARCの報告は不確実性を考慮した広い範囲にまたがらざるを得なくなっている。先ず、カナダのみがフロンの防止を行ったと想定した場合、便益は $11,000 から $45,000つまり、80万円から320万英程度、平均で160万円程度に止まるのに対して、モントリオール議定書に賛同した批准国のほとんどすべてがフロンガスの削減を行った場合、 $225,000 つまり1620万円に上る。こういった数値をARC は 1997 年基準で60年間にわたる便益を割引率 5%で推計しており、不確実性に対する対処のため、上記のような広い許容範囲を設けている。
 こういった値のうちどれを規制当局が採用するかは裁量に委ねられる。他の批准国も遵守する可能性が高いが、ここでは、出来るだけ保守的な分析結果を導出するため、1トン当たりの便益についての便益の範囲を、下限が80万円($11,025)中心が160万円($22,050)最高で1620万円 ($225,000)とし、平均は670万円($93,000)としている。
 なお、これ以外にもいくつかの背景となる研究があり、分析に対するサポートとしている。
 最後に分析過程を簡単に以下のようにまとめる。

・ フレームワーク
費用と便益の推計には多くの段階が踏まれている。これらの分析には以下のステップが踏まれている。

1. 対象となる産業での段階的除去に関するオプション(時間や資本に関して)の定義
2. ベースラインの設定
3. 費用、便益の推計(費用データの総合、便益の算出等)
4. 主要な変数について、不確実性に関するテストを行い、純便益の上限、下限を特定する。
選択肢に関して、費用と便益の含意(インプリケーション)を特定する。

なお、このRIASによると、費用が便益を上回っており、それだけから判断すると、この規制の導入は望ましくないという結論に至る。しかし、モントリオール議定書の遵守が条約の批准により優先されること。便益が上述のように低めに評価されていることなどにより、この規制の場合は導入されている。

4. RIAの目的
 以降の節では、1節でまとめたヒアリング結果を中心にして、RIAに関するポイントについて述べる。先ず、RIAの目的についてヒアリングしたところ、カナダに最大限の純便益をもたらすこと、規制制定のプロセスをクリアーにすること、システマティックな手続きを可能とするといった回答が得られた。また、RIAのプロセスとRIASとを区別した場合、RIAの作成自体は規制制定の目的やそれを達成するための最適なアプローチの特定をサポートしている。それに対して、RIAのアウトプットであるRIASは広く公開することで、大臣用の説明資料としてのみならず、パブリックへの説明資料ともなり、規制制定過程の透明性確保に役立っている。その他、規制の条文に比べて、RIASは簡潔かつ客観的で解りやすいので産業を中心とした利害関係者(stakeholder)への説明資料としても有効であるといった意見も聞かれた。

6.RIA導入による変化
 RIAの導入が具体的にどういったメリットをもたらし、行政や規制制定のプロセスをどのように変えたかについては、規制制定に関する透明性の確保がかのうになったこと、費用便益の考慮、代替手段の考察等が従来よりシステマティックに行われるようになったといった一般論が聞かれた反面、各省庁間での変化の差が大きいようである。RIA導入以前から同様の分析と情報公開を行ってきた財務省などでは、RIASを行うメリットを殆ど感じておらず、規制を解りやすくまとめるように規制の記述項目の記載に注力し、情報公開の一貫として役立てている程度にとどまっている。それに対して、民営化が促進される以前の運輸省のように、従来情報公開が不十分な省庁では、導入により非常に大きな変化が生じたようである。ここでは運輸省、環境省、財務省の例をとって、こういった変化を示す。

1)運輸省の場合
運輸省では民営化が促進される以前は、省庁規制については、パブリックコメントのみならず事前ヒアリング(pre-consultation)もほとんど行わず、産業界からデータをもらうことも少なく、独力で規制制定し、完了して初めてそれを公開する方法を採用していた。
しかし、6年前から行政のスリム化で運輸省の人員が20000人から5000人に削減されため、独自にすべての規制制定を行うことが物理的に不可能となり、透明化、客観化して、外部のデータなどを求めざるを得なくなった。
その結果、パブリックコンサルテーションも広く行うようになった。その際の説明資料としてRIASが効力を発揮した。RIASは政治家等の専門家のみならず一般の人にも分かりやすい資料なのが利点の一つ。また、そういったコンサルテーションによってデータを得られるようになったとのこと。
 なお、従来から圧力団体がロビー活動などで、当局に圧力をかけてこなかったかという疑問も生じるが、米国の圧力団体と異なり、カナダでは、圧力団体はアグレッシブではない。社会民主的な側面も米国より強く、例えば社会保険も国が提供している。結果として圧力団体より社会全体の厚生に着目する側面が強く、少なくとも運輸省ではあまり圧力団体が影響力を及ぼしていなかったとのことである。

2)環境省の場合
 先ず代替手段の考慮に関しては、より多くの選択肢について考察するようになったとのこと。特に環境省は管轄が大きい割に組織も予算も小さいので、エンフォースメンとが難しい。そのためより多くの選択肢を考慮して、出来るだけエンフォースメントのコストが低い物を選択する誘因が従来からあったことにもよる。
 次に費用、便益の分析については、従来は規制制定前には費用の算定のみで、便益は行っていなかったが、RIAの導入により、便益の換算も行うようになり、規制の説得材料が増加した。
 最後にコンサルテーションについては、運輸省と異なり、環境省では1970年の設立当初から十分なコンサルテーションを行なってきた。しかし、当時はその結果をフォーマルなドキュメントにまとめるといったことがなかったため、RIAの導入で、フォーマルなドキュメントにまとめ、それを公開するようになり、記録が正確になり、手続きもシステマティックになったとのことである。

3)財務省の場合
 従来から規制制定の初期の段階からパブリックヒアリングを行い、経済学者も含めて規制(主に課税ベース:tax baseの決定)を行って来たため、RIASは付け足し程度にしかなっておらず、他省庁が全て行っているので、足並みをそろえる上で行っているに過ぎない。作成も1人が半日程度で作成可能。

7.RIASのチェック
・PCOのチェック部門
 前述のように、規制当局が作成したRIASをPCOの規制部局RAOIC: Regulatory Affairs and Orders in Council Divisionがチェックしている。規制部局RAOICは規制担当部局と枢密院令部局(Orders in Council Division)の2部門に分かれ、前者がRIASのチェックを後者が規制の官報への掲載などを担当している。
 RIASはドラフトの段階で、規制担当部局にも送られ、特に専門的な記述に対しての質問等を中心に規制当局に対するコメントを行う。
 規制担当部局では規制をレビューするスタッフが8から12人(最大)おり、すべての規制をレビューしている。個々人に担当の省があるが、スタッフのバックグラウンドは様々で、様々な専門を有しているため、全員で相談するなどして足りない部分を補う形でチェックを行っている。

・RIASの処理量
年間の規制の数は年度で差が大きいが、何千という単位にのぼる。RIASはすべての規制に義務付けられている。ただ、非常に重要な規制は10件弱で、これについてはより詳しい費用、便益の考慮が行われる。

・PCOの権限と、RIAの運営について
 米国と違って、議員内閣制なので、各大臣が議会から任命される。各大臣がSCCのメンバーで、PCOよりも権限があるため、大臣に逆らって規制を阻止することは難しいと考えられる。その点米国のOMBに比べて権限は小さい。その結果、RIA遵守を強権的に行おうとしても難しく、形式上はリバイスや訂正を強権的に要求することは可能だが、あまり行わない。むしろRIA作成の初期段階からPCOも加わり、協調関係の中で、RIASを改善していくという手法をとっている。
 ただし、SCCにおいて、RIASについての報告を行う権限を有しており、そこでRIASの質を避難されることは、規制当局でのRIAS作成担当者の立場を悪くすることにもなりかねないため、RIAの担当者がまじめにRIAに取り組むという面はあるとのこと。
 しかしながら実際はRIASのリバイスを要求されることも殆どなく、コメントといってもほとんどは専門的な点を平易に直す要求が中心。他省庁でのヒアリングでもこれは確認され、コメントはPCOのスタッフが解らないことを質問するという状況が殆どとのこと。その結果省庁間でのノウハウに関する標準化といったこともあまり行われておらず、割引率やツールなどについてもそのツールを使う意義さえはっきりさせさえしていれば分析や省庁毎に異なる値が認められている。

・モチベーションの与え方
 上述のような強権的なチェックを行っていない場合、規制当局にインセンティヴを与えることは難しいと考えられる。PCOとしてはRIAの意義を諭し、コミュニケーションを多く取ることで、モチベーションを高めるというやり方を採っている。ただし、米国ほどではないが、訴訟対策という面もある。裁判では法律は難しいので、RIASが読まれることが多いため、訴訟に備えて、適切にRIASが書かれる面は存在する。

・その他
なお、規制当局は分析を外注することがあるが、PCOはチェックを外注しない。ベストプラクティス集についても作っておらず、評価を公表することもそれが政治的な問題を引き起こしかねないので行っていない。ただし、6件のRIASの事例について現在ケーススタディーを外注して調査中である。

・公表について
Canada Gazette(官報)にはすべてのRIASが掲載される(草稿がGazette Iに、最終がGazette IIに掲載される)。しかし、すべてのdocumentが掲載されるわけではなく、分析は結果のみの場合もある。残りのドキュメントはRIASに記述されているcontact personに要求すれば得られる。

8. RIAの実施及びRIASの作成

ここでは、運輸省と環境省からのヒアリングに基づいて、RIAの作成プロセスについてまとめる。
1) 運輸省におけるRIAの実施及びRIASの作成
・RIA作成量と作成スタッフ
運輸省が導入する規制は1999年は20程度にとどまる。ただし、年によっては数千になることもある。その中で重要な規制は1~2程度、しかし、経済的なインパクトが1500万ドルを超えるものは殆ど無い。RIAを担当するスタッフについては、例えば航空部門はカナダでは重要な部局で、運輸省の半分規模になるが、その全体で何千人のスタッフがおり、何百人という単位の技術関係者に対し、RIAを専門的に行なうのは5,6人。ちなみに規制制定部局には8人いて、うち経済学者は1人。ただし、RIAのコストについても独立採算ではないため、完全には明らかに出来ない。

・データの収集について
 プリコンサルテーション(パブリックヒアリング)の際に産業界からデータを収集する。また省内にデータベースもあり、規制の運営環境に関するデータが使えるのに加え、カナダの統計省のデータも使う。また、製造業者へのヒアリングも行う。ただし、米国の運輸省のように実験のための研究室を独自に持っているわけではない。また、他省庁からデータを得ることは非常に難しいが理論的には可能である。ちなみに、環境省と異なり、データ収集などを外注するのは可能だが、現状ではほとんど行っていない。

・RIA作成のプロセス
 カナダ運輸省には、米国のような局(Administration)組織はないが、RIASを作成した後、それをシニアマネジャー、運輸大臣へ提出するといった省内手続きを経て、PCOに送る。また、規制制定のプロセスとRIAのプロセスは形式的には規制が先でRIASがあとということになるが、データの収集も含め、実際には共同で行われる。

・PCOとの関係について
 PCOと運輸省は友好的な関係を保っており、特にPCOの組織変革が行なわれた最近の2~3年については特に望ましい関係にある。規制を導入しようとしたが、PCOから問題を指摘され、規制を取り下げたという事例も1件だけ存在するが、通常はPCOが行なうコメントは質問程度で、PCOがRIAを内容的にリバイスさせるといったことも殆ど無い。

・その他
米国の運輸省では省内独自や局独自のガイドラインや手引書を作っているところもあるが、ここではガイドラインは独自のものはなく、PCOのガイドラインを用いている。ただし、公共工事関連の費用便益分析のノウハウは古くから蓄積されており、費用便益分析についてのガイドは独自に作成している。

2) 環境省におけるRIAの実施及びRIASの作成
・ 経済分析関連の組織
環境省の経済・規制部門(Economic regulatory affair)が以下の3部局に分かれている。
 (a)環境経済研究部門(Environmental Economics Branch)研究、金銭評価を行なう。 
 (b)経済問題担当部門(Economic Issue Branch)
(c)規制及び経済分析担当部門(Regulatory and Economic Analysis Branch 以下REABとする) 
   RIAを担当

このうち、REABが環境保護関連(Environmental Protection Service)の規制についてRIAを行う。また、カナダには環境省の外部組織として、各州間のコーディネーションを担当する環境庁やカナダ野生保護動物保護局(Canadian Wildlife Service  以下CWSとする)等があり、それぞれに独自のRIAのスタッフを抱えている。CWSでは環境維持局(the Environmental Conservation Service)が野生動物保護に関する規制の RIAを行う。以下では、環境省内のREABに着目して、RIAの作成過程についてまとめる。上述のフロンガスの規制に関するRIASはここで作成されている。

・REABのスタッフ
REABのスタッフについては全体で、11人、うち経済学者が7人。ここでは年間5~10程度の規制についてRIAを行い、1件のRIAに1人の経済学者が割り当てられる。一人が平均で0.3年かけてRIAを書き上げる。(これは書く作業のみ。データの収集、費用便益の算定ははるかに時間をかけ、コンサルタントに依頼することもある。)なお、RIASはPCOに送付される前に規制及び経済分析担当部門の部門長(Director General (senior manager) of the Economic and Regulatory Affairs Directorate)がチェックする。

・データの収集や外注
データの収集や分析についてはコンサルタントに外注するケースもある。1999年では4社のConsultantと契約し、1社平均360万円(50,000カナダドル)。背景や市場調査などを含めたより大掛りな場合は 最大720万円(100 000カナダドル)程度で外注を行った。
独自のデータ収集とそのソースに関しては、カナダの統計省のデータ、NPRI (National Pollutant Release Inventory) the Assessment of Priority Substances (PSL) programで構築されたデータ等が利用される。また、また、産業界からヒアリングやカナダ産業省(Industry Canada)からの情報も利用している。
その他、上述のフロンガスの削減便益など、数件のRIASの作成に利用できるデータも多いため、データベースを作っていて、そこに単位当たり便益のデータを入力する作業を現在行なっている。加えて、分析ツールについても環境省内でも標準化し、改良する努力をしている。

・アカデミックな論文の参照について
原単位の算出などではアカデミックな論文の推計も利用可能であるが、あくまでカナダへ適用できるかどうかを検討した上で使用している。

9.費用と便益の分析について
 費用便益分析に関するマニュアルについては、財務委員会が発行した、規制プログラムに関する費用-便益分析のガイド(Benefit/Cost Analysis Guide for Regulatory Program)があり、それを各省とも参考にしている。独自のものを作成しているところは少ないが、前述のように、運輸省は公共事業の評価のために費用便益分析を従来から行っているため、事業評価に関するマニュアルを有している。
 前述のように、分析ツールや分析レヴェルについては各省庁間の格差が大きい。そのためここでも主に費用便益分析の水準が比較的高い環境省と運輸省に限って、ヒアリング結果をまとめる。環境庁等では便益の金銭評価を相当程度行なっているが、それでも完全な金銭評価は難しく、費用-便益分析を完璧に行っているという状況ではない。むしろ、まだ費用と便益の査定(アセスメント)をしているといほうが正しい。ただしこれは米国にもあてはまることであり、特に費用と便益の金銭化に関しては、経済学の学問的課題の一つである。

1)運輸省
Value of Lifeについての金銭評価については、現在1.5百万ドル程度の数字を使ってもいるが、公にすると政治的にセンシティヴな問題になるので、公にはしていない。また、割引率については財務委員会からの要請により10%を使用している。なお、CO2のダメージコスト等環境への影響に関しては、環境省で考慮しており、運輸省ではあまり評価していない。

2)環境省
便益の単位に加え、分析ツールについてもEC内で標準化する努力をしている。なお割引率については、5~15%を使用し、感度分析を用いて比較検討している。
その他の金銭評価についても出来るだけ行う方向で分析している。ただし、それらをすべて公開すると批判もあるし、政治的な問題もあるため、官報に分析過程をすべて掲載しないようにしている。

10.トレーニングプログラム
 カナダのRIAに関するトレーニングプログラムについて言及する。以前財務委員会がRIASのチェックを担当していた時期は、財務委員会がRIAに関するトレーニングをする義務を負い、トレーニングプログラムを担っていたが、現在はそういったプログラムをオフィシャルに行なっているところは無く、民間のコンサルタントでプログラムを実施しているところが残るのみである。しかし、トレーニングプログラムの是非についてはカナダでも現在検討中である。

11.結語
 カナダでは議院内閣制を採用していることや、RIAを本格的に行い始めて10年程度(運輸省のヒアリングでは5年程度)しか経っていないため、新たにRIAを導入する我が国にとっては参考になる点が多いと考えられる。
 上述のように、先ずRIAの作成に関しては、カナダの環境省の手法が非常に参考になる。カナダの環境省は、米国のEPAに比べて予算が少ないにもかかわらず、質の高いRIAを実現している。RIAにおける分析は概して、
 ①規制の費用、効果についてのデータの収集
 ②便益に関する金銭換算
 ③収集した費用データやコンプライアンスコストを考慮しつつ、費用便益分析を行う

という3ステップに大別される。カナダの環境省では、米国の運輸省等と同様、①についてはコンサルティング会社に調査を依頼するケースもある。また②については、当該規制のみならず今後導入が予想される規制や関連する規制のRIAにも利用できるため、ひとつのプロジェクトとして財政支援を行い、調査を行っている。それによって、カナダの環境に合った便益評価を実現している。そして③のプロセスについて、内部のRIA作成担当者がそういった調査や推計データを利用しながら、RIASにまとめる。
 このように、データの共有、データベースの構築や適切な外注状況により、すべての分析を内部で行わなくとも、規制制定のマネージメントと透明性の確保両方を達成するような優れたRIAが実現されることになる。
次にRIAのチェックに関しては、内閣の事務局であるPCOが、最終的に規制を是認するSCCのサポートを兼ねて行っている。米国では大統領制の下、チェック機関のOMBが大きな権限で、強権的にRIAを遂行している。それに対して、PCOは早い時点からRIASの作成に協調的に携わり、より親密かつ密接なコミュニケーションを維持しつつ、RIAの質を向上させるという方針を採用している。米国がインセンティヴを高める方法を採用しているのに対して、カナダではモチーベーションを高める方法を採用していると言えよう。実際、RIASのチェックに基づいて規制が撤回させられた例がカナダでは稀有なのに加え、RIAS自体への質問やリバイスについてさえ、分析手法等に関する問題の指摘というより、専門的な記述に対する質問や平易な用語への変更といったことが殆どになっている。チェック機関がRIASの意義を諭し、規制当局とのコミュニケーションを密にして、モチベーションを高め、規制当局の自主性に任せながら、RIAを改善しようとしている姿勢がうかがえる。
 ただし、当然のことながら、こういった場合RIAを促進するインセンティブの有無で、規制当局間の分析水準に格差が生じることが懸念される。RIAを行なう誘因が無い省庁ほどRIAを行なわせる必要が存在することも事実であり、これをどう処理していくかはカナダにおいても今後の課題であろう。
 しかし、RIA導入当初においては、規制当局のみならずチェック機関にも十分なノウハウが蓄積されていないのも事実である。そういった場合、導入初期から強権的なチェックを行うことは、費用便益分析とその経済的意味に関するチェックよりもむしろ体裁などに着目した形式主義的なものに止まる懸念も生じる。現在は強力な権限を持つOMBでさえ、当初は単なるコーディネーターとしてのみ位置づけられていたことを鑑みると、導入初期にはPCOの方法が有効だといえるかもしれない。先ずRIASの義務化のみを行い、内容については規制当局のみならずチェック機関にも適度にノウハウが蓄積された後、より踏み込んだチェックを行うという段階を踏むことが考えられる。
 いずれにせよ、RIAは社会全体の厚生を最大化するために行うべきもので、チェックもその観点に乗っ取って行う必要がある。

補助資料1 RIASの具体例
 ここでは、最近Canada Gazette IIに掲載されたRIAを任意に抜き出して参考までに掲載した。記載したのはカナダ産業省、運輸省、環境庁が管轄する規制のうち、最近のCanada Gazetteに掲載されたものや、上記のOZONE-DEPLETING SUBSTANCES REGULATIONS, 1998。

例1:Regulations Repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations http://canada.gc.ca/gazette/part2/ascII/g2-13421_e.txt
(Canada Gazette, Part II Volume 134, Number 21OTTAWA, WEDNESDAY, OCTOBER 11, 2000)

REPEAL
1. The Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations (<Reference 1> SOR/93-134) are repealed.

TRANSITIONAL PROVISION
2. For greater certainty, it is not an infringement of a patent for any person who makes, constructs, uses or sells a patented invention in accordance with subsection 55.2(1) of the Patent Act to make, construct or use the invention, during the six month period immediately preceding the date on which the term of the patent expires but before October 7, 2000, for the manufacture and storage of articles intended for sale after the date on which the term of the patent expires.

COMING INTO FORCE
3. These Regulations come into force on October 7, 2000.

REGULATORY IMPACT ANALYSIS STATEMENT
(This statement is not part of the Regulations.)

Description

These Regulations repeal the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations.

The Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations were enacted in 1993, as part of the reforms to the Patent Act brought into force with the passage of Bill C-91, An Act to Amend the Patent Act (1992). Foremost among these reforms was the phasing-out of the compulsory licencing regime, a federally regulated arrangement whereby second-entry drug manufacturers (usually generic drug companies) could, on the payment of royalties to patent-holding innovator drug manufacturers (usually brand-name drug companies), obtain licences to sell generic versions of patented drugs.

While Bill C-91 brought about the extinction of the regime of compulsory licencing, it also introduced into the Patent Act two provisions that provide exceptions to the otherwise exclusive rights of the patentee to make, construct, use or sell a patented invention. The first such provision, subsection 55.2(1) of the Act, gives second-entry manufacturers the right to work a patented product for the purpose of completing whatever regulatory approval process applies to the product. The second such provision, subsection 55.2(2) of the Act, allows second-entry manufacturers to work a patented product for an "applicable period provided for by the Regulations" in order to stockpile an equivalent product which may then be sold after the relevant patent(s) expires (assuming the regulatory approval process has been completed). In the pharmaceutical industry, these provisions are designed to promote the entry onto market of generic drugs as soon as possible after the expiry of the patent(s) for the brand-name product.
Subsection 55.2(3) is the provision of the Patent Act that gives the Governor in Council the authority to make regulations for the purposes of the subsection 55.2(2) stockpiling exception. The Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations were the only set of Regulations enacted pursuant to that authority. By providing for a six month "applicable period", the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations gave effect to the stockpiling exception. The effect of the present Regulations repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations is to render the stockpiling exception of no legal force or effect.

International Trade

Repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations became necessary in order to comply with a ruling of the World Trade Organization (WTO) Dispute Settlement Body (DSB) dated April 7, 2000, adopting the Panel's report in the case of "Canada - Patent Protection for Pharmaceutical Products". That case arose out of a challenge to the exceptions of subsections 55.2(1) and (2) of Canada's Patent Act brought by the European Communities and their member States (EC) under the WTO Dispute Settlement Rules and Procedures. In the Panel's report, dated March 17, 2000, it endorsed the regulatory approval exception but found the stockpiling exception to be inconsistent with Canada's international obligations under the Agreement on Trade-Related Aspects of Intellectual Property Rights (TRIPS).

The TRIPS Agreement is annexed to the Agreement Establishing the World Trade Organization, which Canada entered into in 1994, following its participation in the Uruguay Round of Multilateral Trade Negotiations, the most recent round of multilateral trade talks under the General Agreement on Tariffs and Trade (GATT). TRIPS establishes intellectual property protection standards to which WTO members must subscribe. It came into force in Canada in 1996.

In challenging subsections 55.2(1) and (2) of the Patent Act, the EC argued that the two provisions gave rise to exceptions in patent protection which were incompatible with the exclusive rights mandated by TRIPS. In defence of subsections 55.2(1) and (2), Canada explained that the two provisions constituted limited exceptions permitted by TRIPS to the exclusive rights conferred by a patent and as such, were designed to foster a balanced patent regime which promotes effective patent protection, while allowing competitive drugs to reach the market as soon as possible upon patent expiry.

While there is ample evidence to indicate that the subsection 55.2(1) regulatory approval exception succeeds in its intended objective, evidence of a relationship between the subsection 55.2(2) stockpiling exception and the entry onto market of generic drugs is less clearly established. It has been demonstrated that without the regulatory approval exception, the market access of generic drugs would be delayed by a period of 3 to 6( years (the average range of time required to complete the regulatory approval process for a generic drug). In contrast, even without the stockpiling exception, generic manufacturers typically have a number of months to manufacture and store product in the period between the regulatory approval date and the date a drug becomes listed on provincial formularies (upon which market penetration of generic drugs largely depends). Accordingly, Canada's loss on stockpiling is minimal when compared to its successful defence of the regulatory approval exception.

In finding the stockpiling exception to be inconsistent with TRIPS, the Panel concluded that "[t]he exception created by subsection 55.2(2) does not become effective until implementing regulations are issued". It then noted that "[t]he only regulations issued to date under the stockpiling exception have been regulations making the exception operative with regard to pharmaceutical products". By repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations, thereby rendering the stockpiling exception of no legal force and effect, Canada will have complied with the terms of the Panel's report and brought its patent protection into conformity with its TRIPS obligations.

Alternatives

In determining how to respond to the DSB's request that Canada bring subsection 55.2(2) into conformity with TRIPS, Industry Canada, Health Canada and the Department of Foreign Affairs and International Trade (DFAIT) considered two alternatives to repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations.

Status Quo

Notwithstanding its international treaty obligations Canada had the option not to implement the DSB's request. To do so, however, was considered unsound given that under WTO rules governing the settlement of trade disputes it would have allowed the EC to bring economic sanctions against Canada.

Legislative Change

Industry Canada, Health Canada and DFAIT also considered implementing the recommendations of the Panel by repealing subsection 55.2(2) of the Patent Act. However, in view of the fact that implementation of the Panel's recommendation could be achieved either by regulatory or statutory repeal, the relative complexity and length of the legislative process militated towards implementation by regulation.

Benefits and Costs

Benefits

By repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations these Regulations bring the protection provided by Canada's Patent Act into conformity with its international obligations under TRIPS. As a result, Canada will avoid the operation of Article 22 of the WTO Dispute Settlement Understanding (DSU), which calls for the payment of compensation or the suspension of concessions in the event a member of the WTO fails to implement a Panel's recommendations.

Costs

The nature of the generic drug industry is such that effective market penetration for a generic product is in large measure dependent on its being listed as interchangeable with the brand-name equivalent on provincial drug formularies. In most provinces, there is typically a lag time of several months between the date a generic drug manufacturer obtains Health Canada's regulatory approval for a drug and the date the drug becomes listed as an interchangeable product. Given that generic drug manufacturers have expressed confidence in their ability to generate industrial scale production levels in a very short space of time, the loss of the ability to stockpile patented drugs within the six months preceding patent expiry is not expected to have significant economic consequences. Nor is the loss of stockpiling expected to impact significantly upon Canadian consumers' access to generic drugs.

Consultation

The Government has maintained an ongoing dialogue with industry stakeholders throughout the proceedings before the WTO. In the context of doing so, an invitation was extended to stakeholders to participate in the formulation of Canada's defence submissions. This invitation was accepted by the Canadian Drug Manufacturers Association (CDMA), an industry association representing generic drug manufacturers. Consultations were also held with the Provinces, to ensure that provincial officials were kept abreast of all material developments relating to the implementation of the Panel's recommendations.

The proposed repealing Regulations and an accompanying Regulatory Impact Analysis Statement (RIAS) were pre-published in the Canada Gazette, Part I on August 5, 2000. A 30-day consultation period followed, during which interested parties were invited to make representations.

Canada's Research Based Pharmaceutical Companies (Rx&D) expressed approval with the proposed Regulations and noted that in repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations Canada was fulfilling its international obligations under TRIPS.

The CDMA expressed concern over the absence of a transitional provision in the proposed Regulations. In the CDMA's view, the proposed Regulations create "ambiguities" in the law with the result that a generic manufacturer could become liable in infringement for manufacturing stockpiles prior to the date of repeal of the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations but before the date of patent expiry. The CDMA therefore requested that the Regulations be clarified to specifically provide that acts performed in reliance on what the law was do not "become infringing by retroactive effect".

Paragraph 43(c) of the federal Interpretation Act, R.S.C. 1985, c. I-21, provides that the repeal of an enactment does not affect rights accrued under that enactment. This is a codification of a longstanding rule of construction under the Common Law which presumes, in the absence of evidence to the contrary, that the legislator, for reasons of fairness, does not intend to interfere with vested rights. While the proposed repealing Regulations do not contain any ambiguous language which would tend to rebut the presumption of non-interference with vested rights, for greater certainty and in keeping with the Government's original intent in the matter, the Regulations have been revised to include a provision of the kind requested by the CDMA. Section 2 of the Regulations in their final form thus explicitly protects from infringement liability the manufacturing of stockpiles of patented medicines done in conformity with the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations prior to the date of their repeal. Any manufacturing of stockpiles of patented medicines after the date of repeal of the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations will of course not be protected by this provision.

In addition to its concerns with the wording of the proposed Regulations, the CDMA also took issue with certain portions of the RIAS, as published in the Canada Gazette, Part I. Specifically, the CDMA disagreed with the Government's assessment of the anticipated impact the repeal of the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations will have on generic drug manufacturers and on Canadian consumers. The CDMA asserts that the loss of stockpiling will, in certain circumstances, lead to the delay onto market of generic drugs.

Compliance and Enforcement

In determining the "reasonable period of time" for implementation of the Panel's recommendations, Canada and the EC were unable to come to terms and the matter was therefore decided through binding arbitration. On August 18, 2000, the arbitrator ruled that under the circumstances a reasonable period of time was six months from the date the Panel's report was adopted by the DSB, on April 7, 2000. As a result, if Canada is to respect the arbitrator's deadline it has until October 7, 2000, to repeal the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations. Section 3 has thus been added to the Regulations in order to provide for a coming-into-force date of October 7, 2000.

Patent rights are private rights which, when not respected, are enforceable through civil proceedings brought by the rights holder against the infringer. Accordingly, drug manufacturers who fail to comply with these Regulations repealing the Manufacturing and Storage of Patented Medicines Regulations run the risk of infringement liability.

Contact

Serge Dupont, Director General, Corporate Governance Branch, Industry Canada, 5th Floor, West Tower, 235 Queen Street, Ottawa, Ontario K1A 0H5. Telephone: (613) 952-0736, FAX: (613) 941-8151.

具体例2:運輸省航空部門の規制に関するRIAS(1)

 Description

Part IX (Administrative Mechanisms) of the Canadian Aviation Regulations (CARs) and the Order Repealing Certain Orders Made Under the Aeronautics Act and the Air Regulations contain the list of regulations and Orders being repealed with the coming into force of the CARs. The Canadian Aviation Regulations replace the listed regulations and Orders.

Alternatives Considered

No alternatives were considered since this legislation is administrative in nature.

Benefits and Costs

There are no economic implications to Part IX or to the Order Repealing Certain Orders Made Under the Aeronautics Act.

Consultation

Part IX (Administrative Mechanisms) and the Order Repealing Certain Orders Made Under the Aeronautics Act have not been prepublished in Canada Gazette, Part I and no consultation has taken place with respect to this legislation. The remaining Parts I through VIII of the CARs have been extensively consulted through the Canadian Aviation Regulation Advisory Council (CARAC) process. Details of the consultation for each Part can be found in the Regulatory Impact Analysis Statement which accompanies Canada Gazette, Part II publication of each Part of the CARs.

Contact

Manager, CARAC Secretariat, AARBH, Transport Canada Safety and Security, Place de Ville, Tower "C", Ottawa, Ontario K1A 0N8 Tel: General inquiries: (613) 993-7284 or 1?800-305-2059; Fax: (613) 990-1198. Internet address:
www.tc.gc.ca.

具体例3:運輸省航空部門の規制に関するRIAS(2)
REGULATORY IMPACT ANALYSIS STATEMENT
(This statement is not part of the Regulations.)

Description

These proposed Regulations Amending the Canadian Aviation Regulations (Part VI - General Operating and Flight Rules) include changes to Canadian Aviation Regulation (CAR) 605.33 (Flight Data Recorder and Cockpit Voice Recorder Requirements) and the associated Standard. Upon introduction of the CARs in October 1996, CAR 605.33 expanded the requirements for Flight Data Recorders (FDRs) and Cockpit Voice Recorders (CVRs) which had been in force under pre-CARs regulations. Because of the increased coverage, this regulation was promulgated with a delayed implementation date. For certain aircraft operated under Part VII (Commercial Air Services), the implementation date for the requirements of 605.33 did not occur until February 28, 1997. For other aircraft affected by this requirement but not operated in a commercial service, the implementation date was July 31, 1997. Because of the delays in implementation and of the different implementation dates for different operations, the wording of CAR 605.33 was such as to ensure that, until the implementation dates had passed, there was no regulatory gap and regulations which pre-dated the CARs continued to apply to the relevant aircraft. The complexity needed to ensure pre-CARs regulations were in effect until the delayed implementation dates and, after those dates, the new regulations applied to the intended aircraft created sufficient ambiguity to make interpretation of this regulation difficult. The implementation dates have now passed and the proposed amendment is intended to clarify the application of this regulation.

Alternatives

Since this is a proposed amendment to an existing regulation, no alternatives to regulatory action are available to simplify and clarify the wording of CAR 605.33.

Benefits and Costs

The proposed changes in CAR 605.33 and its associated Standard will neither extend requirements to carry an FDR and a CVR to any Canadian aircraft which is currently exempt from such requirements nor will they exclude from these requirements any Canadian aircraft which is, at present, required to carry this equipment. They will improve the industry's ability to comply with these regulations by removing the complexities in the current regulation. Their benefit-cost impact will be essentially neutral.

Consultation

The members of the General Operating and Flight Rules (GO&FR) and of the Commercial Air Service Operations (CASO) Technical Committees were consulted with respect to these proposed amendments to the regulations. The actively participating members of these two Technical Committees include the Advisory Committee on Accessible Transportation, the Aerospace Industries Association of Canada, Air B.C., Air Canada, Air Canada Pilots Association, Air Line Pilots Association, Air Operations Group Association, Air Transport Association of Canada,, Canadian Air Line Dispatchers' Association, Canadian Airlines International Ltd., Canadian Association of Professional Radio Operators, Canadian Auto Workers, Canadian Balloon Association, Canadian Business Aircraft Association, Canadian Labour Congress, Canadian Owners and Pilots Association, Canadian Union of Public Employees, Canadian Air Traffic Controllers Association, Experimental Aircraft Association - Canadian Council, Hang Gliding and Paragliding Association of Canada, Helicopter Association of Canada, International Council of Air Shows, Parks Canada, Recreational Aircraft Association of Canada, Soaring Association of Canada, and the Teamsters. The members of the CASO Technical Committee recommended the implementation of these proposed amendments at a meeting in June 1997 and the members of the GO&FR Technical Committee recommended their implementation at a meeting in October 1997.

Compliance and Enforcement

These regulations will generally be enforced through the assessment of monetary penalties imposed under sections 7.6 to 8.2 of the Aeronautics Act or through suspension or cancellation of a Canadian aviation document.

Contact

Chief, Regulatory Affairs, AARBH, Transport Canada Safety and Security, Place de Ville, Tower "C", Ottawa, Ontario K1A 0N8 Telephone: General inquiries: (613) 993-7284 or 1-800-305-2059; Fax: (613) 990-1198. Internet address: www.tc.gc.ca.


具体例4:上記RIAS of OZONE-DEPLETINGSUBSTANCES REGULATIONS, 1998
http://www.ec.gc.ca/ozone/odsr/english/rias/(別添)
補助資料2 "statutory instrument(委任立法)"の定義
(Statutory Instrument Actより)
(a) Statutory instrument means any rule, order, regulation, ordinance, direction, form, tariff of costs or fees, letters patent, commission, warrant, proclamation, by-law, resolution or other instrument issued, made or established
(i) in the execution of a power conferred by or under an Act of Parliament, by or under which that instrument is expressly authorized to be issued, made or established otherwise than by the conferring on any person or body of powers or functions in relation to a matter to which that instrument relates, or
(ii) by or under the authority of the Governor in Council, otherwise than in the execution of a power conferred by or under an Act of Parliament,

but(b) does not include
(i) any instrument referred to in paragraph (a) and issued, made or established by a corporation incorporated by or under an Act of Parliament unless
(A) the instrument is a regulation and the corporation by which it is made is one that is ultimately accountable, through a Minister, to Parliament for the conduct of its affairs,

or(B) the instrument is one for the contravention of which a penalty, fine or imprisonment is prescribed by or under an Act of Parliament,

(ii) any instrument referred to in paragraph (a) and issued, made or established by a judicial or quasi-judicial body, unless the instrument is a rule, order or regulation governing the practice or procedure in proceedings before a judicial or quasi-judicial body established by or under an Act of Parliament,

(iii) any instrument referred to in paragraph (a) and in respect of which, or in respect of the production or other disclosure of which, any privilege exists by law or whose contents are limited to advice or information intended only for use or assistance in the making of a decision or the determination of policy, or in the ascertainment of any matter necessarily incidental thereto, or

(iv) an ordinance of the Yukon Territory or the Northwest Territories, a law made by the Legislature for Nunavut, a rule made by the Legislative Assembly of Nunavut under section 21 of the Nunavut Act or any instrument issued, made or established under any such ordinance, law or rule.

Determination of whether certain instruments are regulations
(2) In applying the definition "regulation" in subsection (1) for the purpose of determining whether an instrument described in subparagraph (b)(i) of the definition "statutory instrument" in that subsection is a regulation, that instrument shall be deemed to be a statutory instrument, and any instrument accordingly determined to be a regulation shall be deemed to be a regulation for all purposes of this Act.


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