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音楽産業を伸ばしていくために
音楽産業については、身近なだけでなく、現在の経済・経済学の重要な論点が多く詰まっているので、そのうち教科書にする予定ですが、少しづつまとめます。
先ず日本では音楽配信がまだまだ遅れていて、CDに頼っている結果、産業自体が低迷していますが、以下の表のように、世界ではストリーミングやサブスクが隆盛で、既に過去の音楽産業規模を抜いていいます。
https://news.yahoo.co.jp/byline/soichiromatsutani/20220926-00316791
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これが、日本の音楽産業の最大の課題です。ただし、日本は全ての面でオンライン化が遅れているわけではないです。すごいのはコミックス産業。最近電子書籍やコミックスに力を入れている出版社はすでに最高益を更新していますが、その理由が以下の電子コミックスの伸びです。
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ここは世界に誇れるのは有名ですが、こんなにすごいことになってます。就職活動先としても絶対狙い目です。
他のコンテンツ産業をいかにこれに近づけるかが課題です。エンタメ、特にアニメ・漫画、最近はシティポップまで、そもそも日本のコンテンツが世界で人気があるので、それを電子化して、著作権をちゃんと取って収益化するだけで十分な収益が得られます。
ほんと海外ではまだまだ日本のcity pop人気があって、台湾でバズった #下町ノ夏 さんの #CobaltTime が人気がでて、いまだにフォロワー700人キープしているってレベルです。
現在のコンテンツの海外展開について、詳しく書いているのが、
中山 淳雄さんの推しエコノミーです。
また、先日の経産省でのプレゼンは参考になります。
次に、日本の音楽産業が伸び悩んでいる理由として、上記のサブスク、ストリーミング配信の伸び悩みに加え、オリコンがCDにこだわってまともなランクとして機能しなくなった。なので、アリーナを満席にできるようなアーティストでも一般には知られないということもあると思います。現在はビルボードジャパンのランキングなどがおすすめですが、これについて経済学者として理由を述べたいと思います。
https://www.billboard-japan.com/charts/detail?a=hot100
経済は、ミクロ的な要因とマクロ的な要因に大別できるわけですね。なので、ミクロ経済学とマクロ経済学があります。りょうほう相互作用する部分もあるので、当然完全には切り分けられないのですが、できるだけどっちの要素かを判断するのは非常に重要です。まあ、当たり前ですが、点数が悪いのは、そもそも問題自体が難しくて平均が低いのか、自分だけが勉強してなくて、もしくは自分にはレベルが高すぎて悪いのかどちらかを判断するという話で考えてください。
それで、全体の動きを把握するような指標というのは非常に重要で、そのためにGDP含めたマクロ統計が存在するわけです。
株式指標も同様の働きがあり、日経平均株価(代表的な225社の単純平均:ただ株式分割の修正などのために現在は単純合計に近い数字)や、東証株価指数 TOPIX(東証一部の株式の時価総額の平均(なので、株価の加重平均)はこういった役割を果たします。
実はこういった指標は音楽のランキングでも重要だと思います。そういう意味で、昔のオリコンチャート、また、カウントダウンTVやザ、ベストテンといったテレビ番組のランキングも重要でした。にもかかわらず、2010年代CDが握手券に比例して、本当に聞きたい音楽のランキングと乖離してしまい、多くの人にどのような曲が人気があるかを的確に示すランキングがなくなって、日本でどういう音楽がヒットしているか本当にわからなくなりました。
それで、ゼミ生が After the Rain のファンだったんですが、さいたまスーパーアリーナを満席にできるアーティストを全然知らないっていうことが起こってしまいます。
その結果、自分に合った曲の新規開拓が難しくなって、私は米国のビルボードから洋楽のランキングをメインでフォローするようになりました。それも需要が海外に流れ、日本の音楽に目が向けられない理由の一つではないかと思います。
そういうわけで、どういうものがいいかを探すのが難しいのですが、その意味でYouTubeやTikTok他、SNSも含めたプラットフォームが提供する情報重要ですね。私もYouTubeのAIに推しを教えてもらいました。
ところで、音楽の場合は新作も重要ですが、過去の音楽でも聞いたことがない人にとってはブルーオーシャンで素晴らしいものがたくさんあります。新作はフローの概念ですが、過去の作品はストックに分類されます。昔は新作だけが重要だったのですが、今はむしろストックも重要ですよね。そういう意味では、カバーから昔の曲を探すのにうちの推しをどうぞ。