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2024年のベスト映画:パーフェクトデイズ(ネタバレ注意)
今年のベスト映画はオッペンハイマーだと思ったら、全然違いました。実はオッペンハイマーよりドキュメンタリー映画のOppenheimer True Storyの方が良かったです。オッペンハイマーも悪くなかったですが、もっとトルーマンの無能さとサイコさを強調して欲しかったです。
そして、忘れてたのをGOOD BYE APRILファンのフォロワーの友人のツイートから思い出したので、今日投稿します。だんだんネタバレになりますのでご注意を。
まず、概要で最初の感想はヴィムベンダースだけれども、「完璧な日本映画」です。いや流石ヴィムベンダースというべきですかね。今まで見た外国人の映画監督の日本作品のなかで圧倒的にベストな日本描写でした。ちょっと俳優のドアップ多めですが🤣、まじ、なんちゃって日本が微塵もない凄い映画です。
当然ヴィムベンダースだからではありますが、ここまで世界が日本を理解してくれるようになったかという点でまず感銘を受けました。そういう意味で、一つの歴史的意義のある映画かと思います。
第2に、以前「夜と霧」や「ラーゲリーから愛を込めて」に関して、そう言った過酷な状況で最も生き残る確率が高い人は、未来の希望を持っている人ではなく、日々の生活に喜びを見出し、微かでもそこに楽しみを見出す人だという話をしたことがありますが、まさにそれを体現している映画でした。正直もっと単調でも楽しめたと思います。
逆に、映画がずっと単調のままでいて欲しかったです。むしろ時間が気になったのは、そういうありきたりの日常が(どっちかというと悪い方向に)変わらないか不安で気になったもので。
ヴェンダース監督のカンヌ映画祭パルムドール作品の「パリ、テキサス」を見ました。ホント、テレビ電話で電話するだけでの話にもかかわらず、凄かったんです。なんと、今回はそれを更に超えてます。むっちゃ充実感漂う映画です。
第3(確信部分)そして最後がこの映画のすべただと思います。ここはネタバレですが、朝職場に向かう自動車の中で、役所広司が満面の笑みを浮かべながら、運転していくところで映画が終わります。これがこの映画の最大のポイントだと思います。あらすじは有名ですが、下町の下宿のような安アパートに住んで、フイルムで同じような写真を撮るのを趣味にして渋谷界隈の都心の艶やかな場所のトイレ掃除をすることを仕事にしているのが主人公の役所広司です。
一見すると、どん底のような生活に見えますが、実は本人には全くそうは映っていない。何気ない日々の変化にスターウォーズでもみられないようなサーガを常に感じている人です。そういった日常に潜む凄さを研ぎ澄まされた五感と幅広い教養で体験することで、日常生活が面白くしてしょうがないんだと思った次第です。
昔から尊敬している人はエマニュエル・カント先生で、ケーニヒスベルクから全く出なかった人ですが、全てが彼の元に流れ、彼から流れ出たと言われた人です。役所広司はまさにカント先生の生活を体現しているのではと思った次第です。まさに学者として理想的な生活をしています。こういう生活、というかこういう生活でさえ凄さを体験できる研ぎ澄まされた五感と幅広い教養を持ち合わせたいなあと思います。いやあ、すごい作品でした。
追伸:以上のような話を昨年3月の西荻窪のアートリオンのワンマンライブで斉藤麻里さんとしたんですよね。ほんとマリペさんとはその感覚を共有できた気がしました。ようやく2月に昨年7月延期になった代替ライブがあるのが楽しみです。なんか1月は珍しくライブ少ないのですが、2月はむっちゃある🤣。