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エンジェル税制で15%減税!でも本当に得なの?

株式譲渡益は分離課税で、かつ税率が20.315%+ミニマムタックスに抑えられるという点で魅力的。
ミニマムタックス?となった方は必ず確認。
2025年から施工されていて、株式譲渡益が10億円を超えてくる辺りから税金が増える。
16億円での会社売却を予定する方について試算してみたところ、3000万円強税金が増える見込み。

ミニマムタックスが付いたとしても、総合課税に比べれば税率は安く、恩恵は大きいのだが、いかんせん額が大きい。
先の16億円で会社売却を予定している方でいえば3.5億円ほどの税金になる。
これぐらいの会社だと社長の給与は大体3000万とか5000万とか。
なので、給与の7倍とか10倍の税金を払うことになるわけで、クラっとしてしまうかも。

さて、こうなると皆さん考えるのが節税。
なんか方法は無いものかと。
いくつか話を聞いたことはあるが、グレーゾーンばかりで、もし追徴課税などされようものなら額が大きいだけに、大変なことになる。
私からそれは紹介できない。

税制の仕組みとしてあるのはエンジェル税制。
株式譲渡益にかかる所得税15%を控除できる。

国が用意したベンチャー企業への投資を促進する仕組み。
このnoteを発表した現在では以下3つの枠組みがある。
A、B、プレシード特例。

Aは総所得から投資額−2000円を控除できるのに対し、Bは株式譲渡益からのみ控除できる。
一方でAは控除上限が総所得の40%まで若しくは800万円の低い方とやや少額であるのに対して、Bは上限がない。
プレシード特例はBの派生型で、こちらも株式譲渡益からの控除で上限は20億円。

Aは給料が高い人向け、Bは上場企業オーナー(配当ではなく株の売却益がある人)やM&Aで株売却した人向け。

うまく節税に使えそうと思ってしまうが、投資対象となる企業は限られていて、一定の要件を満たした結果経産省のHPに紹介されている会社に限る。

1億円投資すれば1500万円税金が減ることになるので大きいが、ベンチャー投資なのでうまくいかない可能性も十分。
その筋のプロである、VCの投資は半分が失敗するということなので、かなりリスクが高い。
VC同様にポートフォリオを組んで、半分失敗、3〜4割が回収、1〜2割で儲ける、というぐらいで出来れば控除された分を考えればそこそこの結果になるかもしれない。

ハードルが高い感は否めない。
そもそも節税を目的とした仕組みではなく、VC支援を目的としているので、節税効果は挑戦に対する国からの御礼みたいなもので、ハードルが高いのは当たり前。
ミニマムタックスができたように、そもそも株式譲渡益に対する課税は強化しようというのが今の流れで、あくまでリスクをとって挑戦して頂ける方には優遇しますよ、というだけの話。

株式譲渡益に対して安全、簡単にできる節税はなかなか難しい。

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