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第一印象は概ね当たる【M&A日記】
M&A仲介には、会社の譲渡を進めたいという方と仲介契約を締結すると、それを引き受けたいという会社を探す重要な役割がある。
昨今は、大変有難いことにお手伝いさせて頂く企業の質が高く、それを引き受けたいという会社を探すのは必ずしも難しくはない。
13年の経験で数多くの買収検討企業と出会ってきたことから、こういう話ならあの会社が興味を示す可能性が高いとか、会ったことがなくとも上場企業ならIRを読み込んだり、HPから得られる情報からここは検討するのではという仮説もそれなりの確度で建てられる。
なので、何十社とか100社以上に提案をお持ちしてようやく買い手を見つける、というようなことはなく、変な買い手と出会うこともない。
一方で、13年前にこの仕事をはじめたときは、そういう営業が必要だった。
特に強みが明確なわけでもなく、言い方は悪いがどこにでもあるような飲食店1店舗の譲渡、その買い手を探すには相当数への接触が必要。
ノンネームシートを抱えて、会いに行きまくる。
そういう活動をしていると、
「本当に買収検討する気あるのかな」
「お金のことしか考えてなさそうだな」
「会社の雰囲気大丈夫かな」
などと、あまり良くない第一印象を受けることがある。
最初の印象だけで判断すべきではないし、判断するのは私ではなく売主なので、警戒アンテナをビンビンに張りながら、危険にならないところまで進めてみる。
私も同じタイプの人間を演じたりしながら、気になっているところを質問していくと、「おぉやっぱりそういう考えか、それはダメだ。。。」と、第一印象と実態が殆ど変わらないというケースがとても多いのだ。
何度もnoteで書いているが、私は譲渡される企業の存続発展を最優先に仲介したいという考え。
社会人1年目からずっと経営者を相手とする仕事で、経営者と話をするときは思考回路が勝手に「会社の成長発展のためには」となる。
だからかもしれないが、会社・事業に興味があるのであれば聞いてくるようなことを聞いてこなかったりすると、違和感が生まれる。
とある売主から、買収したいと言ってくれる企業があるのだけれど、セカンドオピニオンが欲しいと相談されたことがある。
その売主が契約していた仲介会社が見つけた買い手候補で、調べてみると違和感を感じた。
既に何社も買収していたが、そこに合理性が見当たらず、まともに買収戦略をとっている会社と比べれば、訳の分からない買収をしているように見えた。
売主から聞いた話からしても、普通の買い手とは違う印象を受けた。
そのため、断ることを推奨した結果、その企業は昨年問題化したいわゆる不適切な買い手で、すんでのところでとんでもない被害にあわれるところを回避してもらったことがある。
あるいは、買収候補企業の社長のちょっとしたところに表れる傲慢さが気になり、積極的に買収する会社ではあったものの、私はそこには提案をもっていかないようにしていた。
あるとき、身近な経営者がそこに会社を譲渡し、結果乗っ取りのような目にあってしまったことがある。
譲渡された経営者が、なんか傲慢な感じが気にはなっていたんだよな、と言っていたのが印象深い。
難しいのは、買収候補企業は売主にはそういう面を恐らく見せてくれない。
買収したいので、演じてくる。
ただ、仲介者は味方につけたいので、仲介者に対しては本音を出したりするし、仲介者が本当の顔を引き出せるかも大事だったりする。
なので、仲介者が信頼できる人間であるということが大前提のもと、買収候補企業を選ぶ際には仲介者の印象も是非参考にして頂きたいと思う。