会社譲渡に向けて新しいことをやるのはおススメしない【M&A日記】
すぐに譲渡しないといけないという切羽詰まった状況でもなければ、多少準備をすることで会社の評価を高めたり、より良い相手に譲ることができる可能性がある。
その準備のため、3年とか5年とか中長期でお付き合いするお客様が私の場合はとても多い。
さて、準備といっても、やったほうがいいことと、あまりやらない方が良いことがある。
やったら良いことについては過去にも書いてきているので、今回はやらない方が良いことについて。
やらない方が良いのはズバリ、「新しいこと」。
基本的には利益が出ているほどに評価は高くなる。
なので、新しいことを譲渡前に立ち上げて、それで利益を一気に積み増して評価アップを狙うなんていうことを考える経営者が少なくない。
おススメしない。
何故なら、うまくいかない可能性が低くないから。
そして、うまくいかなかった場合は逆に評価を押し下げることになるし、それは結局譲渡のタイミングを逃すことになるし、プランがだいぶ狂ってしまう。
新しいことを立ち上げたとしても、それが実績として利益ベースで現れないことには評価には反映されない。
事業計画で右肩上がりなんて言ったとしても、それは絵に描いた餅。
新しいことをやる場合、多くの事業では投資が必要。
EV/EBITDAマルチプルで評価する場合、現預金が資産に変わればその分だけ評価は下がるし、事業が赤字スタートだとすれば、それもまたそれだけ評価を押し下げることになる。
今までやってきている事業の延長線上で、高い確率で結果が見込まれることなら良い。
例えばチェーン展開していて好調な会社が出店するというのは当たり前のことだし、むしろそれは積極的に成長していっているということでポジティブにみられる。
ただ、そういう会社が新しい業態を開発した!なんていうことをやると、それって本当に大丈夫?という疑念がやはり生まれるし、とすればじゃあ結果がでるまでは分からないよね、となる。
例えば5年後に会社を譲渡するというプランを立てるならば、今の事業の延長線上で少し成長を加速させるとか、あるいは逆に投資を抑えてBSの整理に向かうというのがあるべき準備の仕方。
ということで、譲渡前に新しいことをやるというのはおススメしない、というお話。