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車をコロコロ乗り換えることにも合理的理由あり【M&A日記】
前回は、ベンツGクラスに乗る経営者が多いことについて、その合理的な理由を説明したが、その延長戦。
経営者は車をコロコロと乗り換える方が多い印象はないだろうか。
私は譲渡側となる経営者と数年お付き合いしてからご支援するということが少なくないため、その間に乗られている車が変わるということが珍しくない。
Gクラスを乗っている経営者が多いのには、経済的な合理性があったのと同じように、実は車を乗り換えるのにも経済的な合理性がある。
決算期間が1月~12月の会社で、3年10か月落ちの中古Gクラスを2000万円で1月に購入したとする。
この車は12か月で償却できるので、12月には償却が完了し、帳簿価格は1円となる。
※1円は備忘価格と呼ばれ、本来は償却が完了しているので0円だが、0円だと資産から消えてしまうので、1円として資産に残しておく
12月時点の市場価格が1800万円になっていたとして、そのまま乗り続けるものもちろんありだが、車は走行距離が延びるにつれ価値がドンドンと落ちていくし、そもそも3年10か月落ちなのでモデルも古くなる。
であれば、翌年1月に1800万円で車を売却してしまう。
すると、帳簿上は1円のものを1800万円で売却するので、1800万円の利益が立ってしまう。
せっかく前期に節税効果を得たのに、それを今期でほぼ相殺してしまうことになる。
そこでまた3年10か月落ちの車を1月に2000万で購入する。
これによって1800万円の売却益をなくすことができる。
車両のモデルは1年新しくなり、走行距離も短くなる。
200万円の追加はあるものの、これも償却の対象になるので、その分の追加の節税効果も得られる。
同じ車を乗り続けて、毎年200万円価値が下がっていくのと、車を買い替えて毎年200万円追加投資するという違い。
キャッシュフロー的には前者の方が優位だが、後者は追加投資分の節税効果も取れるので経済的には後者の方がお得。
こう考えると、であれば車が少し新しくなった方がいいし、毎年違う車に乗れた方が良いね、ということで、経営者はコロコロ車を乗り換えるのだ。
個人で車を買っても税金は減らないし、高級車なら維持費用も多額。
事業用という前提ではあるものの、法人なら法人税分を節税できるし、維持費用も経費となるのでだいぶメリットが大きい。
ベンツGクラスの購入もそうだが、こういうのを意図して経済合理性を狙ってやっているのかどうか。
こういうのには経営者の性格が表れる。
よく決算書を見れば経営者の人柄が想像できるというが、こういうこと。
はたから見ると車をコロコロ乗り換えるのは、浪費癖とか豪快というように見えるかもしれないが、実は数字に細かく、お金には厳しいという方のがほうが多いので真逆なのだ。