データ化のススメ、M&Aのとき凄く楽になります【M&A日記】
どの業界もそうだと思うが、M&A業界においても、データ化の恩恵は凄まじい。
データなしのデューデリジェンスは想像すると鳥肌が立つ。
弁護士もののドラマで、証拠を探すために資料満載の箱が何十箱も積み上げられ、それら全てに目を通すみたいなシーンが出てくるが、それと同じ。
私はM&A業界12年目で、幸いなことに既にデータ化はだいぶ進んでいたので、デューデリジェンスを全部紙ベースで実施するという場は経験していない。
但し、全部紙ではないというだけで、多かれ少なかれ紙で対応しないといけないケースはある。
そこで、将来的に会社の譲渡を考えている方へ、資料データ化をオススメする。
保管する書類は、全て日頃からスキャンして、データ化しておくということ。
会社を譲渡することになり、デューデリジェンスに入った時に、ご自身がその恩恵に預かれる。
やっておいて良かったときっと思われるはず。
効果は以下3点。
①依頼される膨大な資料を全部スキャンする、という作業を先に少しずつやっておける
②デューデリジェンスの期間が短縮される
③後から判明リスクを軽減
①から。
デューデリジェンスでは膨大な会社資料の提出を要求される。
資料が紙の場合、対応は以下の何れかになる。
・データ化が必ずしも必要のない書類(見返すことが想定されないもの)は、資料がある場にデューデリジェンス側が出向いて現物確認
・データ化が必要なもの(見返す可能性があるもの)はスキャン
大事な契約書関係は、何度も見返したりするので、基本的にスキャンが必要になる。
例えば多店舗展開している会社の場合、資料が多く、スキャン作業が相当に大変になる。
これが予めデータ化されていて、クラウドストレージに入れて終了となると、かなり楽になる。
②のデューデリジェンス期間の短縮は、実は結構大きい。
デューデリジェンス期間中は、売主が最も神経をすり減らす期間。
作業的に大変だし、粗探しをされているような感じだし、それだけやったとて最終的に譲渡が成立するのかはまだ分からないし、価格交渉されるのかなとか不安になるし、ということで、売主には負担がかかりやすい。
これが1か月で終わるのと、3か月かかるのとでは、心理的に大きな違いがあるはず。
③については、あまりに紙の資料が膨大でデータ化が不可能みたいなケースになると、全てをチェックせずに、抜き打ちでチェックして終わらせるということがある。
買い手としては、抜き打ちでチェックしたからOKとはならず、取り合えず時間的・作業的問題からそこまでとはするものの、きっちり譲渡契約書の中では未確認書類にて問題があった場合も補償対象とされる。
デューデリジェンス中に問題が明らかになって、そこで売り手・買い手の双方で対策を決めて、場合によっては条件に反映させるなどしてしまったほうがスッキリする。
譲渡が完了しているのに、後に判明したことで補償問題に発展するというようなことは、売主にとっては寝耳に水感もあって嫌な思いをするはず。
ということで、今からでも毎日1つずつデータ化すれば、1年で365個をデータ化できるので、お勧め。