見出し画像

BS、PLだけでなく、税務申告書一式を求める理由【M&A日記】

前回書いたように、決算書を見る初期的な目的としては、そもそもM&Aが選択したり得るのかどうかを確認するため。
その時点では、BS(貸借対照表)、PL(損益計算書)さえあればある程度判断はできる。
そこに引っかかる要素があれば、追加を依頼する。

M&Aが選択肢としてお持ち頂けそうだとなると、次に確認したいのは、どれぐらいの評価がつきそうか。
これは売主として一番気になるところだと思うので、目安としての金額を提示する必要がある。

これのためにはBS、PLだけでは足りない。
・科目明細
・固定資産台帳(減価償却明細)
・土地一覧

このような資料を追加で依頼させて頂く。

BSにはあくまで科目ごとの合計額しか載っていないが、科目明細ではその内訳をみることができる。
固定資産台帳では、償却資産の明細を確認できる。
土地は償却資産ではないため、固定資産台帳に載らない。そのため、こちらも別途一覧として頂く。

これらを見ると、よりつぶさに対象会社が所有している資産や負債の確認ができる。
その確認ができると、個別にその資産についての評価を検討でき、より精緻な評価額を提示することができるようになる。

更には税務申告書一式には、各種税金の申告書が入っている。
この中には、例えば対象会社の欠損金を確認できる資料がある。
欠損金を抱えている会社は、その分だけ税金の支払いが減るので、いわゆる税効果という買収企業にとってはプラスの要素として捉えることができる。

このように具体的に確認することで、対象会社の評価を市場価格により近いものとして提示することができる。
そのために、税務申告書一式をください、と依頼させて頂いている。

面倒かもしれないが、自社の評価に繋がる大事なところなので、是非資料開示については労を惜しまずご協力頂きたいところ。

いいなと思ったら応援しよう!