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私が社長の奥様から話を聞く目的【M&A日記】
男性経営者の中には、奥様を一切仕事に関わらせないし相談もしないというタイプと、奥様に大小の差はあれ会社に関わってもらうタイプとがいる。
前者の場合は経営者との話だけで進めていけば良いが、後者の場合は奥様が重要な役割を果たすことが少なくない。
社長がOKと言ってるからと進めていくと、実はそれだけではうまくいかなかったり。
私は後者のケースではできる限り奥様の話を聞かせて頂くようにする。
社長と奥様の意思が相反していないかを確認するという意味合いは当然にしてあるが、それ以上に私が重視するのは奥様からのお話そのものだ。
経営状況について、会社組織について、社長の人柄について、このような話を奥様からお聞きした時に、社長と言ってること違うな、ということが少なくない。
そしてそのようなケースでは、私の経験上、奥様が正しいことの方が多いのだ。
いざ自社を譲渡しようとなると、見栄を張りたがる男性経営者が少なくない。
自社のことを実態以上に良く見せようとするのは定石だ。
しかし私はそれに反対。
売主としては少しでも良い評価を得たいのだと思うが、結論から言えばそれは良い評価に繋がらない可能性が高いし、それが実態と異なるとデューデリジェンスなどで判明すると(遅かれ早かれほぼ判明する)、むしろ不誠実の烙印を押されてしまう可能性がある。
なんせ買収側は当たり前だが不誠実を嫌う。
評価はそもそもほぼ数字で決まる。
その数字はイジりようがない。
イジったら粉飾だし、後に判明して損害賠償請求されるだけ。
なので、社長が自社を良く見せようとするのはその殆どが定性的なこと。
そして定性的なことを誇張したとて、それはあまり評価には影響しない。
なので、実はあまり意味のないことをしているし、下手すると実はネガティヴキャンペーンになってしまっている可能性も。
良いことばかり言うよりも、むしろ自社のことを客観的に見ることができていて、課題を的確に捉えて、ここが改善されれば必ずこの会社はもっと良くなるけど、自分たちではできなかったから、買収する側に是非託したいと言ってもらえる方が、買収側からすると優秀な経営者に見える。
そして、そのような話は奥様の口から出てくることが少なくないのだ。
実態をより正確に私たち仲介者が把握して、それを買収候補企業に伝えることが出来れば、話も成就しやすくなる。
ということでご夫婦で経営されているケースでは、私は自然と奥様との打ち合わせ頻度が増えたりするが、それはそういう意図。
ときに夫婦経営なのに奥様をM&Aの過程に巻き込まないようにする方がいるが、是非そうはせずに積極的に巻き込んで頂きたいと思う。