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「上場 vs M&A」— 資産形成に有利なのはどっち?〜価格編〜

上場VS M&Aシリーズ。
※M&Aを推奨しようという意図は全くなし
※そもそも目的が異なる両者を比較するのがナンセンスだが敢えて個人の資産形成という点だけに絞って比較をするもの。

シリーズと言いながら、前回の時間軸編がほぼ全てのような気も。
上場してもお金はあまり手にできないのでM&Aの方が良い、と結論感あり。
じゃあなんで経営者は上場を目指すのかと言えば、会社の資金調達目的。
会社を更に成長発展させるためで、その結果として個人資産も膨らむということでしかない。

でもシリーズにしたので比較を続ける。

価格の面ではどうか。
上場の方が株価が高くなりそうなイメージ。

でもそんなことはない。
上場企業の株価は世界に開かれた市場が決めるが、M&Aは基本的に相対。
ということは、上場は市場環境の影響が直結するが、M&Aは個々の会社の判断次第。

例えばコロナ禍によって外食運営企業の株価は一様に下落した。
M&A市場ももちろん大きな影響を受けたが、とある外食企業は業績もBSも悪化していたにも関わらず、コロナ以前の条件のままに譲渡が成立した。
これは買収した会社がそういう株価を許容したからであって、これは相対でないと成立し得ない。

あるいは昨年すかいらーくに240億円で買収された資さんうどん。
見込まれていた当期純利益は93百万円なので、もし上場していたとするとPER258倍。
外食企業にこのPERはなかなか付かない。

特に東証グロース上場ぐらいの規模感で、テクノロジー分野など非連続な成長が期待されるような業種でない場合は、上場による株価とM&Aでの株価は殆ど変わらないだろう。

なので単純にどちらの方が高くなるということは言えない。
ここは引き分け。

引き分けじゃ面白くないので、その後を比較検討して結論へ。
上場後、M&A後はどうか。

東証資料の、2022年4月と2024年10月の市場別の株価指数推移を見ると、プライムは138.1、スタンダードは121.7、グロースは76.8。
スタンダードの指数通りに株価が推移するとすれば、2年半の利回りが21.7%、年利換算で約8%。
プライムなら、年利換算で約14%。
年14%の利回りを投資で実現していくのは容易ではないので、プライムに上場できるぐらいの会社になれば、M&Aで得たお金を色々と投資するよりも良いリターンを期待できるかもしれない。
他方グロースに上げて思うように成長できないと悲惨なことになる。
これは会社の伸び代次第なので、これも引き分け。

ただし。
リスクの観点で見ると、上場の場合は個人資産の多くが株で一点買いみたいになってしまう。
他方、 M&Aは得たお金で株でも不動産でも分散投資ができるので、リスク面ではM&Aの勝ち。

上場VS M&A、0-2。

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