見出し画像

株式には消費税がかからない【M&A日記】

私が担当するM&Aは9割がた株式譲渡だが、飲食企業のお手伝いが多いので、たまに一部店舗のみを譲渡したいということで、事業譲渡というケースもある。

株式会社は、会社の株式を所有する株主がいて、それは即ち会社のオーナーだ。
事業は、会社が運営しているので、事業を所有しているのは会社。
なので株式譲渡は、株主が所有する株式を買い取るのに対して、事業譲渡は法人が所有する事業を買い取るということで、買い取るものが違えば、買い取る相手も異なる。

事業譲渡の場合は、譲渡の対象となるのはその事業に係る資産。
飲食店であれば厨房機器とか内装設備とか。
会社が普通に所有している資産を売却するということなので、リサイクルショップにもっていくのと同じで、その金額には消費税がかかる。

しかし、株式の場合は消費税がかからない。

これは買い手にとっては大きな違いで、仮に10億円の売買なら消費税10%=1億円もの金額の違いになるということ。

買主にとって高いというだけではなく、買主の予算が仮に10億円だとすると、売主からすれば株式なら10億円で売れたのに、事業譲渡なので9億円+消費税でしか売れないということになったりする。

これは、売主からすれば一部事業のみを譲渡したいので仕方ないのかと思いきや、実は会社分割を用いることで、一部事業を株式譲渡することが可能になる。

売る事業と売らない事業とでそれぞれ分割によって運営会社を分けることで、株式譲渡に変わる。

なんだ、簡単じゃんと思いきや、会社分割はやり方を間違えると、恐ろしい税務が待ち構える。
なので、税務を考慮して、余計な負担が生じないやり方を検討する必要あり。

過去に分割型分割を用いて、一部事業のみを譲渡するということについて書いたことがあるが、基本的にはとてもややこしいので、必ず専門家に相談してもらいたい。


いいなと思ったら応援しよう!