見出し画像

分ける考え方と分ける方法【M&A日記】

多岐にわたる事業を営んでいる会社の場合。

多種多様な事業を展開するコングロマリットのようなケースもある。
あるいは同じような業種の中でも、例えばサービス業という括りの中でホテルと飲食店をやっていたり。
全部飲食店でも居酒屋とスイーツ業態があったり。
会社の規模が大きくなっていくと、事業の幅は広がっていくものだ。

さて、このような場合、分けて売却することを選択肢に入れてみたい。
結果としてより多くの売却益を得られる可能性があったり、より事業を大事にしてもらえる会社に引き継げたり。

会社の価格は、あくまで買収企業が決めるもの。
同じ事業を見ていても、見る側が異なれば、そこにとても大きな価値を見出されることもあれば、二束三文と捉えられることもある。

ということは、例えば飲食業とホテルと食品製造業を営んでいる場合。
A社にとって飲食業はとても魅力的だから多少お金をかけてもいいけど、ホテルと食品製造はいらないなぁとか。
B社にとってはホテルが魅力的だからお金出してもいいけど、飲食と製造業には大した評価はつけられないな、というようになる。

そこで、A社にまとめて譲渡するのではなく、飲食はA社、ホテルはB社というように分けて譲渡することで、総合的な評価が高まる可能性が出てくる。

また、製造事業部で働いている従業員は、A社、B社に買収されても大切にされない可能性がある。
それよりも、事業により強い関心を寄せてくれる会社に引き継いでもらった方が、事業としての更なる発展を見据えることができるかもしれない。
なので、従業員や取引先などにとっても、必要とされるところに引き継ぐのが良いと考えられる。

さて、じゃあ分けて譲渡していこうという場合、その方法は吟味が必要。
1つの会社なので、事業ごとに売却していくのか、会社を分割するなりして、事業ごとに法人を分けて譲渡していくのか、など方法は実は色々ある。

何が変わってくるかというと、特に大事なところでは以下2点。
●誰にお金が入るか
●税務

法人の中の一事業部だけを譲渡する=事業譲渡の場合、譲渡の主体者は法人なので、譲渡対価は法人に入る。
個人にお金が入らないことと、法人税がかかるので、株式への課税に比べて税金が高額になる可能性が高い。

会社を分割して、法人ごとに譲渡すれば対価を全て個人にいくようにできる。
しかし、これは特に税務を慎重に考える必要あり。
分割等の組織再編は、その時点で税務が発生する可能性もあるし、やり方によってはとんでもない金額の税金になったりする。

分けて譲渡するメリットはご理解頂けたとして、いざ実行に移す場合には、専門家への相談は必須。
M&Aと組織再編の知見両方を持ち合わせた人に是非相談してほしい。

いいなと思ったら応援しよう!