サッカークラブのM&Aを考える①
Youtubeの「PIVOT公式チャンネル」にて、木村正明氏のJリーグクラブのM&Aに関する動画を視聴、とても面白かった。
JリーグクラブのM&Aにおける売買価格が安すぎるため、どうすれば価値を高めていけるか?というもの。
ゲスト出演されている木村正明氏はサッカー界ではとても有名な方。
ゴールドマンサックス出身という特異な経歴を持ちながら、2006年にファジアーノ岡山のオーナー兼代表取締役に。
スポンサーもろくについていない一地域リーグ所属のサッカーチームを僅か3年でJリーグ(J2)に昇格させた。
2019年にはJリーグの専務理事にも就任し、名実ともにJリーグを引っ張ってこられた名物オーナー経営者だ。
さて、サッカークラブの悩ましいところは、勝利を目指すことが一丁目一番地なのに、勝ったところでそれが利益に繋がるわけではないというところ。
チームを強くするのには様々な要因があるとはいえ、優秀な選手や監督・コーチを獲得することが一番。
それには移籍金や給与などの高額な資金が必要だ。
大きな投資をしてJリーグをやっと優勝できたとて、獲得できる賞金はたかだか3億円、3位だと僅か6000万円にしかならない。
勝利を目指せば目指すほどに儲からないチームになってしまったりする。
動画で面白いなと思ったのは、上記のような環境ながらも、経営側の努力で多額のスポンサー収入を手にしたり、ファンを増やして入場料を積み上げて、利益が出るような体制を作れたとする。
株式会社の構造からして、会社に蓄積された利益は株主のモノになるが、ファンからすればオーナーの懐を肥やしたってしょうがないんだから、利益が出るなら投資してもっと良い選手を獲得したり、スタジアムを回収してほしいということになり、利益を出すという方向にいかないという話。
そうするとM&Aにおける評価のベースは利益なので、いざM&Aとなったときに大した価値がつかずに売却されてしまうという実態があって、それは違うんじゃないかというのが木村氏の主張。
2019年に国内名門の鹿島アントラーズがメルカリに買収されたが、そのときの価格が約61%の株式に対して16億円、100%ベースなら約25億円。
一方、2023年にイギリス、プレミアリーグの超名門マンチェスターユナイテッドがイギリスの富豪により買収され、クラブの評価額は54億ドル≒7650億円だ。
その差約300倍。
ちなみにアントラーズの買収直前期の純利益が約4.2億円、純資産が21.6億円。
マンチェスターユナイテッド(2019年決算)は18.9百万ドル(≒記事公開現在のレートで約27億円)。
2019年時点は分からなかったが、2021年決算時点の純資産は約1.7百万ドル(記事公開現在のレートで約2.4億円)。
業績だけを見れば、評価額に300倍もの差がつくことはありえない。
じゃあこの差はなんなのか、、、つづく。
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