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「賃上げ」に思ふ

2024年11月26日に開催された政府、労働組合、経済界の代表が集まる「政労使会議」において、石破首相は来年の春闘に向けて「今年の勢いで大幅な賃上げへの協力をお願いする」と述べ、企業に対し大幅な賃上げを要請した、とのこと。

賃上げの要請というのは何度聞いてもピンとこない。
賃上げは要請するものなのか。
2024年は賃上げ率が5.33%となり、高水準だった前年の3.60%から更に1.73ポイント上昇しているそうだが、これは要請されたから実現されたものなのか。

確かに大企業の賃上げには影響があったのかもしれない。
しかし就労者の約7割は中小企業に勤めているわけで、中小企業にそんな要請が届くわけもなく。

日々中小企業経営者と経営について話している身として、私が考える中小企業の賃上げに最も効果的なのは転職だ。
自身の待遇に不満のある人は、待遇に満足できる会社に転職したら良い。
それで賃上げは完了。

お会いする経営者の多くは人手が足りない足りないと言っているが、話をよく聞くとその実態は分かれる。
本当に人手が足りていないところと、応募数が減っている、という意味合いで言っているところ。

前者は大抵があまり儲かっていない会社。
若しくは儲かっているけれども、社員への適切な還元をしていない会社。

後者は儲かっていてかつ社員への還元をしている会社だ。
人口が減っているし、実質GDPは上がっているので、応募数が減るのはしかたない。

儲かっていない会社で賃金アップを期待するのはいわゆる無理ゲーだ。
なんせ儲かっていないのだから、出せるものがない。
なので賃上げをしてほしかったら転職するしかない。

儲かっていても適切な待遇にしない会社なら交渉次第で賃上げもありうるかもしれないが、転職してしまったほうが早いかもしれない。
待遇が良くないなら新規採用も難しいだろうし、転職によって労働力を失っていけば、待遇を改善するしかないと分かるはず。

これが進むと、延いては儲からない会社の淘汰に繋がる。
上がらない、上がらないと言われている企業の生産性改善にも繋がる(生産性の低い会社が淘汰されるため)。

儲かっていない会社の淘汰というと、言葉の激しさを感じるかもしれないが、意図的に淘汰させようということではなく、就労者が合理的な判断をすればそうなってしまうので仕方のないこと。

転職率は一時上昇の傾向を見せていたが、コロナ影響を受けて停滞してしまった。
恐らくこれからまたグッと伸びてくるだろう。
そして賃上げも進むはず。

賃上げは自らの行動で実現するものだ。

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