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税抜きor税込み?【M&A日記】

売上いくら?と聞いたとき、殆どの経営者は税抜きで応える。
税抜きというのは消費税を除いた売上のこと。

1.1億円の売上があったとしても、内1000万円は消費税。
消費税は、お客様が消費するときに、お客様に対してかかっている税金なので、それを受け取っている側は預かっているに過ぎず、そのままお国に税金として納付する。
なのでこの1000万円は売上とは考えずに、税抜きの1億円を売上とするほうが分かりやすい。

なのに!

税法上は税込み会計、税抜き会計のどちらも認められている。
私がお会いしている感覚では10社に1社ぐらいが税込み会計を採用している。

とすると、いざ会社を譲渡しようというときに税込み会計と税抜き会計とでは数字が変わってしまい、株式価値が変わってしまうのでは?と思われるかもしれないので、実はそんなことないので、そのご紹介。

中小企業のM&Aでは、EBITDAが指標として用いられることが多い。
EBITDAは減価償却前営業利益のこと、と捉えてもらって支障なし。
営業利益+減価償却費=EBITDA。

重要なのは営業利益だ。

営業利益は、「売上-売上原価-販売費および一般管理費」で算出される。
下の図を見てほしい。単位は千円。

販管費の中には給料などの非課税のものもあるので、課税対象の販管費と非課税の販管費で分けて記載。
するとなんと、税込み会計にした方が営業利益増えるじゃん!
EBITDAなら税込み会計の方が500万円も増えるじゃん!
株価高くなるじゃん!

とはならない。

何故なら冒頭の説明の通り。
1.1億円の内1000万円は消費税を預かっているもの。
一方で原価と販管費でそれぞれ逆に300万円ずつ消費税を払っている(預けている)。
1000万円預かって、600万円を預けているので、差し引き400万円の消費税を預かっていることになり、これを営業利益から差し引く必要あり、結果営業利益は2000万円で税抜き会計と同じになる。
とても当たり前のことを言っているので、つまらないと思った方、ごめんなさい。

ということなので結果は同じになるものの、上述のようにバリュエーションする上では税抜きで考える必要があるので、税込み会計の場合は単純に手間が増える。
また、買い手がよく分からないということで過去には検討を辞退されてしまったこともある。

今更変えるということもないかもしれないが、M&Aのことだけを考えると、税抜き会計の方が共通理解のもと進められるので、やりやすい。

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