「社長が代わる」は従業員が理解しやすい【M&A日記】
M&Aというのはとかく理解するのが難しい。
このnoteを読んでくださっている方にとっては当たり前のことでも、年商数億円~中小企業の従業員の中に、そういうことに関心があるという人は極小。
M&Aは経営の判断であるし、株主としての話である。
独立志向とか経営者に上り詰めたいというような上昇志向でもなければ、全く関係してこない話なので、関心がなくて当たり前。
そういう状態の従業員に対して、「株を譲渡したので、今後は●▲社のグループ会社としてやっていくことになりました」、という話はかなりピンとこない。
かなりピンとこないとどうなるか。
かなり不安になる。
よく分からない話に対して、人は不安になる。
一方で、社長が代わる、という話はもう少し理解できる。
社長が交代したという経験のある従業員もいるだろうし、経験がなくとも会社の最高意思決定者が代わるということは何となくイメージができる。
ここで言いたいのは、社長交代の話として伝えれば従業員は不安にならないと言うわけでは全くない。
社長交代の話も従業員はかなり不安になる。
モンスターみたいな社長がきたらどうしようとマイナスなイメージをしてめちゃくちゃ不安になる。
要するに、急に伝えれば、何れにしても人は不安になるということ。
M&Aでは従業員への通知は譲渡の直前後にするというのが一般的ですが、それだと従業員がとても不安になるので、予め伝えておいたほうが良いというのが最近の私の結論。
1年以内に会社を譲渡したいということでもなければ、従業員に先に通知をしておくことで、心の準備をさせることができる。
その通知の際に、
「将来的に会社の株を譲渡するよ」
ではなく、
「将来的に私は退任して社長は代わるよ」
という話を伝えると理解してもらえる、というのが本日の趣旨。
人は必ず歳をとるので、いつまでも社長でいられないのは誰でも理解できること。
そうすると、適任がいれば社内から昇格するのかもしれないし、いなければ外部から招聘してくるというのは考えられる。
意識の高い人材なら、自身が後継社長になるチャンスととらえて頑張る可能性もある。
また、社長が代わる=M&Aではないので、会社を譲渡せずに他の選択肢を選んだとしてもウソにならない。
今後5年ぐらいでM&Aも一つの選択肢としてと考えられている方は、「5年後ぐらいに退任して社長代わるからね」と社内に通知しておくことをおススメ。