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神託で決定、長男を除外、女系男子… 世界の珍妙継承法
はじめに
2020年(令和2年)10月現在、君主制を採っている独立国は世界に44ヶ国ある。政体に関係なく、伝統的首長領を国内に抱えている国も少なくない。また、歴史の流れに抗えずに滅びた君主制も世界には数多ある。これら今昔の君主制をみると、継承方法にはかなり豊富なバリエーションがあることがわかる。
真偽は定かでないが、言い伝えられるところによると「アレクサンドロス大王」の通称で知られる古代マケドニアの王アレクサンドロス3世は、崩御に際して「最強の者が帝国を継承せよ」と遺言したとされる。
アレクサンドロス大王のモザイク画
(ポンペイ、牧神の家)
さすがにアレクサンドロス大王の遺言ほど強烈なものはそうそうないが、古今東西の継承方法にはそこらのファンタジー顔負けのものも少なくない。
選挙君主制
その名の通り、君主が選挙により決定されるシステムである。マイナーな継承方法の中でも、比較的メジャーなものだ。
現代世界において最も代表的なのは、マレーシアの事例であろう。マレーシアは、13の州により構成される連邦制国家である。
マレーシアの行政区画
©Kirisame(CC BY-SA 3.0)
これら13の州のうち9州が、独自の君主を持っている。マレーシア全体の国王は、9州の君主の中から5年ごとに選任される(憲法第3付則にしたがい、ローテーションを組んで輪番で即位している)。
マレーシアほどには知られていないが、カンボジアも選挙君主制を採っている数少ない現代国家である。同国では憲法第13条の規定により、内閣総理大臣、議会のお偉方、仏教二大宗派(モハニカイ派とタマユット派)の管長からなる王室会議が、王統に属する30歳以上の王族から新国王を選出する。憲法第10条の規定により、王に後継者を指定する権限はない。
このように選出を受ける君主として、他にはオマーンのスルターン、サモアの国家元首、ニュージーランドにおけるマオリ王などがいる。コンクラーヴェ(=ローマ教皇選挙)を実施するバチカンも、ある種の選挙君主制国家だとみなすことができる。
1573年、ポーランド=リトアニア共和国の国王自由選挙
ヤン・マテイコ画(1889年)
また、君主家断絶の際に議会が新しい君主を選出することを定めている国家もある(オランダ、スペイン、デンマークなど)。これらの国家も、広い意味での選挙君主制であるといえるかもしれない。
神や精霊が決定
旧約聖書によると、古代イスラエルの君主、サウル王ならびにダヴィデ王は、創造主に選ばれて即位した。
ダビデに聖油を注ぐ預言者サムエル
彼は血色のよい、目のきれいな、姿の美しい人であった。主は言われた、「立ってこれに油をそそげ。これがその人である」。
サムエルは油の角をとって、その兄弟たちの中で、彼に油をそそいだ。この日からのち、主の霊は、はげしくダビデの上に臨んだ。
――『サムエル記』上、第16章より
このように超自然的な存在により選択されるという君主は、神話や伝説、物語、あるいは歴史の中だけの存在ではない。この21世紀に実在している。
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