LTAD(Long Term Athlete Development)を部活に応用することは可能か?
1.LTADとは
LTADとはLong-Term Athlete Developmentの頭文字をとったもので、
日本では「長期競技者育成理論」などと訳されています。
その理論は1995年にIstvan BalyiとRichard Wayの2人によって考案された
4段階のモデルが始まりだそうで、2005年には7段階までに発展しました。
この理論は2000年代初めに、まずイギリス、続いてカナダのスポーツ振興策として取り入れられ、現在では多くの国々で注目されるものとなっています。
この理論の特徴は競技スポーツと生涯スポーツの融合で、
その詳細は書籍『LONG−TERM ATHLET DEVELOPMENT』として
2013年に出版されています。
2.LTADとの出会い
日本バスケットボール協会は育成年代のコーチングのために
“日本をバスケットボールで元気にするための選手育成指針
「Basketball for Life(B4L)」”
を提唱しており、この指針はLTADの理論を応用したものとされています。
私の記憶が正しければ、LTADについては
2018年あたりから日本バスケットボール協会の育成関係の会議で扱われ出したのではないかと思います。(間違っていたらごめんなさい。)
当時の会議ではLTADの概要について説明を受けたのを覚えています。
3.LTADに興味が湧く
その頃の私は、「そういう理論が海外にあるのか…」
ぐらいにしか感じていなかったのですが、
その後、様々な場面でLTADの理論を根拠に育成年代の方策が提案されていくので「そもそもLTADって具体的にどんな理論なんだ?」と思うようになりました。
そこで、ネットでLTADについて検索し、いろいろ調べてみました。
しかし、概要を知ることはできたものの、よくわからないことも多く…。
結局、「やっぱり原著を読むのが一番!」ということで、
Amazonで原著『LONG−TERM ATHLET DEVELOPMENT』を購入しました。
私は英語が喋れたり、読み書きが得意であったりするわけではないので、
訳はについてはDeepl翻訳に頼りきりです。
ひと昔前までは辞書を片手に訳していましたが、
Deepl翻訳を知ってからは、その当時のスピードとは
雲泥の差で読み進めることができます。
これは、中学校で担任や授業、部活指導などの日々の業務に忙殺される中、
スキマ時間に読書するしかない私にとって、飛躍的な生産性の向上でした。
とは言っても、本書は全部で286ページもあります。
現時点では、本が届いてから2週間で3分の1程度読むことができましたが、
どんなに早くても読み終えるまでに、3ヶ月はかかるだろうと予測しています。
さて、まだまだ3分の1程度しか読み終えてないのですが、
LTADは社会(国家)におけるスポーツシステムを変革するための理論であり、
トップアスリートだけでなく、全ての人々(国民)にとってスポーツが
より質の高いものへと発展するための理論であるということは理解できました。
4.一教員としてできることは何か?
その概要だけでは「何だLTADってめちゃくちゃ規模の大きな話じゃないか。
一教員として部活を指導しているだけの私にできることはないな…。」
と思えるような内容ではありますが、読み進めるうちに、
実際の部活動の指導現場でも、いや、
実際に指導現場の最前線にいるからこそ実践できる内容もあるのではないか?
と感じるようになりました。
私自身、現在指導しているチームを強くしたいという思いはありますが、
30人を超える部員全部を試合に出してあげることもできない状況で、
「バスケットボールを通して、そこに関わる人の人生を豊かにする。」という
チームのミッションをどのように達成していくのか?が最大の悩みでもあります。
さらに、このLTADの
Effective long-term athlete development focuses not on short-term gains and early success, but on what is best for the sport participant throughout life.
『LONG-TERM ATHLETE DEVELOPMENT』p.1より引用
”効果的な長期アスリート育成は短期的な利益や初期の成功ではなく、生涯を通じてスポーツ参加者にとって何がベストであるかに焦点を当てる”(引用者訳)
という考え方に、自分の指導理念との共通点を見出すことができたこともあり、「このLTADの理論を日本の学校部活動の指導現場に実際に応用するにはどのような方法があるのか?」という観点で原著を読み進めることにしました。
5.LTADを部活に応用することは可能か?
現在までに、読み進めたのは第6章「Trainability」まで。
ここから先、第12章の「Continuous Improvement」まで読み終えた時点で
実際の部活動指導で実践できるLTADの理論や方策を検討し、
実施したいと考えています。
また、その検討結果や実施状況の報告は、このnoteで行っていく予定です。
今回は「LTADを部活に応用することは可能か?」
という問題提起のみとなりますが、この問題に対する答えについては
今後、時間をかけて探究していこうと思います。