子どもから大人に移り変わる少年少女の淡い恋心……樋口一葉の『たけくらべ』②
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三鶴✖️仲川光🌸共作小説【白い春~君に贈る歌~】
(全編まとめ)
余命わずかの彼女と、夢を諦めた彼。
2人が出会った時、起きる奇跡は?
生きるとは?人生とは?
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9月第1作目には、樋口一葉の長編小説、『たけくらべ』を取り上げます。
樋口一葉といえば、五千円札になった女性として、国民全体にその存在が知られているはずの方です。
一方で、お札で顔は知っているけど、実は彼女の作品を読んだことがない、という方も多いのではないでしょうか。
近代日本でも数少ない女性職業作家となった樋口一葉の代表作。
この機会にぜひご紹介していきたいです。
『たけくらべ』――子どもから大人に移り変わる少年少女の淡い恋心……
樋口一葉【1872~1896】
【書き出し】
廻れば大門の見返り柳いと長けれど、
お歯ぐろ溝に燈火うつる三階の騒ぎも手に取る如く、
明けくれなしの車の行来にはかり知られぬ全盛をうらなひて、
大音寺前と名は仏くさけれど、
さりとは陽気の町と住みたる人の申(もうし)き……
【名言】
【あらすじ】(後編)
ある日、正太と美登利が筆屋で遊んでいると、二、三軒先の軒先を信如が歩いているのを見つける。
「筆屋に来たものの、自分たちを避けたのだ」と思った美登利は、「嫌な坊主ったらない」と罵りながら、信如の後姿を見つめていた。
すると正太が大人のような口調で信如の肩を持つので、美登利は「子供の癖にませたようでおかしい」とからかった。
正太は「もう少しで大人になる。そしたら立派な格好をして、綺麗な嫁さんを連れて歩くのだ」と強がるが、筆屋の女房に、「お嫁さんには美登利さんと決めているんでしょう」と言われると、図星で顔を赤くした。
ある雨の日、信如は大黒屋の寮の前で、運悪く下駄の鼻緒を切ってしまう。
うまく鼻緒をすげることができずにいたところ、「誰か鼻緒を切った人がいる」と気づいた美登利が、紅入り友仙(友禅)ちりめんの切れ端を持って駆け出してきた。
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