ドラムスローン修理
職場のドラムスローン(Pearl D-1000N)が調子悪いので修理します。
メーカーによってスローンだったりスツールだったり呼び方が違いますが要するにドラム用の高さが変えられる椅子のことです。
まず現状。
ぱっと見ではわかりづらいかもしれませんが上の赤マルの部分から脚部の中心のパイプが抜けています。
この状態だと下の赤マルの部分が地面に付いてしまってバランスが悪かったり、高さの調節のために椅子の座面を回そうとすると外れているパイプも一緒に回ってしまってうまくいかなかったりします。
これはパイプが外れているだけでどこかのパーツが壊れているわけではないのでパイプが元の状態まで戻れば大丈夫です。(ちゃんと直してもまた外れるようなら脚部一式パーツを買って交換した方が良いですが)
ただ力づくでパイプを押し込んでもうまくいかないことが多い(すぐ外れる、間違った方向で入って不具合を起こす、など)ので、僕は一旦分解して組み直します。
僕は素手でやっちゃってますが、ドラム関係の機材(特に回転したり金属がこすれる部分があるもの)を分解すると、黒くて細かい金属の粉とグリスが混じった物がいたるところに付着しているので手袋などした方が良いと思います。
手や服に付くとなかなか取れません。
というわけで分解します。
パイプは根元が外れているのでそのまま引き抜きます。
そうすると上の写真のようにシャフトが見えるのでシャフトの下のネジをドライバーで外します。(このネジはめちゃくちゃ固い場合もあります。その場合はやりづらいですがシャフトを付けたまま組み直すことも一応できます。)
ネジで固定してある黒いゴムのような部分は、高さを一番上まで上げたときにストッパーになる部分(ポストストッパー)です。
シャフトから外したパーツ。(ポストストッパーとスクリュー)
外したらシャフトはこうなっています。
上の写真でシャフトの先の方に付いているパーツを外します。
ネジ山があるので座面を固定してパーツを回転させるか、逆にして上に引っ張りながら座面を回すか、で取れると思います。
このパーツが取れるとシャフトも取れるようになるので座面ごと引き抜いておきます。
取ったパーツがこちら。
このパーツは単独で注文できる物ではないのでパーツ名がわかりませんが重要なパーツなのでとりあえずパーツaとしておきます。
黒く見えるのは金属の粉とグリスが混じった汚れでもともとはシルバーのパーツです。
今回はこのまま組み直してますが、丁寧にやるなら一旦全部拭き取ってグリスを塗って戻した方が良いです。
次は脚部の上から見える蓋を取ります。
これはどうしても取らないといけないというわけではないのですが、取った方が構造がよく見えてやりやすいと思います。
取った蓋とネジ。
蓋を取った脚部の上から。
これで分解できたので組み直していきます。
組み直す前に上の写真の赤マル部分のイモネジ(六角穴付止めねじ)を緩めておきます。
これは外れたパイプを固定しているネジなので締まったままだとパイプをはめるときに引っ掛かります。
組むときは上の写真のようにパイプにパーツaをはめて脚部に取り付けます。
取り付ける時のパーツの角度が決まっているので上の写真のように取り付けます。
脚部の大きなウイングナットとパーツaの向きが重要です。
このまま脚部に押し込みます。
入りやすい角度があるはずなので微調整しながら押し込み、少し入ったら上から確認します。
上から見るとこんな感じ。
ずれて入ってしまうと他のパーツに当たってうまくいかないのでこの位置関係になるようにします。
位置が大丈夫になったら奥まで押し込みますが、人力では難しいので僕はハンマーを使います。
こんな感じで脚部をひっくり返してパイプの底をハンマーで叩きます。
あんまり力を入れすぎるとパイプが変形してしまうのでわりと弱めに、そしてパイプが斜めにならないように均等に叩いていきます。
パーツaの位置が大丈夫なら弱めに叩いても少しずつ入っていくはずです。
入っていかない場合はパーツaの位置がおかしかったりイモネジが締まっていたりすると思います。
その場合力任せに叩いて押し込もうとするのではなく、その辺りに問題が無いか見直してみます。
しっかり奥まで入ると上から見たときにこうなります。
パーツaがしっかり一番上まで来ていれば大丈夫です。
パイプがしっかり入っていることが確認できたらイモネジを六角で締めます。
しっかり締めないと意味無いんですがイモネジはあんまり力を入れすぎるとすぐなめてしまうので注意が必要です。
適度に締めるように心掛けます。
次は脚部の蓋を取り付けます。
これはドライバーで締めるだけです。
次に座面とシャフトを取り付けます。
椅子の高さを変える時のようにくるくる回せば入っていくので止まるところまで回します。
止まるところまで回したらひっくり返します。
そうすると上の写真のようになります。
ここでシャフトに付いていたパーツ(ポストストッパー)を取り付けます。
パイプがちょっと邪魔ですが、パーツをパイプの中に落としてドライバーで位置を調整するとわりと簡単にできると思います。
ネジは先にドライバーに付けて落とさないようにしながら締めます。
もしこのシャフトのパーツを付けるのがやりづらい場合はパイプを付ける前にシャフトのパーツを付けておく、というやり方もあります。
ただ先にシャフトを付けてしまうとパーツaの位置を調整したりパイプを押し込んだりという作業はやりづらくなります。
僕は両方のパターンでやったことがありますが、先にパイプを入れてシャフトは最後の方がやりやすいように僕は思います。
シャフトのパーツ(ポストストッパー)を付けたらこうなります。
これで組み上がりました。
軽く動作確認(ぐらつきなどがないか、高さを変えるときにスムーズに回転して高さが変わるか、ウイングナットを締めるとしっかり座面が固定されるか、など)して問題なければこれで完成です。
今回は問題なかったので無事修理完了です。
お疲れ様でした。