ニート日記43日目 ばあちゃん錯乱事件
金曜日
実家にいった。
久しぶりに(と言っても2週間も経ってないが)母と会って、私は訃報があってからのおばあ(母方の祖母)の話を母にしたかった。
そしたら、思いがけないことに、実家のおばあちゃん(父方の祖母)も、同じ期間、大変だったらしいということがわかった。
なんでも、ちょうど訃報があってからの数日、父方の祖母(以下、ばあちゃん)は、錯乱状態になっていたらしい。
実は1週間前から軽い肺炎にかかっていたばあちゃん。ちょうど訃報があった日に念のためレントゲンやらMRIを撮りに、母が病院へ連れて行ったという。
認知症もあって、状況をよくわかっていないながらも、病院にいる間は
「こんなに検査してもらえて上等だね!」
と言っていたらしい。
(ちなみに、沖縄の人は「良いね👍」という意味で上等(じょ〜と〜)という言い方をする)
帰ってからも、その日の夜まではいつもと変わりない様子だったという。しかし、夜中から様子が変になっていった。
今までそんなことなかったのに、母さんのことを、急に妹だと思い込んで接したり、何もない床に汚れ物があるから取ってくれと怯えて訴えたりしだした。
そんな様子で母もほとんど眠れず夜を過ごし、ようやく寝れたころ、今度は玄関で大声で何やら叫んでいるので目を覚ましたという。
今度はなんだと話を聞くと、
「お客さんを見送ったいた」
とのこと。
こんな早朝に来客があるわけもないので、どうやら幻覚を見ているようだと気づいた母は、それから2日間、ばあちゃんから目を離せなかった。
認知症とはいえ、今までこんなことはなかったので、急にどうしたのだろうと思いながら見ていた母は、ばあちゃんがどうやら自分の部屋を病室だと思っていることに気づいた。
そしてばあちゃんを座らせ、
「なんで病院だと思っているの?」
とじっくり聞いてみたという。
話を聞いてみるとばあちゃんはなんと、自分は重い病気で、入院していると思いこんでいた。しかも、病名は肺癌だと言ったという。
そこで母はピンときた。
ばあちゃんは、肺炎のことを肺癌だと勘違いしたんじゃないか、と。
病院で、珍しくレントゲンやMRIなど物々しいことをしたので、それで自分は重い病気になったと思い込んでいるのではないか、と。
そして母はばあちゃんに
「あなたは元気だよ。そしてここは家だよ。よく見てごらん」
と伝えて、ばあちゃんに確認させた。
それからしばらくして、ばあちゃんは幻覚から目が覚めたように、
「頭がすっきりしてるやっさ〜」
といって、その日の夜は一度も起きずにぐっすり眠ったらしい。
この一連の騒動がちょうど訃報があってからのことだったので、母さんはこの数日を振り返りながら
「ある意味、(亡くなった)おじさんのことを考える暇もなくて落ち込まなくて済んだのかもしれない」
と言った。
それを聞いて、なんだか(実家の)ばあちゃんらしいエピソードだなと思った。
落ち着かなくて、そそっかしくて、こちらをソワソワさせるけど、結果的にみんなを元気にさせる
そういう効果のあるばあちゃんなのである。
ひとまず母さんに、「お疲れ様」と労った。
明日はいよいよ、お葬式だ。
朝早く出ないといけないので、早めに帰って寝た。
おわり