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【ハムスト肉ばなれ】原因とリハビリの進め方
春シーズンの走り込みの時期に、「バチン」という音とともにハムストに力が入らなくなった経験があります。チームメイトが何度も肉ばなれを再発し、そのまま引退することもありました。
スポーツ現場でトレーナー業務をするようになり、ハムストの肉ばなれがとにかく多く、厄介なことに気づきました。ほとんどが走っている時に生じており、防ぐことが可能であると感じています。
現役時代の自分たちにも教えたい内容を、トレーナーの立場で、できるだけわかりやすく解説したいと思います。
■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■肉ばなれは、遠心性収縮という筋肉をコントロールしながら引き伸ばして収縮させるときに生じます。
典型的な肉ばなれは筋肉と腱の移行部で生じ、筋腱付着部の損傷は重症である場合が多くなります。
疾走中のハムスト肉ばなれ
【スプリント型】
足を蹴り出し、膝が前に伸びてハムストが伸ばされた瞬間に生じます
【ストレッチ型】
着地した際に股関節が屈曲することでハムストが伸ばされた瞬間に生じます
切り返し動作やステップ動作で起こりやすく、回旋方向の遠心性収縮も加わるとさらに生じやすくなると言われています
筋腱付着部損傷(重症例)
【スリップ】
前方に踏み出した足が滑ることで、開脚強制されてハムストが強く伸ばされた際に生じます
【乗られる】
対戦相手や味方に押しつぶされてハムストが強烈にストレッチされた際に生じます
受傷直後のゼロ次対応
一次対応という言葉がありますが、これは病院にてある程度状態がわかった時点での処置になるため、スポーツ現場においては、即状態把握するゼロ次対応が必要になります
●受傷機転時の本人の受けた感覚を確認します
※「グニュ」「ピキッ」「パチン」など
●立てるか、歩けるかの確認と、その時の痛みを確認します
●圧痛、腫脹、硬結、陥凸を確認します陥凸は24h以降は腫れでわからなくなるためこの時点での確認が必要です
●伸ばして痛みを訴える角度を確認します 痛みより先にストレッチ感が自覚できれば軽症です
●肉ばなれを確認できたら、医療機関にてMRI画像診断による重症度の把握が必要になります
リハビリの進め方
①患部保護期
②身体機能回復期
③運動機能回復期
④特異性回復期
ハムストの肉ばなれは再受傷の多いことが特徴ですそれぞれの移行時期を正確に知ることで、その時に必要なリハビリを行い、最速で再受傷を起こさない身体能力をとり戻すことが可能となります
復帰に必要な要素
①損傷組織の修復
②体力、技術の再獲得
③危険因子の排除
肉ばなれの危険因子については、これだけを改善すれば確実に再発を防げるという因子は明らかになっておらず、複合的に様々な危険因子を排除する取り組みが必要です
そのため以下の8つの基本戦略をもとにリハビリを進めていきます
8つの基本戦略
①可動性を獲得し、左右差を減らす
②筋力を獲得し、左右差を減らす
③早期に遠心性収縮のエクササイズを導入する
④coreの安定性、対応性を獲得する
⑤全身の運動の統合と分離を獲得する
⑥動作を3次元的に捉える
⑦段階的に疾走動作に近づける
⑧運動の複雑性と変動性を考慮し、適切な疾走動作を獲得する
再発サインの確認
肉ばなれはとにかく再発率が高いためリスク管理が必要になります
●圧痛の悪化はないか
●違和感はないか
●可動域の低下はないか
●伸張痛の増加はないか
ハムストの肉ばなれに関して、原因とリハビリの進め方の大枠を解説しました。今後、少しずつ具体的なリハビリについて解説していきたいと思っています。
NAKABA
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●参考 「アスレチックリハビリテーションガイド」文光堂