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事実婚をしてからの壁 ~子どもの手続き編~

事実婚は端から見れば法律婚と変わりがないものの、手続きをするうえでいくつかの壁にあたった。今回はそんな話をいくつか。
誰かの参考になればなと。


出生前後の手続き(認知・戸籍)

皆さんは認知と聞くと、どういうイメージを持つだろうか。
正直に言えば、私は、想定外の子どもが生まれる際に利用される制度であまりいいイメージはなかった。
ただ、事実婚における子どもは、どうしてもこの認知をせざるを得なかった。

もし、婚姻関係のない母親がひとりで子どもを産む場合、その子どもはどうなるのか。
戸籍上、父親の欄は空欄になり、母親だけが記載され、相続も母親のみからしか受けることができなくなる。
そうした子に父親として名を記すための手段が認知である。そうすれば、もちろん、父親の死去後、その子どもは父親から相続を受けることができるようになる。

認知には種類があり、私たちは胎児認知という手続きを行った。胎児のうちに、父親が私であるということを役所にて手続きすることにより、出生届を出した際に父親として記載され、生まれながらに、法律婚の子どもと同じように、母親・父親がいる状態になる。
手続きは、母親の本籍地のある役所にて行う必要があり、母親の同意さえあれば手続きをすることができる。

法律婚の子どもとの大きな違いが、この相続に関することであるが、この認知の手続きにより、その違いはなくなる。

ちなみに、事実婚における子どもは、何も手続きをしなければ母親の姓になり、親権も母親のみとなる。
親権については、認知をしようとも父親との共同親権にはならないため、この差は今の制度においてうめることができない。
それでも、私たちは、ひとりの子の母親・父親として1つの家族の生活が無事にできている。
ちなみに、姓についても親権についても、家庭裁判所での手続きを経れば、変えることができる、はず。

保険証の発行

つぎに保険証の手続きについて。
保険証は通常、収入が多い方の扶養に入れることとされているが、その収入の差が1割未満であれば、収入が少ない方の扶養に入れることもできる。
私たちそれぞれが加入している制度を比較し、私の扶養に入れることにした。

通常、職場からは住民票やら母子手帳の写しやらを求められて、2~3週間で保険証が発行される。
しかし、私はそれに加えて、戸籍の提出を職場から求められた。
総務の方と電話でやりとりした際に
「今まで前例(事実婚の子の扶養)がないことで~……。住民票は一緒になってはいますが、私さんの子かどうかって住民票だけではぱっとわからないので~……」ということを言われた。
率直なことを言われ、一理あるなと、苛立つこともなく、戸籍を用意することにした。
ただ、法律婚における子であったとしても、その子どもが2人の間の子どもであるとも限らないわけであって、姓が一緒であることや戸籍上の婚姻に対する信頼が強いのだということを実感した。

その戸籍なのだが、これも事実婚においては複雑である。
通常の法律婚の場合、バツイチ以上の場合はより複雑になるが、あくまで初婚であることを前提に少々解説すると。
夫、妻はそれぞれ筆頭者の戸籍に入っているもので、婚姻届けを出すと、それぞれが筆頭者の戸籍を抜けて、新しい筆頭者のもとに新しい戸籍がつくられる。そして、子どもが生まれた場合、その新しい筆頭者の戸籍に入る。
事実婚の場合は違う。
私たちの場合、出生届を出した際に、妻は筆頭者のもとを抜けて、新しい筆頭者となり、子どもがそこに入る。
私の戸籍は、筆頭者は変わらずそのまま留まり、子どもを認知したことが記載される。

保険証がいち早く欲しかったため、出生届を出してから3~4回は役所に通って、戸籍が反映されているかどうか確認しに行き、私の戸籍に子どもを認知した旨が記載されたのが、3週間ほど経ってからであった。

つまり、通常であれば、戸籍がなく保険証が発行されるため、この戸籍を手に入れて提出するまでの3週間ほど遅れて保険証を手にすることとなった。この間、子どもが病気になったらどうしようかと少々不安な日々を夫婦で過ごしていた。

認知、戸籍、それに付随する保険証の発行、これらのことが事実婚ならではの壁としてあったが、今となってはやはり、通常通りの生活ができている。
制度が法律婚前提にできているため、胎児認知、戸籍の仕組み、職場での手続きなどこうした違いについて、参考になればと。
困った時は、ぜひ、手続きする先である役所や職場へ事前に連絡をとることをおすすめする。

今回はここまで。
次回は注文住宅編として、体験してきた事実婚における注文住宅の壁を語ろうかと。
小難しい話が多くなっているが、次回を終えたら、育児エッセイ、注文住宅エッセイで軽めにしていく、はず。

きっといつか、誰かの何かに。

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