#005|「器械出しの勉強法が分からない」と嘆くあなたへ〜概論〜
これまでの器械出しに関するnoteでは、器械出しとしての洞察力(予測する力)を構成する要素や、欠如した要素を明らかにする方法を紹介してきました。
これらのnoteを見ていただくと、自分自身に欠如した要素が明らかになるので、効率よく強化することができ、洞察力の向上に役立ちます。
しかし欠如した要素が明らかになったとしても、具体的にどうやって強化するのか、つまり、どうやって勉強するかが問題であるはずです。
今回は、自分自身に欠如した要素をどのように強化していくのか、どうやって勉強すればよいのかを解説していきますが、このnoteではまず、概論として基本的な勉強に対する考え方を説明していきます。
「勉強法が分かりません」の落とし穴
器械出しの勉強について、よく「どうやって勉強すれば良いのか」が話題になります。
僕自身も「どうやって勉強してるんですか?」「勉強法を教えてください」と尋ねられることがとても多いのですが、実は「勉強法が分からない」と嘆く人が本当に問題としているのは、勉強法ではないことがほとんどです。
たとえばテストに向けて漢字の勉強をするとします。多くの人はテストの範囲となるページを確認し、その範囲の漢字を何らかの方法で覚えようとするはずです。書いて覚えたり、読んで覚えたり、成り立ちを理解することで覚えたり。
この過程を細分化して考えてみると、そもそも何かを勉強するためには「何を」「どこまで」「どうやって」の3つが揃っている必要があることが分かります。
もう一度漢字の例に当てはめてみると、
何を=漢字
どこまで=テスト範囲として指定された特定のテキストのページ
どうやって=全ての漢字を10回ずつ書き取りする
といった形になります。
ここで気づく方もいるかもしれませんが、多くの人は「勉強法が分からない」「どうやって勉強すれば良いか分からない」のように、「どうやって」に焦点を当ててしまいがちですが、真の問題は「どうやって」よりも「何を」「どこまで」であることがほとんどなのです。
問題は勉強法ではなく、勉強の範囲
これは器械出しに限らず、すべての社会人に共通することですが「勉強法が分からない」と嘆く人が真に問題としているのは、勉強法ではなく「勉強の範囲」ですあることがほとんどです。
もし特定のテキストのページを学習することで外科医が満足するような器械出しができるのであれば、器械出しは勉強法が分からないなどと言わないはずです。
勉強できない人は、勉強の範囲を自分で決められない人
ここで少し話が逸れますが、義務教育にしても看護学校における看護基礎教育にしても、必ずカリキュラムがあります。このカリキュラムは特定の学習目標を達成できるよう、専門家によって組まれます。言い換えると、教育を提供する側が自動的に勉強の範囲を決めてくれているわけです。
これに対し社会人になってからの学習には、カリキュラムも達成すべき学習目標もありません。
この両者の違いを理解していることが重要です。学生時代に勉強ができたのは、期末テストにせよ国家試験にせよ、テスト範囲、あるいは過去問題のように「範囲」が決められていたからであって、おまけにテキストまで準備されていたから。
しかし社会人になってからの学習は、勉強の範囲もテキストも、すべて自分で設定しなければならないのです。
何を勉強すればよいかを決めてくれる先生がいるのが学生時代、すべてを自分で決めなければならないのが社会人、ということです。
まとめ
「勉強法が分からない」「どうやって器械出しを勉強すれば良いのか分からない」と嘆く器械出しは多いですが、真の問題は「どうやって」ではなく「何を・どこまで」であることがほとんどです。
勉強の範囲を決められない人は、効率よく学習できるノートを買い揃えたり、iPadを導入したりしても、根本的な学習の題材がないわけなので、宝の持ち腐れになります。
何よりもまずやらやければならないことは、自分自身で勉強の範囲を決めることです。
具体的な勉強範囲の設定に関しては、次回のnoteで紹介します。