【つむぎ随筆21】愛猫の死
こんにちは。
毎日、暑い日が続いておりますが、皆さま、いかがお過ごしでしょうか。
昨日の南海日日新聞社さまに、私のエッセイが掲載されました。
よければ、どうぞお読みください。
南海日日新聞とは? どんな新聞社?
今回は、ウチの飼い猫「ガンコ」の事を書きました。
「愛猫の死」
猫のガンコは、生まれてすぐに、スーパーのゴミ箱に捨てられていたそうだ。額が八の字になっているハチワレで、とてもヤンチャ。けれど、元気過ぎて、先住猫を脅かしたので、飼い主さんから里子へ出された。そうして、我が家にやってきた。
しかし、ヤンチャだと聞いていたのに、実際には部屋の片隅に隠れて出てこない。ご飯も食べずに籠城する猫に手を焼いて、餌で釣った所を捕まえた。逃げ出そうとするのを、撫でてやるとすぐに喉をゴロゴロと鳴らしはじめた。私は、「一週間も出て来ないなんて、お前の名前はガンコだよ」とつぶやいた。なので、ガンコという名になった。前の飼い主さんからは「クルル」と可愛い名前で呼ばれていたのに…。
ガンコは、メス猫らしく優雅で大人しく、いつも私に寄り添ってくれた。長い手足と尻尾を持ち、寝る時にはいつも足の間に挟まって眠っていた。
だが、長い年月には色んな事がある。夫が元夫になり、私は奄美に帰ってくることになった。ガンコとの別れの時だった。奄美に帰ってきてからも、そこここでガンコの幻を見た。ガンコが呼んでいると思った。元夫からは、おしっこの粗相が酷いと聞かされて、心配していた。男一人では面倒見切れないようだった。
この春、私は元の自宅へ戻って来た。久しぶりに会ったガンコは、痩せてヨロヨロしていた。それでも玄関へ入ると、いつものように二階から下りてきて、じっと見つめた。私の事を覚えていてくれたのだ。
急変したのは、6月半ば。餌を食べなくなり、横たわるだけ。粗相をしては、少し動き、また粗相をする。その繰り返しだった。元夫と交代で、夜は側にいて見守った。徐々に息が静かになり、気づいた時にはしてなかった。享年18歳。驚いたのは、元夫が号泣した事だ。あんなに猫の粗相に悩まされ、怒鳴っていたのに…。人は分からないものだと思った。
翌日、移動火葬車を呼んで火葬をした。扉が閉まる時、二人して涙した。元夫婦の共同作業。ガンコは今、小さな骨壺に納まっている。
了
実は、まだペットロス中で・・・。
この文章を書いている時も、涙が溢れて止まりませんでした。
ガンコが倒れてから、もう、このまま病院へは連れて行かずに、静かに逝かせてやろうと思っていたのですが、結構長くその状態が続いてしまって・・・。
ちょうど、自分の仕事が忙しくて、世話も充分出来なかったのですが、
こんなに逝かないのなら、もしかすると、単なる病気かも・・・?
と仕事が終わった夜、慌てて体温が下がっていた身体をさすって温め、
湯たんぽなども使っていると、ほのかに体温が戻ってきました。
これなら、〝芽があるかも・・・!?〟と思い、翌日、病院へ予約の電話を入れました。すると、突然ガンコが、「にゃー、にゃー」と鳴き出しました。
今まで、鳴く事さえできなかったのに・・・。
それは、「連れて行かないで!」という抗議だと思いましたが、
とりあえず、先生に診てもらおうと思いました。
元夫には、午後から帰ってきてもらい、二人で行くと、
お医者さまからは、「今、この場で亡くなってもしかたないくらいですよ」と言われました。
一応、病状としては、猫コロナか内臓の腫瘍の破裂で、腹水が溜まっているのだろうと言われました。どちらかは、検査して見ないと分からないと。
「オーナーさんが、どの程度治療するかですよ」と先生に真っ向から問われた時、元夫が、その場で号泣してしまいました。
私は、唖然・・・。
だって、元旦那は、ガンちゃんが、新しいお布団に粗相した時、
「この馬鹿猫!もう、お前なんかいらん!猫は二度と飼わない!
くそっ、この馬鹿ッ!!」と怒鳴りまくっておりましたから・・・。
まあね、毎日毎日、粗相をしまくられ、頭に来ていただろうし、
ガンコのおしっこ問題は、ここ何年ものことで、彼は彼なりに、
努力をしていたのです。
けれど、ここ最近落ち着いていただけに、ようやくお布団も出して寝られるとホッとしていたところへ、おしっこをされて、ブチ切れてしまいました。
彼は、ガンちゃんがおしっこをするので、ずっと、ベッドマットもないただの板の間のベッドに寝ていたのです。
それは怒るでしょう。
でも、その時はもう病気で、腹水が溜まって、自分では処理できなかったのです。可哀想な事をしたと思っています。
しかし、お医者さまから、その場でとりあえずの点滴をしてもらい、注射を二本してもらい、その他、エコーや血液検査、尿検査・・・もろもろ合わせて、36000円!?と言われた日にゃ・・・思わず、ペット保険のチラシを手に取りましたが・・・。
今まで、ウチの猫たちは、病気らしい病気をしたことがなかったので、
いかに健康が有難いかを思い知らされました。
ウチにはまだもう一匹、黒猫がいるのです。
そして、「明日、点滴を打ちに来てくださいね。検査結果もその時お伝えします」と言われ、家に戻ったのでした。
その夜、点滴効果で、少し動けるようになったガンコは、自力で水を飲み、
そうして、病院で分けて貰ったおむつをして、寝ました。
倒れてからもずっと、呼吸は浅く、穏やかでしたが、その晩はとくにそうだったかも・・・。
私は、お医者さまから、「とくにお母さん、この子が持ち直すかもと一所懸命だと、期待を裏切ることになるかもしれませんよ」と言われていました。
私が前の晩、持ち直すかもと一縷の望みを掛けて、身体を温めたことを言われたのです。
そうすれば、一時的には持ち直すかもしれないけれど、もともと弱っている体にそういった負荷をかけると、心臓がもたなくて、余計苦しませることにもなると・・・。
結局、駄目だと思ったら、もう自然にまかせてなにもせず、
逝くのをただ見守るのがいいそうです。
私も最初はそうしようと思っていたのですが、それがあまりにも続いたので、自分の判断が間違っていたのではないかと、心配になり、
病院へ駆けこんだのでした。
翌日、病院で再び点滴を打って貰おうと、ガンコに声を掛けると、
もう息をしていませんでした。
よっぽど病院が嫌だったのでしょうね。
気の毒な事をしてしまいました。
けれど、パニックになっていた私は、そのまま段ボールの箱にガンコを入れ、病院へ連れていきました。
先生は一目見て、「あ~・・・」と言い、聴診器を当てて、
「亡くなっています」と言いました。
まあ、分かってはいた事ですが、涙がぶわっと出てきました。
家に帰ると、猫用おむつが届いていました。
ここ何日も粗相が酷かったので、私ら人間は夜も寝られず、ストレスを抱えて、喧嘩も絶えなかったので、おむつを通販で取ったばかりでした。
でも、間に合いませんでした。
もっとやりようがあったのではないかとも思いますが、
まあ、これが私たちに出来る精一杯の事でした。
でも、ガンちゃんが居なくなると、寂しい・・・。
いつも一緒でしたからね。
離婚してからは会えなかったですが、
いつも引き取りたいとは考えていました。
黒猫のクロは、元夫になついていますが、
がんちゃんは私になついていました。
だから、元夫から邪険にされていないかといつも心配していました。
とくに粗相をするようになってからは、元夫もストレスから、
ガンに手荒くしているのではないかと・・・。
でも、最期に立ちあえて良かった。
彼女は待っていたのかもしれませんね。
私が帰って来るのを。
最後に彼女に会えて、しばらくでも、
面倒をみることが出来て、良かったです。
あ、また涙が・・・。
しばらくこの状態は続きそうです。
☆それでは今日も良い一日を。