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M先輩のこと 5


ようやく先輩を光の世界へ送って、ホッとしたのも束の間、私のスマホは、再びフェイスブックの友達申請で溢れかえるようになったのです。

なんだよ・・・。
成仏したんじゃなかったのかい、M先輩。
これ以上、どうすりゃ、いいのよ、ワシは・・・。

と私は内心、頭を抱えてしまいました。

確かに、素人の私が、魂を光へ還すなどということは、無謀な事だったのかもしれません。

けれど、知り合いに誰も霊能力者がいないのなら、仕方ないではありませんか。
素人の私でも、やるしかない。

なのに、これは一体どうしたことか。
一向に〝友達申請〟は止みません。

私は、ほとほと困り果ててしまいました。
でも、M先輩のことを考えると、雲の上からニコニコしながら、こちらを見ているのが見えるし・・・。

そこには、なんの不足もないように感じるのですが・・・。

それともまだ何か不満があるのか・・・。

もう、分からない〜と、私は音を上げてしまいました。

それで、思わず、M先輩に毒付いてしまいました。

大体、先輩は祈祷師だったでしょうに。
だったら、お仲間にはたくさん霊能者がいた筈だから、そちらに頼みなさいよッ!

そちらの方が確実だよ。
私じゃ、分からないよ〜と。

そして、その日も、朝から来る〝友達申請〟に私はうんざりしていました。

だって、目覚ましを止めようとしたら、1分前には既に〝友達申請〟がきているのですもの・・・。
私は、思わず「助けて・・・」とつぶやいていました。

そして、
「もう、やめて、私に頼らないで」とか、
「私にはあなたを助ける力などないから、もう来ないで」や、
「いい加減、成仏して〜!」
などと叫んでいました、心の中で。

「もう二度と私の前に現れるんじゃないッ!あっちへ行けッ」と。

でも、よく見ると、先輩は雲の上で、相変わらず私を見つめています。
私が怒りを爆発させたからと言って、別に怒っている様子もありません。

しかも、その日は先輩の横に、白いモアモアの犬まで居るではないですか。

なあんだ、先輩、やっぱり幸せなんじゃないですか。もう、二度と私の所へは来ないでくださいよ!

と念を押しながら、仕事場へ行くと、その日の昼休みに、くだんの友達からメールが届いていました。

そして、その内容というのが、またしても・・・M先輩の事なのでした。


つづく