一滴も男性性を受け入れない徹底したフェミニズム映画【ロイヤルホテル】
この映画を楽しみにしていたので、早速見に行ってきました~。
私の中では、「フェミニズム・ホラー」かと思っていたのですが、
案外、「ホラー」要素はなく、途中からこの混乱さに、笑ってしまいました。
どちらかと言えば、「スラプスティック」映画です。
一緒に観に行った人が、「怖そうだから、止めにしない・・・」と言っていたのですが、上野昻志さんが、新聞の夕刊に映画評を書いてくれたおかげで、観に行けた映画。
「夕刊に出たならば、大丈夫だろう・・・」ということで!
ナイス! ありがとう、上野さん。
(彼女が招待券を持っているので、私には選択権がなくて・・・(^^;))
という事で、どんだけ怖い映画かと思いきや・・・
〝怖い〟というよりも、「男」と「女」の生態の違いを
まざまざと見せつけられた映画でした。
あらすじは、バックパッカーでオーストラリアに来た女性二人、ハンナとリブは、所持金がなくなり、急遽そこでアルバイトをすることに・・・。
しかし、そこは、人気のないロイヤルホテルというbar。
そして、そこに夜な夜な集うのは、鉱山で働く荒くれ男たち。
・・・というと、もう女性の皆さんはお分かりでしょうが、
ここでは、セクハラ、モラハラ、当たり前、下手すると、
レイプや命までも奪われかねない危険な場所なのです。
男たちは、やってきた若い女性二人に興味深々。
さっそく彼女たちの気を引こうと、あの手この手で、
モラハラ発言を繰り返します。
どんなに彼女たちが嫌がってもやめません。
これは、小学生男子が、好きな女の子に、あの手この手で嫌がらせをするのと似ていますが、彼らはすでに大人の男。その規模が違います。
なびかなければ、車で突っ込んだり、蛇を投げ入れたり、まあ、だんだんと
暴力的手段がエスカレートしてくるのですね。
口だけではなく、実際に実力行使をしてくるわけです。
その背景にあるのは、やはり、男尊女卑思想があるのでしょう。
〝力〟が一番と考えている彼らにとって、
女性が、特に若い女性が、自分たちに興味を持ってくれて、
楽しませてくれることは、〝当たり前〟の事なのでしょう。
実際に、ハンナたちが来る前に、雇われていた女性二人は、
まるで、売春婦のように振る舞っていました。
彼らにそう強要されたのか、そうするのが、身の安全を保障するとおもったのかは分かりませんが、男たちの体のいいおもちゃにされていました。
ここまで、聞くとどうでしょう?
女性のみなさんは心当たりはないでしょうか。
というのは、男社会の洗礼を受けた女性たちは、
なんとかこの社会に馴染もうとして、セクハラまがいの冗談にも、
「ははは」と気のない笑いで返していた時代もあったからです
(まあ、私ですが・・・(^^;))。
今は知りませんが、私が若い頃には、それが当たり前で、
そういう冗談を上手く交わすことが、女性としての格が上、
みたいな風潮がありました。
真面目に、真っ正面から斬り込むと、
「お子ちゃま」扱いされたものです。
そこまで、真っ正直でなくとも、日常茶飯事にセクハラ、モラハラ行為は
当たり前に行われていましたし、目の前で、女性の先輩が既婚の男性社員に手を握られて、なでなでされているのを見ているしかない時期もありました
(まあ、よくある手相をみてやるよ、的な?)。
見せられる方も嫌なのです。
そんなのおかしいと分かっているので、どう対処していいのか分かりません。しかも先輩は嫌がる素振りも見せずに、手を撫でられも平気。
その事も、私には、どう捉えていいのか分かりませんでした。
そして、二人も運命の別れ道にきます。
真面目一辺倒なハンナは、男たちのどんちゃん騒ぎの果てのセクハラ行為に、ガンとしてノーを突きつけ、一方のリズは、男たちの行為を受け入れていきます。
薬を盛られ、あわやレイプされそうになるのを、ハンナが必死に止めて、
助けます。
しかし、リズは、余計な事をと怒ります。
二人は決別していきます。
こういうところにはいられないと、ハンナは、シドニーに帰る事にするのですが、そこで以前知り合った男友達に連絡を入れます。
そうして、迎えに来てもらうことに・・・。
ところがです。
地元の男たちは、その男友達を警戒するのですが、
なんと男たちのどんちゃん騒ぎに、すぐに馴染み、
男同志で連携してしまうのです。
まあ、もうこのシーンでは笑ってしまいましたね。
まさに、女性から見ると、男性同士の連携って、
こういう感じなんですよ。
女にはもう入れない、独特の結びつきですよね。
これを男だから、女だからとは言えないですけどね・・・。
もう男女の違いとしか言いようがない。
「男ってそういうもんだよねー」くらいに私などは思っておりますが・・・。(;´Д`)
そして、ハンナが一番言われたくない言葉を、この男友達は酔っぱらって言
ってしまうのです。
「賢いメス犬」
これは、彼女がこのホテルに来て、最初に店主から投げつけられた侮蔑的な言葉です。
それを味方だと思っていた男友達から、言われてしまうのです。
さあて、ここからが、反撃です。
ハンナはこの苦境をどう逃れるのでしょうか?
周りは、よっぱらった荒くれ男たちばかり。
レイプ目的で店に侵入してこようとしています・・・。
というお話なのですが・・・。
いやはや、いやはや・・・
私は純粋に面白かったです。
ある意味、ギャグに見えました。
男という存在を大きくして、悪い所ばかりを集めると
こういう化け物的になるのだなぁ・・・と。
でも、これは女性の立場から見ると、そうなのかもしれませんね。
その中で、女性たちも一枚岩ではなくて、男性性に馴染んでしまう、
ある意味、そっちの方が楽なので・・・という女たちもいるでしょう。
否、これまでの時代は、そういう女性たちの方が多かったと思います。
男社会で上手くやっていくには、女性たちは、あるテクニックを学ばなければなりませんでした。それは男社会に迎合するということです。
私は、映画の学校に通っていたので、その昔は、現場に女性がいるのが
珍しくて、私もバイトで入ったことがあったのですが、
そりゃあ、もう~・・・大変でした。
私の場合、若い女性がいるというので、とてもちやほやされ、
それに曖昧な笑みで返すしか術のなかった私は、ただアホみたいに、
にこにこ笑って受け流していました。
しかし、そんな付け刃が通用する訳もなく、撮影現場の最後の方では、
総スカンで叩かれてしまいましたが・・・。(;´Д`)
その時、男たちの連携って、すごいなーと思ってしまいました。
女性なんて、あっさり切り捨てられてしまうんだなぁ・・・と。
まさに、この映画のハンナと同じ体験をしてしまったのでした。
それから私は、二度と現場には行かないと誓って、今にいます。
まあね、人には得意、不得意がどうしてもありますので、
私には向いていなかったという事ですね。
この映画の女性監督の前の作品が、「アシスタント」というもので、
映画のプロデューサー補として、会社に入った大学卒業したての若い女性の
一日を描いたものなのですが・・・。
そして、昨夜見させてもらったのですが、
まさに、自分が体験したような感じで・・・
というか、女性が組織に入るということは、こういうことだよな・・・と
思ってしまいました。
もう、めちゃくちゃ、モラハラの嵐です。セクハラもか。
そんな中、涙目になって、必死に仕事をしているのが、
気の毒になってしまいました。
私は、こんなこと言うと、偏見だと怒られそうですが、
やはり、男女の性差ってあると思うし、お互い、
立ち入らない方が、上手くいくのではないか?と
考えているんですよね。
この映画は、女性が酷い目に遭う話ですが、
逆バージョンとしてよく聞くのが、
女性ばかりの職場で(工場とかでね)、若い新人の男性社員が入って来ると、
やっばり虐められるというんですよね
(ウチの息子もやられました・・・)。
これが不思議でね~。
まあ、面白いなあと思います。
男女とも、自分のフィールドに、異性が侵入すると、
全力で立ち向かうのかな?
支配したくなるのかな?
なんて思ってしまいました。
まあ、
「仲良きことは、うつくしきかな」
と武者小路実篤先生もそうおっしゃっていますので、
男女とも仲良くいたしましょう。
私が、タイトルに「一滴も」と付けたのは、
映画の中で、二人を助けにくる、〝王子さま〟キャラがいるんですよ。
でも、そこにも、彼女らは、下心を感じて、排除するのです。
本当は庇護が欲しい所なのに・・・。
まあ、そこは徹底しているなぁ・・・と思いました。
やっぱりある意味、「フェミニズム・ホラー」かな?
とも思いましたが・・・。
これからの時代は、彼女らのように、強くあらねばならないけれど、
強くなるのも、大変で・・・(私は疲弊しております・・・)。
まあ、出来れば、男女、仲良く、(武者小路先生、ほんそれですよ!)
していって欲しいなぁ・・・と思います。
と言う訳で、今回は、私の偏見バリバリの感想でした。
☆それでは今日もよい一日を。