【先読み】自律型AI [AutoGPT]-Chat-GPTの「先の世界」
以前、「弱いAI」と「強いAI」について書きました。今のChat-GPTは「弱いAI」です。「強いAI」とは、汎用人工知能AGI(Artificial General Intelligence)と呼ばれており、いわば、何でもできるAIのことです。
「強いAI]であるAGIが誕生したら、人類はAIに支配されるのでは?と恐れられています。
では、僕は「強いAI」が誕生するか?と聞かれたら、「今のChat-GPTはまだ『弱いAI』なので、そんな脅威は『当面ない』が、AGIに向けて階段を着実に上り始めている」と答えます。
僕がどうしてそう感じているかについて、お話します。
自律型AI「AutoGPT」とは
実は、すでにChat-GPTを応用して、この「強いAI」への第一歩が、既に開発されています。それが自律型AIと呼ばれる「AutoGPT」です。
「AutoGPT」は、今年の3月末に発表された技術です。
Chat-GPTを使うシステムで、発表を受けて、一部の研究者の間では、わりと大騒ぎになっていました。
一般的には騒がれなかった理由は、Chat-GPTのように、簡単に誰でも使えるものではなかったためだと思います。システムのインストールを自分でしなければならないなど、使うためのハードルが高すぎました。
でも最近は、「AutoGPT」を使いやすくした、「BabyAGI」というものが登場して、僕も結構使っています。
AI自身がChat-GPTを何度も使い、答えに到達
なぜ、これが「強いAI」への第一歩と評されるのでしょうか?
「BabyAGI」とはどんなものかと言いますと、僕たちの目標などを「BabyAGI」にお願いすると、AI自身がChat-GPTを何度も自動的に使いながら、その目標を達成するには、どうすればいいかを、考え、答えてくれるというものです。
例を挙げてみますね。
例えば、自分が高校生として、どうすれば東大に合格するのかを知りたいとします。Chat-GPTを使ってその方法を聞く場合は、「私は高校生です。東大入試に合格するにはどうすればいい?」と、Chat-GPTに問いかけます。
するとこんな答えが返ってきます。
東京大学の入学試験に合格するためには、高い学力と努力が求められます。以下は一般的な対策のステップです:
カリキュラムの理解: 東京大学の入学試験に求められる科目について十分に理解し、必要な教科書や参考書を準備します。
計画の立案: タイムスケジュールを作成し、毎日の学習計画を立てます。進捗管理も重要です。
過去問の練習: ・・・
塾や予備校の利用: ・・・
・・・
まぁ、それはそうですね、という答えです。
これだけだと、具体的にどうすればいいかわからないですよね。ですので、この回答を受けて、Chat-GPTにさらに次のように質問します。
「カリュキュラムの理解というのは、具体的にどうすればいい?」とか、「塾や予備校はどこに行けばいい?」など…つまり、さらに聞きたいことを、ヒトがどんどん聞いて、回答の深堀を自分でしないといけません。
これって面倒ですよね?
「BabyAGI」がChat-GPTに再質問
「BabyAGI」がすごいのは、設定した「目標」を実行するために、「ToDoをリスト化してChat-GPTに質問する」を何度も繰り返し、具体的な答えがでてくるまで自動的に動くことです。
もう少し具体的に言うと、Chat-GPTだと、あいまいな答えが返ってくると、Chat-GPTに再度「これはどういう意味?」とか「ここの部分を詳しく教えて」などと何度か聞かないといけないこと、多いですよね?
その場合、再度Chat-GPTに質問する。要は納得した回答をChat-GPTから得るには、何度も質問するを、通常は「ヒト」が繰り返さないといけない。
これを「BabyAGI」は、Chat-GPTからの返答内容をみて、目標達成(東大に合格する)には、この回答だと不十分と思えば、自分でChat-GPTに、何度も質問を繰り返し、目標を達成する具体的な答えを出してくれるのです。
すごくないですか? AIがヒトの指示をすることなく、勝手に、自動的に、自分で判断して行動している、ということなんです。
こういう、ヒトの指示なしに、自分で考えて、自分で行動するAIのことを「自律型AI」と呼びます。自分で考え、正し、動くので、「自律」しているということですね。
今は「『強いAI』の赤ちゃん」だが…
「BabyAGI」ってネーミングも、「AGI」つまり、「強いAI」の赤ちゃんという意味ですが、確かに、今はまだ赤ちゃんかもしれません。
でも、「自律」して動けるAIが誕生したということは、「強いAI」の出現に向けて、その第一歩が始まったといえるでしょう。
この「自律」したAIは、「自律」したがゆえに、どんなことができるようになるのでしょうか?
実は、「BabyAGI」の先を行く、すごい「自律」したAIが既に登場しています。これを「完全自律型AI」と呼びますが、既に開発されています。
この「完全自律型AI」がどんなことができるのか?については、次回お話ししたいと思います。