「アジャイル経営カンファレンス」を開催しました
こんにちは。
中原です。
コロナが猛威をふるい在宅ワークが続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか?
そんな中、経営層~中間管理職を対象にした「アジャイル経営カンファレンス」をオンラインで開催しました。
こんな感じで運営しました
カンファレンスの運営をスムーズに行うために、一部の実行委員は当日にSOUND CREWさんというSTUDIOに集まりました。
もちろん、感染対策は万全で。
このSOUND CREWさんのSTUDIOがめちゃ凄くて、音楽の機材が大好きな僕はキョロキョロしてしまいました。
同日に大物アーティストがレコーディングをしていたとかしていないとか。そういう噂もあるぐらいすごいSTUDIOでした。
スタッフの方は超有名なアーティストのコンサートやフェスなども手掛ける、本当のプロ!
プロ中のプロ!
Professional of Professionals!
安心感しかありませんでした。
スタッフの皆さん、どうもありがとうございました。
そして今回のカンファレンスの実行委員は以下の通り。
本当に良いチームで、常に建設的な議論をする事ができました。
去年の夏頃から企画を練り始め、約半年で開催しました。
週に1回ほどオンライン会議をしてきましたが、短期間のうちに大きな信頼関係を構築することができました!(と僕は思っています。)
皆さん、どうもありがとうございました!
引き続きよろしくお願いします!
現地で撮った写真はこんな感じ。
といった感じでアジャイル経営カンファレンスを開催したわけですが、基調講演と、僕が司会を務めさせて頂いたトラックAの内容を簡単にご紹介させて頂きます。
ちなみに多くの方から「中原さん、むっちゃ緊張してる?」というメッセージをリアルタイムで頂きましたが、全然緊張していませんでした(笑)
標準語で書かれた台本を読んでいたんですが、普段大阪弁の私が標準語で話すと堅く見えると言うのがよくわかりました(笑)
なお、「アーカイブ視聴チケット」をご購入頂く事で講演をご視聴頂けます。
このブログにはネタバレにならない程度に感想を書きたいと思います。
基調講演 アジャイルな会社しか生き残れない 遠藤 功様
僭越ですが「さすが遠藤さん!」という、基調講演にふさわしい包括的でかつ会の目的を端的に表された内容でした。
遠藤さんのお話しは「アジャイル経営とは スピードだけではなく、権限委譲、評価、育成など多岐にわたる」という所から始まります。
そもそもアジャイル経営ってなんですか?って話なんですが、僕の中ではこの本が中心にあります。
遠藤さんのお話はこの本に書いてある事に近い定義からはじまったので、僕は「うんうん」なんて偉そうにうなづきながら拝聴していていました。
そして遠藤さんは「不透明な時代だからこそビジョンを示すことが大事で、ビジョンを達成するための戦略、何よりも実行力が大事だ!」と続けられます。
遠藤さんが著書でもおっしゃっている「現場力」ですね。
ビジョンにむかって現状を変える(Present Push)のではなく、ビジョン(未来)を達成するために必要な事をやる(Future Pull)とおっしゃられていました。
そして、不透明だからこそ顧客のニーズを知る現場が主導すべきで、そのためにデジタルやデータの力って現場力を強化するのだ。
これこそがDXだって事でした。
最後に遠藤さんは『これまでは「現場力」ってのが大事だって思ってきたけど、最近はそもそも組織運営の基盤、根っこが痛んでいては再生できない』とおっしゃられていました。
なので、組織風土など、組織全体の再構築が必要とのことでした。
「未来に選ばれる会社になりましょう!」とのメッセージで締めくくられたのが印象的でした。
これこそがまさに「アジャイル経営」だと思いました。
遠藤さん、どうもありがとうございました。
パチパチパチパチ
僕は遠藤さんのご講演には「対外的」、「対内的」という2つのベクトルで変革が必要とのメッセージがあったと思いました。
1つは対外的な変革についてで、対顧客や市場への価値提供のお話し。
デジタルやデータの力を使って現場を強くし、いかに継続的に顧客に価値を提供し続けるかというメッセージ。
もう1つは組織風土など組織体制など内部の変革のお話し。
最もタイムリーに多くの情報を取得できる現場がビジネスを主導できる組織にできるかというメッセージ。
この両輪が機能してこそ「アジャイル経営」が成り立ち、変化に強い組織になるんだと理解しました。
アジャイル経営を可能にする組織変革のステップとは
Scrum Inc Japan様
クロエ様、和田様、吉住様
基調講演のあと、午後からはトラックAとBに分かれてのセッションになりました。
僕はトラックAの司会を務めさせて頂きました。
トラックAの最初のご講演はScrum Inc Japan様です。
私はこのご講演の内容は、遠藤さんのご講演でお話されていた「組織風土の変革」(対内的な変革)と理解しました。
では、組織風土の変革は具体的にどうすれば良いのでしょうか?
Scrum Inc Japan様は具体的な方法として、コッター先生の「変革の8ステップ」をご紹介され、それぞれのステップの勘所を事例をもとにご紹介されました。
豊富な事例で具体的に勘所を紹介できるのは、多くの現場を下支えてこられたScrum Inc Japan様ならではだと思いました。
特にSTEP4の"実行時の注意点"として、『リーダーからのコマンド&コントロールにならない事』というのは、旧態依然の組織から現場主導の組織に変わる勘所だと思いました。
STEP5以降はScurm@Scaleをベースに、まさに組織変革をいかに定着させ、継続させるかの勘所をご紹介頂きました。
本当に参考になる事例をたくさんご紹介頂いたのですが、お名前を出せないのでブログでは書ききれないのが口惜しいです。
対内的な変革としてとても参考になるご講演を頂きました。
Scrum Inc Japanのみなさん、どうもありがとうございました。
パチパチパチパチ。
DXの推進と政策展開における「アジャイル×経営」の重要性
経済産業省 和泉 憲明 様
続いては経産省の和泉さんのご講演です。
和泉さんのご講演は「対外的」にどんな価値を世に提供するのか、そのためには「対内的」な変革としてどうあるべきなのかをお教え頂いたと僕は理解しました。
和泉さんの主張は一貫していて「デジタイゼーションではなくデジタライゼーションしようぜ!」という事だと理解しました。
一見交わりが無いような「アジャイル」と「経営」という言葉。
しかし大事なのは経営者と技術者が連携することであり、BetterではなくDifferentをいかに作るかだとおっしゃっていました。
RPAだのIoTだの言っても、これまでやってきた仕事をオートメーションするだけでは世界(グローバル)と戦えない。
いかにワークフローや人の生活を変えるかがポイントだ!という事でした。
この辺りのお話は、下記のレポートでも記載されているのでご参考までに。
https://www.meti.go.jp/press/2021/08/20210831005/20210831005-1.pdf
特に「明治維新に何を学んだのか!?」というお言葉が、坂本竜馬みたいですごく格好良く感じました。
対外的な価値提供の方向性と、それに伴う対内的な変革として組織の在り方について、とても参考になるご講演を頂きました。
和泉さん、どうもありがとうございました。
パチパチパチパチ。
ユーザ企業との共創・共育を目指す新しい受託開発への挑戦 永和システムマネジメント様
平鍋 健児 様、岡島 幸男 様
続いては永和さんから平鍋さんと岡島さんにご登壇頂き、開発会社が薦める事業会社のDXについてご紹介頂きました。
ここまでのご講演は、”事業会社”がいかに変革するべきかについてのお話しでした。
一方で事業会社の変革に対して開発会社はどのような立ち位置でサービスを提供するのかについて、永和さんの活動と事例をご紹介頂きました。
永和さんはこれまでの受託開発を通して開発会社の壁を感じられたとの事でした。
どんな壁かと言うと、そもそも要求の出所や背景が分からなければ、せっかく開発しても無駄になる可能性があるという壁でした。
そこで、要求を考える所から一緒にやりましょう!というモチベーションで共創という活動をスタートされたとのことでした。
そして、要求だけではなく開発も一緒にする事で、お客様の内製化、DXを支援する活動になっていったようです。
岡島さんからAgile Studio Fukuiでお客様と混合のスクラムチームを作り、それがうまく機能した共創、共育の事例をご紹介頂きました。
永和さんは、事業会社と開発会社の共創、共育の日本の先駆け的な存在かと思います。
そこで、ご講演の最後に僕から「このような共創、共育がうまくいく秘訣は何か?」という質問をさせて頂きました。
ご回答として、平鍋さん、岡島さんともに、マネージャーレベルを始め人と人とが目的や方向性についてしっかり話し、思いを共にする事だとおっしゃっていました。
私がむかしっから知っている永和さんの文化、平鍋さん、岡島さんのお考えが健在だという事をすごく感じました。
ソフトウェアは人が作るものなんですね!
一緒に働くチームは、まずは人となりを知らないとですね!!
心にしみるとても良い事例紹介でした!
平鍋さん、岡島さん、ありがとうございました!
パチパチパチパチ
ちなみに、平鍋さん、岡島さんを「様」を付けてご紹介させて頂く日が来るとは思いもしませんでした(笑)
コープさっぽろの事業構造改革と俊敏なる組織づくり 大見 英明 様
生活協同組合コープさっぽろ
理事長 大見 英明 様
トラックAの最後のご講演は、コープさっぽろの大見様による事例紹介でした。
大見さんからは、こんなに赤裸々に内情をご共有頂いて良いのだろうか?と思うほど、生々しい事例紹介を頂きました。
まずコープさっぽろ様の経営が本当にどん底になってしまった所からお話は始まります。
そして、苦渋の決断でリストラをされた事に繋がります。
この時の経営方針として全従業員への「危機感の共有」というのがあったようです。
その時に社内で言われていたのが「残るも地獄、去るも地獄」とのこと。。。
残っても、お給料のカットもあったとの事でした。
緊張感が伝わってきます。。。
そんな時代を経たコープさっぽろ様に残られた従業員は、会社の再建に大きな決意をもった方が多かったとの事でした。
そこで「自分の組織は自分達で再建する」という、現場が経営状況を自分事として受け入れ、自己組織化して再建にとりくむ風土を醸成される策を導入されたとのこと。
例えば、2軍落ち制度や降格人事の採用といった厳しいものから、優秀なパートさんを正規雇用にする仕組みなどの抜擢人事など。
特に「人は給与だけではなく、役割や責任がモチベーションに繋がる」というお言葉が印象的でした。
もちろん従業員だけに厳しい責任を負わせるのではなく、会長自らも覚悟を示されたとの事でした。
(ブログでは控えますが、かなりの覚悟を行動で示されたようです)
これらの背景として、2つの風土改革の方針があったようです。
「改革自己責任を貫徹する組織へ」
「自立、主体」
そして、それを実践するために3つの共有をされていたとの事でした。
気付きメモ
成功事例集
仕事改革発表会
このようにして、全員が日常的に業務改善を推進する仕組みを構築されました。
まさに『透明性』『検査』『適応』ですね!
私の古巣のチェンジビジョンのコンセプトであった『Seeing is Understanding』ですね!
この業務改善の仕組みには当然データが活用され、今に繋がるデータに基づく分析、実証的提案力が培われたとの事です。
現在のコープさっぽろ様では、このようなデータ活用に現在のデジタルツールを活用され、SDGsにもチャレンジされているとのことでした。
経営的にも世の中からの信頼的にも本当に窮地にあった状態から、北海道を支える、日本を支える企業にまで再建されたのは、本当にすごいと思いました。
その背景には、トップから現場までが経営の状況や危機感を自分事としてとらえる風土が重要性である事がよくわかりました。
そして、全員が少しでも良くするにはどうすればよいかという改善を日常的に進められたことが成果につながったのだと思いました。
何よりも、全員が覚悟を持って進めれたからこそ成し得たという事がすごくよくわかる事例でした。
経営難のころにいらした従業員から現在の従業員には世代交代をされているのではないかと思うのですが、組織の文化として根付いているのがすごいと思いました。
こんなに赤裸々にお話しくださった大見様に感謝いたします。
どうもありがとうございました!
パチパチパチパチ
最後に
殴り書きではありますが「アジャイル経営カンファレンス」の基調講演とトラックAに絞って書き留めてみました。
「空白の30年」と言われるように日本は欧米から30年遅れいている言われます。
僕が働きだして20年ちょいなので、その時には既に遅れていたことになります。
しかし、今回ご登壇頂いた皆様のお話を聞く限り、まだまだこっから盛!という気持ちになりました。
僭越ですが我々実行委員としても、日本の再起を担う経営層の皆様が、共に発展できる場を継続的にご提供できればと考えております。
ぜひ、今後ともよろしくお願い致します!
最後になりましたが、今回ご登壇頂いた皆様、スポンサーをお引き受けくださった各社様、運営スタッフの皆様、そして何より、本会にご参加くださった皆様に心から御礼申し上げます。
長いブログでしたが、
最後まで読んで頂きありがとうございました!