漆器の魅力を広めたい!~人気作家「やのさちこ」さんの絵付け体験と越前漆器展示会を開催~伝統と現代の融合
こんにちは。地域の魅力を発掘・PRするお仕事をしている、カンケイ商店の中村です。
突然ですが、あなたは普段使いのお皿に「漆器」って使われていますか?
もし「漆器使ってます!」という方がいたら、是非この記事を深く読んでいっていただけたら嬉しいです。
「まだ漆器使ったことがない」という方も、その魅力が少しでも伝わるように、私たちこんな活動しているんですよ。的な読み物としてお読みいただけたら何よりです。
それではどうぞ。
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去る9月15日、福井県大野市にある弊社運営の施設カンケイ商店にて、人気漆芸作家 やのさちこ さんをお招きしての絵付け体験会と、越前漆器の合同展示会を開催しました。
福井県は、鯖江市の河和田地区に代表されるように、日本の伝統工芸品である越前漆器の産地として知られています。
1500年以上の歴史を誇る日本の漆器は、今もなお、多くの職人たちがその技を磨き、美しい作品を生み出し続けていますが、日本における課題・・・人口減少や高齢化の波はこの産業にも及んでおり、かつての隆盛を見ることは難しくなっています。
一方で、インターネット等を通じた現代の情報インフラを活かせば、この価値を今まで以上に世界に伝えられる可能性もあるはず・・・
そんな思いから、地元大野発の漆器の魅力を世界に発信し、その価値を再認識していただくため、今回このイベントを企画いたしました。
今回は、その様子をレポートしたいと思います。
①人気漆芸作家 やのさちこさんの絵付け体験
この日の企画の柱は2つで、1つ目がやのさんの手ほどきを受けながら、豆皿を2枚描くという企画。
やのさんといえば、動物や草花をモチーフにした作品が有名ですが、
1枚目の豆皿には、虎の下絵に黒漆で線や目を入れていき、
2枚目は、いろんな下絵からお好みのものをチョイスして、自由に描きましょう!という進め方を。
こんな感じで、虎に線を引いていくのですが、簡単そうで難しく・人それぞれ個性が出ます。
失敗しても大丈夫。やのさんがきれいに手直しもしてくれます。
蒔絵用の筆を使って(漆のモタっとした感じを扱うのがこれまた難しい…)
お手本を見ながら・・・
時にはみんなで経過を見せ合って。
それぞれに個性やカラーの出る、オリジナルの豆皿が完成!(その場で持って帰れます)
今回は、主に地元の方々を中心にお声がけして参加いただきましたが、このイベントの噂を聞き付けた方の中には、石川県、長野県、遠くは山口県からもお越しいただいた方も!
皆さん、熱心に体験を楽しんでいらっしゃいました。
など、うれしい声もたくさん頂けました。
②やのさちこさんと越前漆器の展示会
イベントのもう一つの柱が、同じ会場の別エリア(畳スペース)で開催したやのさんの作品と越前漆器のコラボレーション風展示会。
「漆器って、こんな風に作るんですよ」的な流れを実物で展示したり、
スイーツコーナー的な展示をしたり
日常の風景・食卓をモチーフにした展示をしたり
職人さんに「俺が死ぬまで売りたくない」と言わしめた、最高傑作を展示したり
鹿の皮を張った器や、
昔の人が食事で使っていた台をリメイク(と言っていいのか?)した作品など、非常に豪華な展示です。
な、なんと…木地師、塗師さんも遊びに来てくださり、
ついでに(と言っていいのか?)見学に来られた方にも進んで見どころを説明していただけたりと・・・笑!
最後の方は説明する側も・聞く側もテンションが上がって会場は熱気でムンムンに笑!
普段はその製作工程が表に出ることはほとんどありませんが、今回のイベントを通じてどんな人が・どんな想いで・どれほどの時間をかけて作品に向き合っているか / 使い手やファンの方は、何を・どんなところを魅力に感じているのかが互いに交換できる貴重な機会にもなったのではないかと思います。
木地職人 笹島漆器工芸さんの感想
今回のイベントに多大な協力をいただいた笹島漆器工芸さんにも感想を伺いました。
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大野で漆器のイベントが開催できたことは、何よりも喜ばしいことです。いきなり大きな仕掛けはできませんが、おかげさまでまず第一歩として、私が当初想定していた以上の形にすることができました。
実は、大野には高い精度で木地を挽く技術があること。また、国内でも指折りの優れた職人さん・作家さんから評価をいただき一緒にお仕事をしていることが、少しでも伝わったらこれほどうれしいことはありません。
今回のイベントで特に好評だった絵付け体験は、女性の参加者はもちろん、男性からもうれしい感想をいただき、体験することの価値を再認識しています。
普段私たちは「つくる」が仕事の中心ですが、「伝える」ことも今後様々な形で継続していき、大野発の漆器の素晴らしさを広めていきたいと考えています。
まとめ
振り返ってみれば、わかる人には分かる豪華すぎる布陣が展開されたイベントとなりました。
想像を超える熱量がこの場で生まれていましたが、やはり、どんな形であれ続けていくこと・活動やエネルギーが循環していくこと…
そしていずれは「普段使いの器に…」と漆器を実用いただき、暮らしに溶け込んでいくことが大事だと感じています。
今回は、漆器の魅力を「伝える」1つの切り口としてイベントの構想・企画・運営・発信をお手伝いさせていただきました。
第2弾の企画はまた違った切り口のものを予定しています。今後もさまざまな活動を通じて、日本の伝統文化がより身近なものとなり、皆様の日常生活に溶け込んでいくこと、必要とする方にこの魅力が届けられることを願っています。
参考リンク
越前漆器、その誕生と1500年の伝統/越前漆器協同組合
笹島漆器工芸さんのInstagram
やのさちこさんのInstagram