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ちび太またね


おすましちび太。ちょっとイカ耳。

2021年10月生まれ
サイベリアンフォレストキャット、長毛で茶白の雄猫。6.5kg。
生まれつき右手の骨が1本少なくて曲がっている。いつもちょっとぽやーんとしてる割にはやや神経質。ビビリーで人見知り。
甘えたいとき、控えめに足元にスリッと顔を擦り付けてくる。撫でてほしいときはこっちを見ながらゴロンと転がる。家族が寝た0時半におもちゃを咥えながら「ニ゛ャオン(遊んで)」と大きく鳴く。寝るときはおとーちゃんの枕元からちょっと離れた衣装ケースの上に陣取る。
ベッドから手を伸ばすと顔を擦り付けてゴロゴロする。小さい頃から使ってる爪とぎの上で、はみでながら寝る。カリカリを食べて飽きてくると、こっちに来て「鰹節がないんですけど?」と控えめに要求してくる。
2024年2月没。享年2歳5ヶ月。

いつもの寝床。おマヌケなポーズと顔。

◯ 好きなもの
まるみ姉ちゃん、人間の髪の毛、家具の角っこ、ねずみ尻尾おもちゃ、小さい掃除用ブラシ、レーザーポインター、ダンボール、鰹節、ちゅーる、魚系の生餌
✕ 嫌いなもの
だっこ、ブラッシング、手足を拭かれること、シャワー、宅配便のピンポン

まるみとちび太

2024年2月26日5時13分頃、隣でズシンという音がした。
暗闇の中でちび太が倒れている。飛び起きて「ちび太、大丈夫か」叫んでマッサージをしていていると、妻も起きてきた。じきに息が止まってしまった。
「ちび太頑張れ!」パニックになりながらマッサージを続け、妻がかかりつけ医に夜間緊急電話をかけ、すぐにケージに入れて家を飛び出した。ケージに入れて運んでいるとき、生き物を運んでる感じがしなかった。車の中で泣きながらちび太に呼びかけ続けた。ちび太がソワソワするご飯のときの呼び声。
病院に到着すると、先生も看護師さんも来てくれていた。急いでぐったりしたちび太を見せる。脈や瞳孔を見てくれた後、「もう死んでしまっています」と一言。
だめだった。猫の突然死というしかないとのこと。その病院でも数年に1回あるかないかくらい。話に聞いたことはあったけど、まさかうちのこがね。

お気に入りのハンモックの上でパッカーン

お礼を言って病院を出ると夜が明けて空が白み始め、きれいな晴天だった。家に連れて帰ると6時過ぎ。カリカリがタイマーで出ていたが、まるみはいつもと違って様子を伺って食べずにいた。と思ったら、ちび太のカリカリを少し盗み食いしていた。
ちび太を居間に寝かせる。まだ温かくて柔らかくて、寝ているみたいだった。妻が撫でながら「ちび太かわいいね、うちのこかわいいね」と呟いた。
まるみも様子を見にくるが、ちび太を見てシャーと怒る。何かいつもと違うとわかるのだろう。ずっと遠巻きに様子をみていた。
そのまま9時のカリカリが出てくるまでちび太を撫でながら泣いた。

猫用監視カメラにちび太の最後の行動が残っていた。いつも通り5時過ぎに僕の枕元の衣装ケース上で起きて、いつも通りゆっくりベッドを伝ってトコトコ床まで降りていったところで、急に立ち止まった後フラッと倒れてしまっていた。本当に最後の最後までいつも通りの姿だった。多分本ニャンも何が起こったのかわからんちんだったと思う。ぽやーんとして、最期までちび太らしかった。
でも、おとーちゃんになんか気分がちょっとねと教えてくれて、おとーちゃんとおかーちゃんの手の中で看取らせてくれて、親孝行だったよ。外出して帰ったら倒れてたとかだったら、もっと悔しかっただろう。
うちのこになってちょうど2年3ヶ月、家の中を駆け足で走り抜けていってしまった。ここがお前の寿命だったんだね。
でもあと10年は一緒にいたかった。

ダンボールマンション

少し落ち着いたのでペット霊園に火葬の電話したとき、途中で泣いてしまって声が出なくなったのに自分でびっくり。段取りがついてもうやることがないので、10時過ぎにフレックス仕事に行くことする。いつもと同じ月曜日だったはずなのに、同じじゃない。仕事中も人と話してない時には涙が止まらなかった。花粉症が酷くなってきた季節で良かった。
あまりに悲しいお知らせなので、ちび太が好きだった人へのお知らせは夜にすることにする。唯一、下の弟がちび太可愛がりだったし、割と近くに住んでいるので最後のお別れをしたいかなと連絡。お通夜にきてくれるとのこと。最初、LINEの文面の意味がわからなかったらしい。

帰宅してから、お通夜のため動物病院でもらったダンボールの棺を準備する。お花と好きだったものを持たせる。ちゅーる、おもちゃ、いなばの生餌。最近これが好きっていうから、島忠からたくさん買ってきたのに。
お通夜にはちび太の写真を印刷して持ってきてくれて思い出話。夫婦二人だけだと悲しすぎてちび太の昔の話が止まってしまうので、ありがたかった。
ふと流していたBGMがBill Watrousの"Unforgettable"だった。妻は、「ちび太はちゃんと私達のことを覚えてるかな。ぽやーんとしているから忘れそう」と泣き笑いながら言っていた。

夜は、ちび太がうちに来た日のように、リビングで布団を敷いて家族みんなで寝る。まるは、今日はここで寝るん?とウロウロ。僕は全然寝られなかったけど、夜中にウトウトしているときに布団の上をちび太が歩いていた気がした。実際にまるみが乗ってきて重いときもあった。

子猫のときの雑魚寝ちび太

翌朝、朝食中に流した大豆田とわ子の"All the Same"で涙する。グレッチェン・パーラトの声がなぜか悲しい。
https://www.youtube.com/watch?v=u92cGdAna8Y

9:20にお葬式。ペット霊園で火葬。毛皮はお空に返してあげよう。いつまでもうちのこだからね、いつでも帰っておいでねと言って送り出した。

ちび太との思い出

2021年12月に伊豆大島マラソンに出場。伊豆大島でふと譲渡会の情報を見てると、サイベリアンの子猫が出ていた。右手が生まれつき曲がっているらしい。とりあえず見に行ってみる?と伊豆大島から連絡した。

2021年12月18日。初めて譲渡会で会ったときのちび太

ちっちゃい!おちびちゃんだね!と、すぐちび太になってしまった。後から名前を考え直したけど、結局第一印象のちび太に。ちびと名付けられた猫は大きくなると聞いたので願掛けも込めて。


2021年12月26日うちのこ記念日。パヤ毛がパヤパヤしてる。

まるみは遊び相手が増えて嬉しいかと思いきや、「こんなクリスマスプレゼント聞いてないニャー」という感じ。

まる姉ちゃんからシャーの洗礼を受けるちび太。
膝上で寝ちゃう。ゴロゴロ音が大きかった。
ずっと大好きだった爪とぎ。
大きくなってもはみでながら乗る
ちび太がガウガウしなければまるみも近くを許す
ダンボール大好き。自分がまだ小さいと思ってる
ご飯待ち猫渋滞。尻尾もふさふさになりました。

見送ってから数日、家の中でたまにちび太の気配がする。妻によると、まるみには見えているとのこと。それを聞いて、「まるみ、今ちびぶーどこにいる?」と聞いたら、僕の部屋のベッドの裏に連れて行ってくれて、ベッドの裏に入ろうとしたら急にUターンして戻ってきた。いつもちびがそこにいるとまるみは嫌がって入らないので、本当にちびがいたらしい。
あと、カリカリを食べてると、ちび太がカリカリを食べてた廊下の方で"カタン"とお皿がなる音がして、まるみが見に行った。ご飯食べに来たに違いない!

不思議なもので、一緒にいた頃はいたずらも多く、決して「良い猫」ではなく、小憎らしいこともあった。でも、いなくなってしまってからはかわいいとしか思えない。うちのこは世界一かわいい。こんなに自分がちび太のことを好きだったのかと今更気づいた。
うちのこだった2年3ヶ月。おかーちゃんは在宅勤務でいつも近くにいて、まるみ姉ちゃんもガウガウするけどいつも一緒にご飯をたべて、昼はおかーちゃんと一緒なので夜はおとーちゃんの近くで寝てやるかと枕元の衣装ケースの上で寝ていた。一緒の布団に持ってくると、「それはちょっと」といつも戻っていった。その割には手をのばすとゴロゴロする。ベタベタするのは好きじゃないけど、50cmの距離からの不器用な愛嬌は感じていたよ。

枕元の衣装ケースの上で寝るちび太

まるみは平常運転。茶色いでかいやつ最近見ないニャと思っているのか。おとーちゃんおかーちゃんが悲しんでいるのはわかっていると感じる。
あらためてまるみをみていると実感するが、猫は今を生きる。今食べすぎると太るとか、何回も落ちた窓枠に乗ったら次もまた落ちちゃうなんてことより、今やりたい気持ちが一番大切。
過去や未来を過剰に気にする人間のことをどう見ているのだろう。
鬼滅の刃のエピローグで「幸せは長さではない」という言葉があった。今はもうちび太の幸せの深さを知る術はないが、僕の思い出の中のちび太は、いつも手を伸ばすと喉を鳴らしてゴロゴロして手を舐めてたり、まるみ姉ちゃんに飛びかかっていったり、ちゅーるをガツガツ噛みついて食べたり、こうやってパソコンで文章を書いていたら足に顔を擦り寄せてきているのである。

2024年2月25日。最後に撮った写真。お前イケニャンだな。

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