かるーい気持ちで机を作った話【エッセイ】
9年振りにPCを買い替えることにした。すると欲が湧いてきた。PC性能を上げたいのはもちろんのことだけれども、どうせなら大きめの液晶モニタを並べてデュアル画面仕様にしたい。
そうなると「机周りの環境を整えなければならないなぁ。今の作業机では狭くて、とてもじゃないけど全て乗らないからね」と思案することになり…
結果として自ら机を作るべく、木材から調達することになった。
論理の飛躍がちょっと可笑しい様に思われるかもしれないが、なんてことは無い。私の思考回路ではこの手の解答によく辿りつく。悪い癖ではあるね。
自作は手間なので避けたかったが、どうも手頃なサイズ感と頑丈さ、お値打ち感の三拍子が揃わなかったのだ。
家具屋さんでは格好の良い机は最低でも5万円くらい出さないと手に入らない。気が付けば10万円を超えてくるのなんてザラだ。
その点、ホームセンターなら1万円もあればそれなりの材料が手に入るし、ある程度は好きなサイズにカットしてもらえる。これは使わない手はない。
とまあ貧乏根性丸出しで私はDIYにのぞむことにしたのだ。
そのままホームセンターに向かう。
W1500mm×D500mmの天板(厚さ25mm)×1枚
脚用の(ツーバイフォー)木材(長さ700mm)×4本
棚受け用の(ツーバイスリー)木材(長さ480mm)×4本
渡しの(ワンバイフォー)板(長さ1200mm)×4枚
上記の材料を手に入れた。本当にホームセンターは偉大だ。
あとはかるーく組立てちゃえば良いのよ。
そう思い、早速ビスやらで組立てようとしたその時、突然DIYの神様が舞い降りてきて、おもむろにハンマーで私の頭をどついてきた。
神様とはいえ危険な行為である。
神様:「ちょいちょい!この天板の角を見てみぃ。どう思う?」
私:「とがってて痛そうです。」
神様:「そうだろう。そのまま何も下処理をせずに進めるつもりか?」
神様の言葉は偉大である。
ああ、面取りはしないと駄目だろうなということになり、丸みを帯びさせる加工をすることにした。R(アール)加工というやつだ。
私は物置から電動トリマーを取り出してきた。
別に犬の毛をカットしたいわけじゃない。
上の画像を見てもらえれば分かると思うが、この超硬ビットの曲面で板の角を削り取るのである。
神様「天板だけでいいのか?」
いえ、脚もやりますよ。なんだったら棚受けも、渡しの板もすべて、丸く加工しますよ。ついでだからね。ああ、これだけの量になると木屑や粉じんがすごくなりそうだな。
大事になりそうなので防塵マスクとイヤーマフとゴーグルを用意。肺と耳と目をまもることは絶対だからだ。
ああ、本格的になってきたな。やだなー。面倒くさいなー。
神様「つべこべ言うな!」
はいよ!
やりますから、神様は黙っててください。
神様「神様に向かって黙っててくださいはないだろう。罰として木材に溝を彫っておくこと。分かったな?」
私「溝?何のために…」
神様「木組みする為に決まってるだろ!」
まじかよ。
やりますよ。
丸のこで木材に櫛状の切り込みを入れて、その後ノミでさらう。
すると
このようになる。溝は1mmでも狭ければ入らないし、1mmでも広ければガタガタになる。この作業には緻密な計算と正確無比な動作が必要不可欠だ。
面倒くさい作業ではあるが、結果的に頑丈にあるし、釘やビス、固定金具も少なくて済む。組み上げるのも楽にはなる。
部屋中が木屑だらけになるが、やる価値はある。
さて、色でも塗るか。
ウォルナット調でいいだろう。
ここで忘れてはいけないのが、表面のやすり掛けだ。
特に天板の表面はつるつるになるまで磨いた方が良い。でないと色が綺麗に乗らないし、なにより毛羽だった表面だと、後々ホコリに悩まされることになるからだ。紙やすり番号は#120から始めて#240、#400で研磨、#800を超えるころから光沢が出る。(番号が上がれば上がるほどきめ細やかになる)
今回は#400でやめておいた。
(しっかりと綺麗に磨いておくと、掃除の時にひと拭きでホコリも取れるようになるよ。)
養生シートを敷いて、その上で塗料をぬりぬりする。この時に木屑や粉じんが付いてしまうと台無しなので、事前に綺麗に掃除することを忘れないこと。これが重要だ。
さあ、マスキングテープで印をつけて、
脚に棚受けをつける。
そして、この棚受けに先ほどの溝をつけた渡し板をはめる。
ピタッとハマったところで起こす。
結構しっかり立ってくれている。
神様、やったよ。もう八割完成したも同じだよ。
神様「いや。まだ、横からの力に弱いやろ。筋交いを入れろや。」
はい。ラジャー。
このバッテンをいれればいいんやろ…
長さや角度は、まあ、三角関数とか使って適当に割り出すよ。
よし!ガシッとした。
さて、天板を置いて、
固定する前にひとまず水平をチェックしなければならないな。水平器をポンと置く。
気泡が線の枠内に収まっていればOKだ。
OK。水平も垂直もしっかりと出ている。
これなら大丈夫そうだ。
天板固定は金具を使おうか。
節を避けつつ、ビス止め。
これで形になった。
後は棚受けに板を渡すだけだ。
懐(ふところ)と足元に収納棚を作る。
よし!
完成だ。
ああ、疲れた。
でも、神様、DIYの神様。 …やったよ。
ついに完成したよ。
光がみえる。
神様「よくやった。褒めてつかわす。しかし、まだやることあるやろ?今から一息ついたらPCのセッティングをせんとアカンな。」
…鬼かよ。
軽い気持ちで始めたはずが、気が付けば引き返せないほどの深みにはまる。
それがDIYの世界である。
おかげさまでいい感じになったよ。
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