大峰山脈の最高峰「八経ヶ岳(1915m)」に登る_2024-08-17
奈良県下市町から国道309号線を南に下り、長いトンネルを抜けると天川村へとたどり着く。ここは温泉で有名な山間の村であるが、かねてより大峰山脈の最高峰である八経ヶ岳に登りたい気持ちがあり、土曜の夜明け前に思い切って自宅を出発した。
天川村役場近くの登山口から登るルートもあるが、こちらはロングコースであり基本宿泊前提になるので、今回は日帰りで決行できる最も距離の短い行者還トンネル西にある弥山(みせん)登山口からのぞむことにした。
国道309号線も天川村の川沿いをはしる頃には車道の幅も狭くなり、場所によっては対向できない箇所が増えていき、携帯電話の電波も入らない道を運転することになった。
駐車場は有料のものがあり、けっこう広く充実していた。標高はすでに1000mあり、猛暑日が続く街中と違い薄着姿だとひんやりと肌寒いほどの気温であった。あたりは霧に覆われており8時にしては薄暗く感じた。
登山届のボックスが設置されている小径を抜け木の橋を渡ると本格的な登山道になる。
舗装整備された道は存在しない。ところどころ木に巻き付けてあるピンクのリボンを目印にしばらくは進んでいく。写真では分かりづらいが開始から2時間くらいの標高1600m地点までは急登が続く。
歩くよりもよじ登ると表現する方が的確な道が続くが、脇を見ると苔がむしており美しい光景が広がっている。
聖宝の宿跡に鎮座する理源⼤師の像がみえるとそこは標高1600m。まだ二時間くらいの登山であるがいつもよりも疲労が速く感じられた。試しに気圧を測ると840haだった。高山ではないが平地よりもきっときつい環境なのだろう。
視界はひらけないが稜線に出たのだろう途端に歩きやすくなった。ここから標高1895mの弥山を目指す。そこには山小屋があり休息できるスポットがあるそうだ。
しばらくはなだらかな森の道が続く。ときおり霧が発生し、幻想的な景色になる。冷気が身体をまわりを通り抜けていくような心地良さだ。脚の筋肉は怠くいつもの調子では進めないが心は軽やかになった。
かなり長い木の階段をのぼり、枯木が増えてくると、山頂がちかい印。道中の霧も晴れ、立派な弥山小屋が目に飛び込んできた。これで一安心だ。ここで持参した昼食を食べた。
弥山小屋から南の方角をながめるとそこには八経ヶ岳が見える。まだ遠くに感じるが稜線でつながっているので片道30分ほどであの山頂に立つことができる。
ところで、こうして弥山の山頂から周りの山を見渡すとそこかしこから霧が立ち上がって雲になっていく様子が見てとれる。これは風が山を登る過程で空気中の水蒸気が冷やされ自然発生するそうだ。そして、今さらながらあの霧の中を登ってきたのだと感動した。
晴れの間に八経ヶ岳まで歩こうと足を進めた。
山頂に突き刺さった錫杖が見えた。
あぁ、ついに登ったのだ。
大峰山脈の最高峰である八経ヶ岳(1915m)。
吉野から熊野までに至る、役行者が8世紀初めに開いたとされる修験者の古道「大峯奥駈道」の第51靡。
日本に24座あるウルトラ・プロミネント峰の内の一つ。
今回のルートはYamapに記録してあるのでリンクを貼付しておく。