マリアージュ (No.1)
「あーん?」君は間抜けな顔でそう言った。
ごめん、苦手なんだ。
濁す僕に君は不服そうだった。
「甘くて美味しいのに…」
ごめん、その甘いのが苦手なんだ。
女の子はどうしてあんな甘い物が好きなんだろう。
僕には皆目理解出来ない。
舌に纏わり付くなっとりとしたテクスチャー、
口に広がる人工甘味料の匂い、
終いには喉が鈍麻させられるような不快感。
頭が痛くなる。
未だ不貞腐れた君は、大きい苺を口に押し込めた。
おいおい、口の横にクリームが付いてんぞ。
何処ぞのドラマと同じシチュエーションだよっと突っ込みたくなった。
遠慮なく見る僕に君は「ん?食べたかった?」
もお。首なんか傾げんなって。
糖は依存性の物質というけど、僕にとって糖は君そのものだ。
甘ったるくて、纏わり付いて離してくれない。
なっとりしてて、感覚が鈍麻される。
頭が痛くなる…
目を閉じて思索にふけた。
あゝ、君とケーキは似ているかも。
純白な純真、美しい色の唇、フワフワした心慮。
そして僕の血糖値を上げるのは甘ったるい声色、
無性に欲する酸味は不貞腐れた君の目、
首を傾げた君の周りにはバニラの花が見えた気がした。
そうか…うん。わかった。受容しよう。
夢から覚めたように君を見ると、最後の一口を抑えきれない笑みで口に運ぼうとしていた。
破れかぶれに僕はそれを奪った。
「あーーー!!!最後の一口ぃ…」
口の中で甘味が広がっていく。
ゆったりと、
じんわりと、
徐々に侵されていく。
やっぱり苦手だ。あめぇ…
君は潤んだ瞳で睨んでくるけど、ビックリする程怖くないんだよな。
でもその顔を見ていると、口中に広がった不快感が恍惚感に変わっていった。
ねぇ、まだ口の横に付いてる。
手を伸ばし指で掬い上げた。
その指を舐めると、どんどん君の顔が熟れ過ぎた苺みたいになっていく。
「食べたいなら言ってよ」
君は詰まりながらも弱々しく吐き出した。
それを聞いた僕は、身体の奥から溶け出したクリームのようなものが拡がるのを感じた。
だからさ、
「おかわり」
「やっぱ好きなんじゃん!」
違うよ。
食べたいのは、甘すぎるケーキなんだ。
皆様、初めまして
仲 と申します
ここまで読んでくださって誠に有難う御座いました
とても嬉しく思います
語彙・言語能力の魅力を知って、言葉と真正面から向き合って、1週間。
まだまだ勉強不足の童です
"上手くなりたいから書き綴ろう"、その事からこのnoteを始めさせて頂いた次第で御座います
その第1作目
【マリアージュ】
いかがだったでしょうか。
イメージを崩したくないので、いらん説明などは端折ります()
自身のInstagramで募集したテーマを元にショートを作られていただきました
テーマは、甘すぎるケーキ です!(伝わったらいいな。)
嬉しい事にテーマを400程いただいたので、しばらくテーマに困る事はなさそう。あとは自分の言語化と想像力次第。
ゆったりたっぷりのんびり、綴ろうと思います♨️
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次回は自分の事でも話そうかしら
では、またお会いしましょう
アデュー
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