冷やしホルモンはじめました。〜青唐辛子のシビ辛酢もつ〜
冷やしホルモンはじめました。
中華料理店で見かける夏の風物詩「冷やし中華はじめました」風につぶやいてみたが、煮る・焼くが定番のホルモンに「冷やし」などあるのだろうか?
いや、あったぞ!「冷やしホルモン」が!
とあるホルモン店の「酢もつ」。
豚の「コブクロ」をゆでて薄くスライスしたもので、ポン酢で和えて、ネギがたっぷりかかっている。ホルモンの焼き物が来る前に、これで軽く一杯やる。
ちょうどいい冷菜だ。
いつも自宅焼肉の際にコブクロを買うが、安くて大量に入っているので、どうしても余ってしまう。冷凍して保存もできるが、せっかくなら新鮮なうちに使いたい。そこで、この「酢もつ」をつくることにした。
青唐辛子のシビ辛酢もつ
<材料>豚子袋(モト)
使うのは、豚子袋の「モト」「カタ」と呼ばれる部位。
焼肉でコブクロと言えば、クルンとした卵管の細い部分(通称「ホソ」)がおなじみだが、これは、卵管につながる1本の太い部分。子宮頸部あたりの部分のこと。
少し硬いので、焼肉のときは食べやすいように、隠し包丁を細かく入れるが、ゆでて薄切りにする「酢もつ」にはピッタリの肉だ。
私は「ホソ」より「モト」のほうが好きで、よくこの肉を買う。
軟骨のような、コリコリ、ザクザクした食感で、ごま油と岩塩でシンプルに焼くだけでも最高だ。全ホルモン好きに布教したい、めずらしくて、大好きな部位!
コブクロをゆでて、薄く切る
さっそくコブクロをゆでていこう。
中まで火が通る10分が目安だ。
少し強めの塩で、しっかりとアクを取りながらゆでよう。
粗熱が取れたら、薄切りにする。
ちょっと硬い部位なので、できるだけ薄く切ることがポイント。
これに味付けをしていこう。
<味付け>「青唐辛子」と「山椒」がポイント
まずは「青唐辛子」を細かく切って投入。
ここに「ポン酢(小さじ2)」と「お酢(小さじ3)」を投入。「酢もつ」なので、酸っぱいほうがサッパリしておいしい。
さらに「山椒」をたっぷり振って和える。
中国原産の「花椒」ではなく、日本原産の「山椒」を使うのがポイント。
山椒のほうが辛くなりすぎず、良い香りが出せる。
これで、香り高いシビ辛に仕上げよう。
山椒を入れる前と後で、味が劇的に変化する。
モツ臭さが消えて、上品な味に仕上がるのだ。
「山椒」は香りが良く、青唐辛子にもよく合う。
私はフライパンでホルモンを調理するとき、青唐辛子と一緒に焼いて、塩と山椒を振って食べることが多い。深掘りすれば、山椒が青唐辛子に合う理由がありそうな気さえする。
うんちくを語る前に、味付けしたコブクロを冷蔵庫に入れて冷やしておこう。
ホルモンは青唐辛子と相性がいい
とある有名ホルモン店では「青唐辛子」がよく登場する。
ホルモンのルーツを探っていたら『昔、過酷な肉体労働者が、マッコリをガブ飲みしながら、セッキフェ(豚の胎児の生食)で、英気を養っていた』という話を聞いた。「生肉は、強い酒や唐辛子など、滅菌力の高いものと一緒に食べると良い」らしい。
生のコブクロを食べていた昔話から、今回はコブクロの「酢もつ」にも、青唐辛子を採用してみた。きっと王道の組み合わせに違いない。
この店では、ホルモンを食べるときにも、青唐辛子が入ったお酢が出てくる。脂っこいホルモンも、さっぱり食べられてウマイ。
さらに、チューハイに青唐辛子を刺したお酒まである。唇がピリピリするほど辛いけど、スッキリしてウマイ。脂っこい肉で胃がもたれそうになったときの強い味方。私にとって、青唐辛子は欠かせない存在だ。
青唐辛子は冷凍して常備できる
青唐辛子は、新聞紙に包んでジップロックで冷凍すれば、いつまでも辛さがフレッシュな状態でキープできる。これで好きなときに、いつでも青唐辛子が使える。
私は、ホルモンを常食しているだけに、青唐辛子のヘビーユーザーでもあるのだ。
そんな話をしている間に、コブクロはしっかり冷えたようだ。
冷やしホルモンこと「酢もつ」の完成だ!
煮る・焼く・揚げる、温かいことが当たり前のように思っていたホルモンだが、「冷やし」という調理法もありだ。
ホルモンは、冷たくても、おいしく食べられる。
渾身の「冷やしホルモン」に乾杯だ!