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信じる

私は母に甘えたことがない。

産みの母は私が物心つく前に家を出ていってしまい私は父に引き取られ、父方の祖母と3人で暮らしていた。
小学校に上がる前くらいから父と知らない女の人と3人で出かけることが増え、気づけばその女の人は私の母になっていた。

実の母に抱かれた記憶すらない私にとっては、
「お母さん」という存在に対する接し方がいまいち分からず上手く関われなかった。
新しい母への甘え方はもちろん、直接的な反抗の仕方もわからぬまま、心をあまり通わせず大きくなった。

そんな私もいつしか実家を出て、一人暮らしを始め、就職し、転職をして引っ越した直後に彼氏(今の夫)ができ、どんな人かなどを母に話した。そんなことを報告できるくらいには、母との関係性は、物理的な距離と長い時間を経ることで自然と深まっていた。

私の両親はとても仲がいい。
もともとよかったけど、なんなら年々さらに良くなっていってるんじゃないかとすら思う。
私も妹も実家を出てしまい父と母2人きりなので、残された者同士仲良くせざるを得ないというところもあるのかもしれないが、笑
いまだに父が仕事に行くときは母が玄関先まで見送りにいき、行ってらっしゃい、とほっぺに軽くちゅっとする。
微笑ましいなと思う。

その驚くほどの仲良し度合いを微笑ましくもちょっと不思議に思うところではあるが、そんな今の母が、私が結婚するにあたり自分自身が家庭を作る上で大切にしていることを話してくれたことがある。

1 お互いを尊敬し合っていること
2 子の前で夫ないし妻の悪口を言わないこと
3 何があっても相手を信じること


大きくはこの3つだった。

もちろん、夫婦関係にはその数だけそれぞれの形があると思うから、これが全ての人において一番大事かと言われるとそうで無いケースもあるとは思う。
だけど私にとってはこの3つがとてもしっくりきた。

1 お互いを尊敬しあっていること
がベースにあれば、2や3は必然的に守られるのではないかなと思う。
心から尊敬できるポイントがあれば、その人の悪口をわざわざ人に言わないし、その人のことを何があっても信じられるんじゃないかと思う。
逆に言えば、相手に腹が立ったり信じられなくなったりしそうなときは、尊敬できるポイントをもう一度きちんと見つめ直す。
そこがブレなければおそらく問題ない。

夫とは今までに3回、大きなぶつかり合いをした。
夫と付き合っていた時期には喧嘩したことがなかったし、今も普段言い合いになることなどほとんどなく、喧嘩の回数を「3回」と数えて覚えていられるくらいには仲はいい方だと思う。

それでも、他人。
どんなに親密な関係性でも、他人のことはわからないところがある。
喧嘩とまではいかずとも、雰囲気がちょっと悪くなることは度々ある。

意見を言われて初めて、相手が何を思っていたのかその本音を知る。
思っていたことを口に出して初めて、自分が相手に本当は伝えたかったことを知る。

相手の気持ちを聞くこと。自分の気持ちを伝えること。
両方大事だと思うけれど、普段一つ屋根の下で生活を共にするのが当たり前になると、いつでもできることであるがゆえに逆にタイミングだったり言い方だったり、難しいなと思う。

何はともあれ、夫に対する敬意を忘れず、一生添い遂げたい。
忘れる相手ではないくらいには尊敬しているので、きっと、大丈夫。信じよう。

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