
100人カイギでお話してみた
「100人カイギ」なるものをご存知だろうか?
2016年1月に港区からスタートし、今では全国で広まっているちょっと変わった仕組みのコミュニティ。

私も存在を知ったのはつい最近。
「こんなのがあるんだ、見に行ってみたいな」とHPを眺めていたら、
たまたま同じタイミングで「登壇願えませんか?」と運営の方にメッセージを頂き心が震えた。
そんなの、もう出るしかない。
私がお声がけいただいたのは、川崎市宮前区100人カイギ。
宮前区で生まれ育ち、今ではサロンを開業しながらまで住み続けているこの私に、打ってつけの役割なのではないか。
実は少しだけ浮気をして都内に住んでいたこともあるのだけど、産後に子育てのしやすを考えて宮前区に戻ってきた。
この土地の好きなところは、ファミリー向けの街なので治安も悪くなく暮らしやすい。だからとにかく子どもが多い。
近所の小学校なんて、教室が足りなくて増築までしている。
子どもがたくさんいる場所は、未来が溢れ出すようなパワーがある。だからななんだ心地が良い。
当たり前に暮らしていたから意識しなかったけれど、きっと私の宮前区愛は相当なものなのだと思う。
そんな土地を代表する100人の仲間に入れてもらえたことが、とても嬉しいし誇らしかった。
これは何がなんでも素敵なスピーチをしなければと、作った原稿を納得いくまで何度も何度も捏ねくりまわした。
「そもそも私は何を伝えたいのか」
これが一番のポイントなのだけど、自分の生き方を10分という尺にまとめるのは至難の業だ。
自分の登壇まで数ヶ月あったので、他の方のスピーチを聞きに行ったり、懇親会で色んな方とお話したりして、発信する方向性を決めていった。

このnoteでは何度も書いているけれど、私はどちらかというと自己肯定感が低く、ネガティヴな人生を送ってきた。
運営の方に、その「陰の部分」をスピーチに入れてみてもいいんじゃないか、そんなアドバイスを頂いた。
転んで立ち上がった話に、人は惹きつけられるんだよと。
実際に登壇された方で、家庭環境に恵まれなかったからこそ子どもに関わるお仕事を選んだという方や、
ご自身が病気を抱えているから感じ取れたことなど、かなり踏み込んだ部分までお話される方もいた。
だからこそ、その人の語るストーリーに共感したり、悲しんだり、笑ったり、感情が揺れる。
「宮前区」という共通項を通して、会場全体が登壇者を優しく包み込んでいくような空気は、100人カイギ独特のものなのかもしれない。

話はズレるけど、私は深海魚が好きだ。
YouTubeの深海魚チャンネルはついつい見てしまうし、水深1万メートルの海底調査映像なんてそりゃあもう、ワクワクする。
なぜ深海魚に惹かれるのかというと、進化の過程を知るのが好きだから。
エレクトリカルパレードのようにピカピカ光るクラゲは、なぜ光ろうと思ったのか。びっくりするくらい怖い顔をした魚は、なぜそこまで歯と顎を尖らせる必要があったのか。
見慣れない姿形の深海魚たちには、それぞれが生きるために遂げてきた進化のストーリーがある。
「餌を効率良く食べるためには鋭い顎が必要だった」という、腑に落ちる結果を知れることも楽しいし、
「光る意味は特になく、理由はいまだ解明されていない」というのも面白い。
ストーリーは、たくさんの人の興味や感情を引き寄せる。
だから今回は私も勇気を出して、良い事も悪い事も含めた自分のストーリーを話してみようと思った。

私の人生には2回の転機があった。
18歳でパニック障害になったことと、32歳で離婚をしたこと。
いつパニック発作が起きるか分からず学校を辞め、引きこもって過ごした数年間は毎日死にたいと思っていた。
まだ小さかった娘を抱えて離婚をした時は、悲しさと悔しさと、未来への不安に押し潰されそうで毎日嗚咽するほど泣いた。
どちらもとても苦しい出来事だったけど、私を作るための大切な過程だったんだと今は思う。
引きこもりの部屋で一人塗った綺麗なネイルは、私の心を照らしてくれた。
「自分も誰かを笑顔にするお手伝いができるのでは」と、ネイリストという仕事を目指すきっかけをくれたのはパニック障害があったから。
シングルマザーとして子育てしながら仕事を続けていくために、独立してサロンを開き、働きやすい環境作りができたのは離婚という出来事があったから。
立ち塞がったように見えた二つの困難は、私の人生をより良い方向に向かわせるための伏線だったんだと思う。(そう思い込むことが大切!)

今回のスピーチではこの二回の転機のお話と、ネイリストとして大切にしていること。
体力作りのために始めたマラソンにどハマりして気持ちが前向きになれたこと。
そこから趣味の幅が広がり人生の彩りが増え、同時に娘の笑顔も増えたこと。
ランニングサークルを作り、人と繋がる楽しさを知ったこと。
そのようなことをお話させていただいた。
最後に、防犯目的のためにみんなでご近所ランをしませんか?というお誘いをしたら、なんと20名近くの方にご賛同いただいた。
地域のコミュニティーの可能性は、本当に無限大だと思う。
そんなこんなで私の夏は、100人カイギの登壇という大仕事と共に過ぎ去ろうとしている。
人前に立つことは大の苦手だし、初対面の人と打ち解けるのにも時間がかかる私にとって、今回の挑戦はとんでもない大冒険だ。
終わってから数日経ってもまだ体は疲れ切ってへとへとなのだけど、心は前よりもぐんと前向きになった気がする。

今回の登壇がきっかけで、嬉しい再会もあった。心がほっとあったかくなるような、素敵な想いを聞くことができた。
初対面なのに、泣きそうになるほどの優しい言葉をかけてくださる方もいた。
100人カイギに集まる人々は、ちゃんと立ち止まって真正面から対話をしてくれる。
小さな勇気を振り絞って挑んだ今回の経験は、この「宮前区」という街で生きていく私にとって、宝物のような思い出になった。
コロナ禍を経て、人と人の繋がりを考えることが増えた方は多いと思う。
オンラインでいくらでも人と知り合うことができるようになり、様々なジャンルのコミュニティが溢れ、世界中のどこにいても気軽に誰かと繋がれる。
だからこそ私は今、目の前にいる人と握手をしたい。
隣にいる人が何を考え、どんな想いで生きているのか。
正面から見つめ合って、その人のことを深く知ってみたい。
身近な人を大切にすることこそが、自分自身の世界を広げていく第一歩なのかもしれない。そんな風に思えた。
宮前区100人カイギは11月23日がファイナル。
ご興味ある方はぜひ覗いてみてください。
川崎市宮前区100人カイギ FINAL 申込み
運営の皆さま、お声がけいただいた鷺沼ファンさん
この度は素敵な機会を本当にありがとうございました。
最後まで応援しています。
