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【挿絵あり】№12_召喚術の授業は××な魔物と、 (月下美人系魔物 VS 安全第一なぼっち学生)の召喚契約ブロマンス

【月下美人系魔物 VS 安全第一なぼっち学生】の召喚契約を巡る攻防を描く、割と現代的で現実的なファンタジー・ブロマンスです。


 
誰かに、髪をすくようにして頭を撫でられている。
 
その丁寧で柔らかい手つきは心地良く、このままずっと微睡んでいたい。
ただ、時折肌に触れる手は不思議なくらい冷たかった。

(……母さん…?)
いや、そんな訳はない。
魔術学校の生徒は魔力の暴走などの恐れから、学校の寮で生活している。
離れた場所で暮らす、母親の手であるはずがないのだ。
じゃあ、これは誰…?

 

違和感に目を開ける。
木組みの天井、白い手と灰色のローブに包まれた腕、その先には…

「!」
白緑の長い髪に、黄緑色の瞳。
自分に毒薬を飲ませ、魔力を奪った相手がそこにいた。

「ああ、目が覚めたか。
 どうだ?体に違和感はないか?
 まだ眠いか?」
魔物は僕の顔を覗き込みながら、慎重に問いかけてきた。

「…い、いえ、違和感はないです…
 眠気もだいぶ良くなりました」
「そうか…」
そう言ってそっと僕の目元を撫でてから、白い手は離れていった。
 

(…というか、なんで頭を触ってたんだ?)
頭に手をやりながら、何か魔術でも使われたのだろうかとまず考えた。
だが魔力の流れは感じなかったし、痕跡も全く感じられない。
まあ目の前の魔物なら、人間に感知されずに魔術をかけられるだろうけど…

そんな風に考察する僕を魔物は不思議そうに見てきた。
「どうした?頭がおかしいのか?痛いのか?」
「い、いえ…なんでもないで」
言い切ろうとしたが、黄緑の瞳から疑うように見つめられ動揺した。
圧力は無くとも、どこか神聖さを感じさせる程美しい方にじっーと注視されるのは…堪えるものがあった。

「……あー、いや、そのただ…
 なんで頭を触られてたのか疑問で…」
「ああ、あれか。
 人間はああすると安眠できると調べたからだ。」

(???…なんでわざわざ人間を安眠させたいんだ?)
とてもそんな必要があるとは思えず、逆に深まった疑問。
それに。
(結構寝てた気がするけど、この魔物はその間ずっと撫でてたのか?)
それって地味に…

「あの、面倒だったのではないですか…?
 そ、そんな事までしていただかなくても、解毒が終わったら放っておいてもらって、いいんですが…」
 
 
一方的に好き勝手された相手ではある。
でも殿上人のような高貴さを持つ魔物に、ずっと頭を撫でさせていたなんて…
と申し訳なくなったのだが。

「何を言っている。
 お前は私の監視・生育対象なのだから管理、つまり世話を行うのは当然のことだ。
 お前が何か…よ、余計な事を考える必要はないのだっ」
「え、ぇえ…?…」

家畜の世話みたいなものだから気にするなってことか…?
にしても、なんで急にどもったんだ?
今までの堂々とした淀みない物言いとの違いに、違和感を覚える。
(まさか、召喚契約を結ばせるための新手の手口とか…?)

ただどちらにせよ。
この恐縮させられる”お世話”に、僕は慣れるしかないようだった。
 
 


今回はここまでにします~
ではまた~ 

1話目はこちら



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