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優先席に座っていると

微妙な年齢のご婦人が乗ってきて、前に立ったので、席を譲るか譲るまいか悩んだ。

こと女性においては、齢を上に見積もりすぎると失礼になる可能性もあるので、かなり悩んだが、結局譲ることにして、どうぞと声をかけたところ、そのご婦人は屈託のない笑顔と柔和な声で「いいですいいです、大丈夫」と言って断った。

無理に遠慮している風でもない自然な断り方だったので、こちらもそうですかとまた座ったときにご婦人の足をみると小刻みに震えていた。

これはいかんと思い、お疲れなんじゃないですか、足が震えていらっしゃるしと再び話しかけたところ、襟元を見た目からは信じられないくらいの強さでつかまれて引き寄せられ、耳元で「震えていたいの」と押し殺した声で囁かれた。

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