山道を歩いていると
道端に道祖神の像があった。
ちょうど前を通り過ぎたときに、カメラのフラッシュのような光が道祖神の居る側でパッと光ったので、驚いて足を止めた。
何度かそのあたりの道を行ったり来たりすると、道祖神の前を通ると、道祖神像の目が光ることがわかった。
近づいて観察すると、上部にソーラー発電パネルがついていて、その脇に赤外線センサらしきものがあった。
人が通ると光る仕組みになっているらしい。
観察しているときに、体と同じくらいの大きな籠を背負って手拭いのほっかむりをした、地元の人らしきおばあさんが通りかかったので、なぜ目が光るんですかと聞いてみた。
おばあさんはそこらの男性が太刀打ちできないような超低音の声で、「理由は二つある」と言った。
続けて、「一つめは、眼光があるほうがありがたみが増す」と言うのを聞いてこちらが、はぁそうですかねと、あまりピンとこない様子なのを見て、おばあさんはふふんと鼻を笑うと、「二つめは、あんたみたいなよそ者がびっくりして面白い」と言い終わるか終わらないうちに、80過ぎに見えるいでたちからは信じられない速さで、ホーッホと甲高い声で笑いながら走り去っていった。