アフリカビジネスモデル図解vol.10「AgroCenta/ガーナ発・小規模農家の収入を40%向上させる仕組み」
アフリカで会社とNPO経営中、ナイケルこと内藤獅友(Naikel0311)です。
アフリカビジネスモデル図解とは、アフリカ歴6年目、会社とNPOを経営している僕が、アフリカの主にスタートアップを中心に、ビジネスモデルを図解化し、そのユニークかつビジョナリーなイケてるアフリカ企業をご紹介するシリーズです。
第10回は「AgroCenta」というガーナ発のスタートアップ企業です。
ここに全てまとめたマガジンがございます。現在、最新号のみ定期購読者様あるいはマガジン購読者様限定公開となっております。それ以前のは、現在は無料公開中となっております。購読いただく方が増えると仕事そっちのけで更新し出すのでお願いします。
尚、この図解は「チャーリーさんの図解ツール」と「いらすとや」を利用して作っております。ありがとうございます。
また、ここで出てくるゲストの方は、あくまで著者の想像上のインタビューとして載せておりますので、会話の癖だったり、事業と関係のないやりとりは、全てフィクションになります。
ガーナ発AgroCenta社と共同創業者Francis Obirikorang
どうも!アフリカ系男子のナイケルです!
なんと今回で10回目だって!三日坊主の僕がよく続いたもんだね。
ベナン系男子、アシスタントのケビンだ!
いやー、ナイケルが続けたくなっちゃうくらいにアフリカのスタートアップが魅力的ってことだな。最大の要因は、おれのアシスタントがめちゃくちゃ良いっていうことだろうけど。
本当に毎回出てくるスタートアップ企業は勉強になるし、大成功した時の世界的インパクトの大きさを想像すると毎回ワクワクするからね!(アシスタントはいつかアフリカ美女に変えたいと思っているのは黙っておこう)
記念すべき第10回の会社はガーナ発!AgroCentaという会社だよ!
お!チョコレートでお馴染みのガーナだな!
おれが知っているガーナの基本知識をいっておくと、場所はベナンにも近い西アフリカにあるぞ。面積は日本の3分の2、人口は約2880万人、首都はアクラで、公用語は英語と民族語。主な産業は、カカオだけでなく、金や石油なども獲れるんだよな。
ありがとう。ちょっと補足をすると、ガーナはカカオを筆頭に、農業が国内総生産(GDP)の約20%を占めていて、雇用にいたっては、約半数が農業に携わっている。土地のポテンシャルも、約57%が農業に適していると言われるほど恵まれた農業大国なんだよ。
カカオだけかと思いきや、色んな農作物もやってるんだな〜。
って、お前誰だ!!!
口がわるいぞ、ケビン。
彼は、今回紹介するスタートアップ企業の共同創業者のFrancis Obirikorangさんだよ。
ヤッホー。記念すべき回に呼んでもらって何よりだね。
僕の名前はFrancis Obirikorang。フランシスとでも呼んでね。僕らはAgroCentaという会社を経営していて、農業系のスタートアップとして事業をやっているんだ。
なんだよー!突然出てきたからおれの熱狂的なファンかと思っちゃったじゃんかよ〜。フランシスさん、よろしくね!共同創業者ってことは、もう1人一緒に創業した人がいるってことだね?
今日はちょっと来れなかったんだけど、僕と同じくらいイケメンのMichael Ocanseyという男性と一緒に会社を立ち上げたんだよ。
ハッハッハー!面白い冗談をいうじゃないか!残念ながら本当にイケメンの前でそんな発言しても、虚しくなるだけだぞ〜。
こいつどこまでナルシストなんだろう・・・。
さ、気を取り直して、農業系スタートアップということなんだけど、具体的にどういった事業をやっているのか、まずはざっくりと教えてもらえるかな?
オーケー!我々は小規模農家の人たちの市場的弱者な立場を解決できるように、テクノロジーを駆使して、仲介業者を介さずに、直接市場で取引ができるようなサービスを提供しているんだ。
図解はこんな感じになっているね。パッと見てもらうと、大体のAgroCentaの役割が見えてくると思う。次からはもっと具体的に説明をしてもらうね。
小規模農家の市場的弱者とは
小規模農家の市場的弱者ってどういうことだ?農家さんたちは体が小さいから、大規模農家には喧嘩で勝てないってか?
物理的な弱者って意味じゃないんだ。
現在、ガーナを含むアフリカの農業の大きな問題は、小規模農家が稼げないような仕組みになってしまっていることなんだ。
具体的には、小規模農家が作った作物を、「仲介業者」が彼らから仕入れて、市場で販売をしている。ここで公平に利益が分配されてるといいんだけど、多くの場合は、小規模農家の取り分はほんのわずかで、仲介業者が多額の利益を取っているんだ。農家側ももちろんその事には気づいているんだけれど、彼らはどうやって市場にダイレクトにアクセスできるのかがわからないから、結局は彼らの言いなりの値段で売るしかないっていう訳なんだ。
なんだとー!一番苦労して作物をつくっている農家さんが全然儲かってないってのか!!仲介業者って野郎最悪だな!おれがぶっ飛ばしてやる!!
仲介業者っていうのは1人や1社でなく無数にいるから、先にケビンがぶっ飛ばされちゃうよ。
なるほど。小規模農家が儲けられない原因となっている「仲介業者」を介さなくても、直接市場に販売ができるような仕組みをAgroCentaは作り上げたんだね。
そうなんだ!小売業者も仲介業者を介さずに買うことで、今よりも安く手に入るし、消費者もこれまでよりも安い価格で農作物を購入できるようにもなるんだ。
方法としては、企業や小売業者が、パソコンやスマートフォンから、登録されている小規模農家の情報を得ることができる。そこには、「どんな農作物がどのくらいの量をいくらで売っているのか」という詳細も出てくるんだ。そして、企業はAgroCentaのサイトを介して注文をすることができる。
農家側は、スマホやパソコンを持っていない人たちがほとんどなので、通常の携帯電話にSMSなどで注文情報を送るんだ。そして、企業による支払いから、農家さんに支払うところまでサービスを提供しているよ。
さらに、農家さんには現在の市場適正価格を伝えたり、天気や農業スキルの向上に繋がるような情報を流すことで、市場に適した作物を、質も向上しながら生産できるようにしているんだ。
最後に、小規模農家は安いトラック業者などを知らない場合が多いので、うちが提携している優良トラック業者と繋ぐことで、従来よりも安い価格でよりスムーズに注文先に配送することが出来るようになっている。
これによって小規模農家の収益は最大40%ほど上がったという成果も出ているんだ。
40%!!凄いじゃないかフランシス!!
これなら損するのは仲介業者だけだね。彼らはもともと儲かりまくっていた訳だし、適正なお金とサービスの流れに戻ったので、彼らは仲介業者としての質の向上を目指せばいいだけだしね。
ちなみに、どうやってこの現状を知って、起業を決意したんだ?
AgroCenta創業のキッカケ
いい質問だね!実は我々は、もともとEsokoというAgroCentaとかなり近いビジネスモデルでやっている会社に勤めていたんだけれど、Esokoは農家への情報提供をメインとしてやっていた。うちもやっている天候や市場価格を提供するサービスとほぼ一緒だね。だから、彼らは適正価格を知るところまでは出来るんだけど、物流や支払いまでの手助けはやっていなくて、それによって利用を断念していた農家さんも多くいたんだよね。
ケニアやタンザニアでも展開しているesoko
これではいけないということで、Michaelと共に新しい会社「AgroCenta」を創業することに決めたんだ。つまり、うちは情報提供はサブ的なサービスで、マッチングと決済や物流までの最終的に商品やお金が相手に届くまでのサービスをメインとして提供しているんだ。
これによって、小規模農家は農作物の生産に完全に集中することができ、適切な価格と、安全な決済システムと物流システムでお客さんと商売をすることができるようになる。
すっげー!!!進化版esokoってことだな!
つまりesokoがサイヤ人で、AgroCentaはスーパーサイヤ人だ!
AgroCentaのビジネスモデルと儲けの仕組み
では、そんなAgroCentaはどうやって儲かっているのか?お金とサービスの流れを図解をみながら説明してもらいましょう!
オッケー!
まず企業に対しては、小規模農家の作物価格の情報などを提供する。気に入った農家さんへ発注をしてもらい、①企業からAgroCentaに支払いをしてもらう。②それからAgroCentaが小規模農家にちょっとだけ決済手数料を引いて入金をするんだ。
配送に関しては、小規模農家側がAgroCentaの提携しているトラック業者にAgroCentaを介して注文をし、③支払いをAgroCentaに払って、うちからトラック業者に支払いをする。このときも少し決済手数料が発生しているね。④依頼されたトラック業者は、小規模農家から農作物を受け取り、指定の企業まで配送を行う。という流れになっている。
最後に、⑤農家に必要な天候情報、市場価格、農業TIPSなどの情報を随時、小規模農家に提供する。農家はその情報を受け取るために月額でお金を払う。
これが、AgroCenta社のお金とサービスの主要な流れだね。
つまり、注文や配送時の決済手数料と、農家への優良情報提供によるサブスクリプション課金による2つの方法で、AgroCentaの収益は成り立っているんだね。
いやー、今回も面白かったな!生産者がしっかり恩恵を受けられるようなサービスが、これからもどんどんアフリカ中に普及していけば、貧しい農家さんも減るし、アフリカの農作物の質もどんどん上がりそうだね。
フランシスさん!ついでにおれの収入が40%上がるようなマッチングサービスも開発してくれないかな?
いやそれはおまえが頑張れよ!!
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