【読書録】FACTFULNESS

  • 概要
     数年前にかなり話題になった本なので内容をご存知の方も多いと思います。著者は感染症・公衆衛生学の医者であるハンス・ロスリング先生という方です。著者はアフリカで流行したエボラ出血熱の治療をはじめ、様々な貧しい国で医療活動を行ってきました。そして自分が見てきた貧しい国の現状を伝える講演をしていくうちに、先進国の人々が貧しい国のことをほとんど理解していないと気づきました。そして、その原因は上記の10の本能に翻弄されているからであると述べています。その中でも特に重要だと感じた3つをここでは紹介します。

  • 直線本能:「世界の人口はひらすら増え続ける」という思い込み
     本書では世界の人口で例えられていますが、あらゆるデータに対して言えることであると思います。なぜ増えている(減っている)のか根本的な要因を考えることの重要性を感じました。仕事で統計的なデータ解析を行うことがあるため、非常に勉強になりました。

  • パターン化本能:「ひとつの例がすべてに当てはまる」という思い込み
     一つの法則を発見するとほかの事例にもそれを当てはめるのは科学の基本でもあると思います。従って、ひとつの例を他の例に当てはめるときはあくまで可能性の一つであるということを念頭におかなければならないと思います。ついやりがちな考え方のため、常に意識していきたいと感じました。

  • 単純化本能:「世界はひとつの切り口で理解できる」という思い込み
     データ解析の際に単純化をしてしまうと視野が狭まります。一方で人に説明するときには単純化することが非常に大事になるとも思います。多角的な視点をもってデータと向き合っていきたいと思いました。

  • 最期に                                  本書は世界の現状に対して多くの間違った認識をしていることを教えてくれるという面だけでもかなりの良書だと思います。それ加えて、データ解析の本質を説いている本であると思いました。コロナ禍の少し前に出された本ではありますが、多くの方が本書を読んで感染者の推移を考察していると話されていました。このことから世界中の人々のサイエンスリテラシーを向上させた1冊なのは間違いないでしょう。まだ未読の方はぜひ一度読んでみてはいかがでしょうか。

<参考文献>
ハンス・ロスリング, オーラ・ロスリング, アンナ・ロスリング (2018) 「FACTFULNESS」(上杉周作, 関美和訳) 日経BP社.




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